漁村を目指して進む軍船の甲板の上で、
ヨンは、レンに自然の凄さを教えて
貰った。
ウンスは、横でキラキラと光る
大きな海を見て、両手を広げ、
海を感じた。
隊員達は、見惚れた。
将軍の奥方様は、噂通り、美しいですね？
ああ、俺が先に出会っていたら、
俺に惚れたかも知れぬ。
抜け目ない奴だ！
しかし、六年も待ったとか？
なかなか出来る事ではありません！
そうか？俺ならもっと待てる！
それに、惚れた女の手を離したりせぬ！
あの王宮で要らぬ苦労をして、
政の駒にされ、毒にまで苦しませる
事など、なかっただろうな。
海に逃げれば済んだ事だ！
彼奴は、時を無駄にしてばかりだ！
そう言う隊長こそ、婚姻する機会を
逃してばかりでは？
男色だと思われているかもしれませぬ。
それでいいんだ！俺が今まで惚れた女は
いない！
何か…あったのですか？
隊長程の美丈夫で部下にも気遣いも
欠かさい、今や、国防軍の副長で
金持ちでは、ありませんか？
私もそれを聞きたいわ！
いつの間にか、ウンスとヨンとレン
が居た。
お前？サーシャと言う女人が
好きだったのか？普通、こんな
変わった名を船につけんだろう？
う〜ん、サーシャって、外国人の
名前みたいだけど…あっ、あの
海の底の？
まあ、そう言う事にしておいて下さい！
サラッとはぐらかしたチュオンだ。
ヨン！サメを持って帰るか？
レンは、たべましぇん！
しゅごくこわかった！
ホオジロザメでしょ？
私も遠慮しておくわ！
ヒレは、ご馳走だと村人は、
言っております！
た、確かにフカヒレは、最高級だけど、
サメなんて、食べた事ないし、
身もなかなか美味いそうです！
レン？怖かったとは？
チュオンしゃんがね、おっきい
おしゃかなをなげたら、
しゃめがびょんってとんで、
おしゃかなさんをパクってしました。
チュオン！幼子に何を見せてるだ！
はんっ！怖いものだと、教える事も
必要だろ？
自然の理（ことわり）だ！
俺達だって、今は、鶏や牛や鹿の
肉を食ってるだろ？
生き物は、何かを食べて、食べられる！
人間だけが、贅沢だと思わんか？
それにな、暫く漁に出られなかった
漁師達には、これだけのサメが
食材になる！干せば、保存食にも
なるのだ！
お前の雷攻で全滅させたら、
食えなかっただろ？
まあ、確かにな。
隊長！食の準備ができました！
ああ、腹が減っただろ？
飯は冷や飯だが、さっき魚を釣って
おいた。
皆んなで食うぞ！
下に降りるぞ！
はい！
宴会場の様に広い所に座って、
給養員が並べた食事を食べた。
ウンス？冷や飯は？大丈夫か？
ちめたいけど、レンはたべれましゅ。
これは、カツオと鯛よね？
美味しい食べ方があるわよ？
お湯は、あるかしら？
湯なら直ぐに沸かします！
ほら、こうやって、塩を付けて、
お湯をかけて食べたら、美味しいわよ？
なる程…美味いな！
レン、ちめたいごはん、たべました。
かあしゃまとむかしむかしにいるときに
いつも食べてました。
あの…100年前に居たとか？
どうやって生き延びたのですか？
それから、ざっくりと100年前の話を
して、何故100年前に行ってしまったのか？
その話をした。
時空が歪む？
そう言う時もあったな…。
羅針盤がある海域で、回った！
そう！それ！流石チュオンさんね。
磁場が狂うと行き先がわからなく
なるでしょ？それと同じかな？
でもね、あの時は、何かが
足りなくて、そうなったんだと思ったの。
何かとは？
信じる気持ち？未練？
ヨンがね、会いたい方がいるのでは？
と言った時に、オンマとアボジの
顔が浮かんだの。
でも、天門前で、キチョルに凍らされた
ヨンを助けたくて、病院に走って、
必要な薬剤をかき集めて、町中を
走って、天門に着いた時に、
振り返ってしまって、たぶん、
神様に見透かされたのね。
戻って来る時も、一度、私の世界に着いた
けど、レンには見せなかったの。
振り返ったけど、何の未練もなかったの。
不思議な話ですね。
しかし、なにゆえ、将軍が、天界に
行った時に、元の場所に戻って
来れたのでしょうか？
それが、謎なの。
この性根の腐っていたヨンにも、
罰を与えれば、良かったのに！
チュオン！！
この人…私の時代でめちゃくちゃ
やったから、たぶん犯罪者になってるわ。
へっ？
あのね、私の時代では、
人を切ったり、物を壊したり、
刀を持ってると罪になるの。
器物損壊罪、殺人未遂、公務執行妨害
不法侵入、それに、誘拐よ？終身刑だわ！
ざまーみろ！だな？ヨン！
お前が罪人とはな。
此処でも罪人にされた事がある！
まあな、あの王に付いた、お前の
責任だ！俺に言えば、船で、
遠くに連れて行ってやったのにな。
お前が、水軍に居るなんて
知らなかったからな。
ふんっ！忘れられた水軍は、
密かに戦っておった！
おかわり！
かあしゃまは、くいしんぼうしゃん
だから、たくさん、たべます。
皆んなの笑い声が聞こえる中、
村に近づいていた。
村人が、待っていた。
ヨン！先に帰れ！
俺は部下と鮫を切り分ける！
鳩は、屋敷に飛ばしておいた！
お前、アンジェも言っておったが
何匹鳩を飼い慣らしておるんだ？
さあな！
村に着くと、レンを懐に入れ、
ウンスを乗せて、チュホンを走らせ、
屋敷に戻った。
ーーーーーーーーー
ほんと、チュオンが居たら、
海に逃げれば良かったのにと
おもいますよね？