VIPの更に特別室の扉をノックした。


「はい、どうぞ」


トクマンとチョモがドキドキしながら

入った。


「確か…ウダルチのトクマンとチョモか?」


少し若いチェ尚宮が居た。


「チェ尚宮さん?わ、若い!!」


「あの頃よりは、10才程は、若いかな?

罪深い事をしたので、生まれ変わるのが

遅れたかもしれない…」


「事故にあって、意識不明だったとか?

大丈夫でしょうか?」


「先生が言うには、怪我は、大丈夫

だったとか…ずっと夢を見ておった。

ヨンアは?」


「ボスは…医仙様との事で…まだ…」


「えっ?医仙が?居るのかい?

生まれ変わったのかい?記憶は?元気

なのかい?」


「一つずつ説明します!

医仙様も生まれ変わり

大昔の記憶を持っています!

やはり、とても優秀な医師です!

ボス…テジャンも同じです!

今は釜山の方に二人共行ってますが

大昔の事を…医仙様は恨んでいます!」


「そうだったのかい…王妃が死んだのは

私が悪かったんだよ…どうしても、

安産祈願をしたいと…あの状況下で

許して、見失った私が…

乱心した王が私を仇のような目で

斬ろうとした事もあった…

典医寺の医仙の部屋へ、虚ろな目で

入ろうとしていてる所を私とドチ内官が

必死に止めた…

二人が逃げたから、王妃が死んだ!だから

逃げない様に自分の者にする!

と言ってな…いくら小柄でも

男に勝てる訳がない!でも…後から思った…

王に手籠めにされて、医仙が自ら命を

絶ったのなら、甥は、あのような

抜け殻にならなかったのでは?と…

全く都合の良い話だけど、やはり…

甥っ子可愛さに…医仙にもご両親が

いたのに…医仙は…甥が天界まで行って

連れて来たが、本当に神医だったのか?

答えは…見つからなかった…」


「マジっすか?!その話!王が?」


「ああ、あの時の王は、何をするか?

わからなかった…しかし…自分が病で

後がないとわかった時…医仙が

王の手に落ちなくて良かったと思った!

この様な便利な時代から、高麗と言う

不便な所へ無理矢理連れて行かれ、

命を落とす等、あってはならない事

だったが、最期は間に合わなかった…

ヨンアの腕の中で良かった…

本当に都合の良い話だけど…

長い夢を見て、医仙に申し訳ないと

今は、謝りたい!私は、あの時代では

守るべきは王妃が一番だった…」


「俺は…思うんですけど…過去に囚われず

今が大事なんじゃないかと…」


「トクマンッ!!医仙様もボスも記憶が

あるんだ!安易な事は…」


「あっ、すまない…

ところで、チェ尚宮さんは、ご結婚は?」


「ああ、今世では、良い人に出会って、

結婚したが…直ぐに事故で死んでしまった。

前世の報いなのか?暫くは、何もする

気がおきなくて…夫が残した財産は

充分だったので、死んだ様に生きてたが、

二人で計画していた事業を日本で

やってみたら

大当たりで、財産も増えたけど、ただ

それだけで、TVでヨンアの顔を見て、

居ても立ってもいられなくて、こっちに

来たら、事故に遭ってしまって…忘れて

いた大昔の事を全て思い出してしまった…

アイツは、史実と同じ人生を?」



「いえ…俺達の方が王の盾になり、

先に命を落としましたが…知ってる者達の

話では、ボスは、何かに取り憑かれた様に

ただ戦ばかりしていて、生涯孤独で、

イ・ソンゲに斬首される時は、

笑って『やっとイムジャの所へ行ける』と

生涯を終えたそうです…」


「そうか……アイツらしいな…

今は?医仙は?苦労していないのかい?」



「病院で色々と駒にされたようですが、

金銭面では、かなりのお金持ちです!」


「そうかい…私の全財産で償う覚悟が

今はできている!」


「検査で何もなければ、直ぐに

釜山に行きませんか?」


「ああ、会わなければ…」


「チェ尚宮さん…その…お子様は?」


「夫が…亡くなった後…お腹の中の子も

一緒に逝ってしまった…夫が寂しくない

ようにと…後から思ったよ。」


「そう…だったのですか…」


「いや、だからっ!昔に囚われるって

おかしいっすよ!確かにそうだったけど

それでは、昔を生きているみたいで

おかしいっす!俺達には、前世の

記憶があるけど、今は、王も王妃も

居ない時代です!俺には、ウダルチで

過ごした良い思い出も悪い思い出も、

あるけど、ただテジャンと言う

強者(つわもの)の側に居たかった

からで、それが今世では、形は違えど、

類稀なる才能をもったボスが

テジャンだったと言う事を思い出して

側で仕えるだけで、満足してます!

まあ、前世の記憶がそうしたのですが…

今を生きるのに、恨み辛み等、

必要なのかな?って、少し疑問に

思います!」


「ま、まあ…確かにトクマンの言う事

にも一理あるけど、人それぞれだろ?」


「それでも…やはり、記憶と言うのは

どうしようもない事がある!

とにかく、医仙に会わねば…」


前世の記憶に囚われる人が此処にも居た。




翌日、プライベートジェットで、

釜山へと行った。



その頃、ウンスの別荘を訪ねたチェ・ヨン


「どうぞ…」


中に入れて貰えたが、

部屋の中は、無言が続いた。


「あの…」


「は、はい…」


「あの頃…天界から、連れ去って、

高麗で辛い思いをさせて…………

すいませんでした……俺が貴女を

見つけ、天医だと思いました…

いえ…貴女しか目に入りませんでした…」


「どうして?」


「壇上で…眩しく…美しく…輝いていて…

俺には…貴女しか目に映らなかったのです。」



「それって…どういう事?」



「自分では、否定していましたが、

今は、ハッキリわかります!

一目惚れだったのです…」


「でも…貴方は、あの頃、七年も

亡くなった許嫁の事で、心を凍らせて

いたのでしょ?」



「忘れてはいけないと自分に言い聞かせて

いましたが…顔も忘れていましたが…

先日…思いだしました…」


「えっ?」


「ホテルで妊婦の手当てをして

くれましたよ?ぶつかったのが、

王妃で、年の離れた夫婦は…

赤月隊の師匠と許嫁でした。」


「えっ?王妃と?許嫁?」


「彼等は、憶えていない様です。

運命とは、不思議なもので、師匠と

メヒが出会い、一緒になった事を

考えると…昔、師匠の後を追ったのは、

そう言う事だったのかと納得がいきました。

そして…七年よりも四十年以上も、

イムジャにした事を忘れず…生き地獄に

身を投じ赦しを請うたけど…

死ぬまで赦して貰える声も聞こえず

イ・ソンゲに斬首される時…

やっとイムジャの所に行って跪けると

思いました…今世で…会えた事で…

やっと謝罪ができると…」


チェ・ヨンは土下座した。


「本当に申し訳ありませんでした!」


「私は…記憶を全て取り戻したのは…

最近なの…恨んだわ…けど…どの道

助からなかった…」


「連れ去らなければ、あの様な目に

あう事もなかったです…現代から

高麗へ連れて行き、死なせて

しまった…心から恋い慕う人を…」


「だったらどうして言ってくれ

なかったの?」


「言いました!個人的に恋い慕って

おります!と…」


「あれは…その場しのぎの

嘘だったのでしょう?」


「確かに…それもありましたが、

キチョルに嘘は通じないと、

気付けば、口にしていました。

無視したりもしましたが、

俺は女の扱いには慣れていません!

しかし、何故だか、貴女の事は、

自然に抱きしめたりする事が

できました…後から気付きました…

それが愛なのだと…この前…

その枝に行った時、気付きませんでしたか?

俺がイムジャを心から愛していると…」


「それは…確かに…ひとつ…聞かせて…」


「何ですか?」


久しぶりに聞いたチェ・ヨンの

「何ですか?」に胸が熱くなる。


「もしも、あの時…目覚めて…無理矢理…

は、私じゃなくてもそうしたの?」


「あの時…イムジャが天門を潜り、

俺から離れて行く夢を見てました。

まだ、どうしても帰したくなかった!

イムジャだったから…俺は…焦って…

とんでもない事を…」


チェ・ヨンは、思い出すように、

震える体を拳を握りしめて、堪えていた。





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間があきました。

辿って下さいm(_ _)m

余談ですが、今日、ネンキンズになりました😅