必要な物を持って、居間に集まった。



おいっ!やはり荷物持ちではないか!

そんなに沢山、どうするんだ?



いや…ウンスに聞いたら、青磁のツボや

金塊が価値があるらしい。



ビックリしたわ!チェ家の紋様が

入ってるんだもの。

マニアには、堪らないかも。


ま、まにあ?とは?


あのね、この人、天界の有名人なの。

崔瑩に物凄く執着してる人が

多いって、アッパに聞いた事があるの。



はあ?此奴が有名人とは、世も末です!


俺も六年以上前に聞いた時は、

嘘だと思っておった。


それと…あの王と王妃も有名だったわ。

仲の良い、素晴らしい王と王妃だった!

って。でも、私が此処に来た事で

歴史は、変わったと思うの。



へっ?あいつ等がですか?



うん…

私が手術しなければ、王妃は

死んでたわ。それに…イ・ソンゲを

助けたのも私だったわ。



あの千戸長のこわっぱですか?

確か、死んだはずです!



ウンスの知る史実では、

俺は72才で、イ・ソンゲに

斬首されたそうだ。

そして高麗も終わり、イ・ソンゲが

朝鮮王朝を築いたそうだ。

それが、めちゃくちゃになったから、

今後は、どうなるのか?

天界の史実を聞いてみたいとも

思っておる。


そうか…俺も楽しみになってきた!



では、参るか?カズ姐、ウォルにヨンシ

留守を頼む!


お任せ下さい!


ヨンは、門を開くとヨン家族と

チュオンが光の中に消えた。


着いた先は、ウンスの実家の納屋の

前だった。


丁度、農作業を終えたオンマとアッパが

遠くに見えた。



オンマーーッ!アッパーーッ!



母さん?ウンスか?


お父さん…そうよ!


待て!男が二人居るぞ?


だだだっと走って行った。


お前かっ!!この誘拐犯め!


バゴーーン!


チュオンが吹っ飛んだ。


ちょっ、ちょっ、俺ではありません!


オンマ!!


ウンス!!


二人は抱き合って号泣した。

感動の再会をしていた。



嘘をつくな!お前だったはずだ!

あの男は!!


こ、コイツです!!とヨンを指さす

チュオン。


ヨンは、両手に双子を抱いていた。


そうだ!お前だった!


父親は、怒りで子供も目に

入らず、殴ろうとした時、

ヨンの後ろから、レンが出て来た。


はじめまして…じーたん、ばーたん。

とおしゃまはつおいので、

おててがいたくなります。


まあ!ウンス?あなたが産んだの?

双子ちゃんも?


うん…


チェ・レンでしゅ。


なんて、かわいいの!孫って事よね?

お父さん!!取り敢えず、

家の中で話ましょう!

ウンスが凄く幸せそうだもの。

事情があるはずよ。


あ…レンちゃんと言うのかい?

そっくりじゃないか!



おいっ!ヨン!何で俺が殴られるんだ?

油断したではないか!



すまん!チュオン!俺も後で、

殴ってもらう。


とにかく入って下さい!

お父さんも、少し落ち着きなさい!


アッパ…会いたかった…


ウンス…父さんも毎日探していた…



ぞろぞろと中に入ると、

両親は、着替えてから、

母親は、双子を寝かせる布団を敷いて

くれた。


高麗とは、全く造りが違う家に

驚いた。家の中に

二階までの階段もあった。


狭いでしょ?


いや、造りが違うのか?良い家だと

思う。



ソファに座った両親。


ヨンとウンスは座布団に正座していた。

チュオンもだ。


レンは、ちゃっかり、両親の間に

座っていた。



アッパ…あれから何年経ったの?



1年と3ヶ月と10日だ!



申し訳ございません!必ず帰すと

約束したのに帰せませんでした!


ヨンは土下座した。



お、お前は…お前は…誘拐して、

無理矢理ウンスを…


胸ぐらを掴んだ。


アッパーーッ!やめてーーっ!



ウンス、大丈夫だ!お父上殿!

好きなだけ殴って下さい!!


この野郎っ!



お父さん!!事情があるはずよ!

話を聞きましょう!


じーたん…おててがいたいいたい。

おむねもいたいいたい…


そ、そうかい?



まあ、なんて可愛いのかしら?

ちょっと待っててね。レンちゃん。


母親は、お茶とお菓子を持って来た。


ウンスは、コーヒーでいいわよね?

ノンカフェにしたわ。



うん…凄く久しぶり…


真っ黒な液体を飲もうとした時、

ヨンが止めた。


ウンス?毒なのか?


まさか!コーヒーと言う飲み物よ!


美味そうにゴクゴク飲むと、

頬など染めて、嬉しそうだ。



アッパ?昔、歴史の先生だったよね?

此処があるって事は、

朝鮮王朝は、誰が築いたの?


は?イ・ソンゲだぞ?


マジ?どういう事…

それは、いつの話?最近、歴史の本を

読んだ?


いや、お前が居なくなって、

それどころでは、なかった…。


ウンス?まずは、何処に行ってたの?

その格好からして、違う時代?


うん…


警察にあそこから、光の中に

消えたと聞いて、タイムスリップ

したんじゃないのか?と思ったけど、

お父さんもお母さんも毎日、探したわ。



ごめんなさい…


ウンスが謝る事ではない!

私は、高麗武士のチェ・ヨンと

申します!全て私のせいです!


口下手なヨンが、今までの事を

話した。


なっ…それでは、ウンスがあの蒙古が

彷徨く時代に行き、2年間居て、

レンちゃんを生んだと?

しかも、6年も待っていた?



アッパ…この人…崔瑩将軍なの…



は?まさか?そんな事が…

では、ウンスは第二夫人なのか?


恭愍王の祠堂はまだある?



それが、不思議と失くなったんだよ。

誰も行かないから、閉鎖になったと

聞いたよ。



恭愍王と王妃とヨンの叔母様が

勝手に族譜に載せた女の人が居たの。

でも、ヨンが一度も会わないから、

その人は、他の男の人と不貞を

働いて、離縁した事になったけど、

レンが大きくなった時に、私が

第二夫人だったらかわいそうだって、

役場に異議申し立てして、族譜には

私が正妻でレンは嫡男にしてくれたの。

全て王命だったわ!王命、王命って、

うんざりしたもの。



お父上殿!私は、ヨンの幼馴染の

カン・チュオンと申します。

此奴は、高麗屈指の名家の息子の

崔瑩です!父上は崔元直殿で、私も

幼き頃は、可愛がって貰いました。


カン・チュオン…確か…水軍の?


はい!今は国防軍副長をやって

おります。


えっ?チュオンさんの事も知ってるの?



ああ、お前が助けたアン・ジン社長が

一緒にお前を探してくれたんだ。

その時、ふとした事から、

誰にも言ってないが、自分は

高麗武士の末裔だと…


アン・ジェですか?


そう、そうだ!アン・ジェと

言っていた。自分の祖先の走り書き

のような物を大事に保管していると

言ってたから、こっそり見せて

くれたんだよ。そこに水軍の隊長の

名前も書いてあったんだ。

父さんも仲間には内緒にしてるんだ。


仲間って?


ウンス?お父さんはね、

崔瑩将軍を語る会に入っているのよ。



マジ?


あなたは、歴史に興味がなかったし、

医者になってから、なかなか

帰って来なかったから、

知らなかったのね。

はい!レンちゃん!クッキー食べてね。



くっちー?


美味しいわよ?


サクッとかじると、


かあしゃま!おいちーでしゅ!


沢山食べていいわよ。あとで、

ちゃんと歯磨きしようね。


まあ、すっかり母親の顔ね。

こっちの双子ちゃんの名前は?



あっ、ロンとラン。まだひと月ちょっと。



高麗に歯を磨く習慣があったのかい?


ううん。私が考えたの。

柳の葉に塩を付けて磨いてるわ。


ウダルチにも浸透しております。


ウダルチだって!それは…一部の者しか

知らないはずだ。


だから、さっきヨンが話したでしょう?

王の近衛隊長だったって。

その部隊?がウダルチって言うのよ。


うだうちのみなしゃんは、やさしくて

つおいでしゅ。


でも、どうして?イ・ソンゲなの?

アッパ?ノートパソコン持って来て!


あ、ああ。


奇妙な物体を持って来ると、

ウンスは、慣れた手つきで、

操作しだしたのだった。





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ウンスのお母さんは、冷静でしたね。

殴られて吹っ飛んだのは、チュオンでした😂

まだまだ続きます。