チュオンが出ていって、直ぐに


こっそり屋敷を出たレン。

この町は、許可なく入れないが、

行商は別だった。


レンはトコトコと歩き、

聞いた。


おじしゃん?どこいくの?


あれ?小さなお客さんかな?

どうしたんだい?


ぼ、ぼく…いえがわからなくて…

あしょんでて、おうまさんのばしゃで

寝てちまいました。


なんて事だ!家は?どこか?

わかるかい?


く…くっちゃろー?


クッシャロ村か?


しょです!


ちょっと、待ってろ!


同じ行商仲間の所に行くと、

クッシャロ村から来た奴がいた。


あれ?見かけない子だけど、

最近、越してきたのかい?


あい…とおしゃまが、お出かけするので

はやくいかないと、ぼく…ひとり…



そうかい!急がないとな!

早く馬車に乗りなさい!


レンは無事にクッシャロ村に着いた。


どこだい?


あのおっちいおふね。おじしゃん!

ありまとでしゅ。


可愛い子だな?きっとお父さんが

心配してるぞ!


あい!

ニコッとして小さな手を振った。


軍船は荷物の積み込みで、

忙しそうだった。


うわっ!おっきぃおふね!


レンは、荷物に紛れて軍船に

乗り込んでしまった。

早くに起きたので、眠くなって、

そのまま寝てしまった。



朝起きたヨンとウンスは、

朝餉に行こうとレンの部屋に

行くと居なかった。


ウダルチの鍛錬場か?


ヨンは、ウダルチの宿舎に行くと

朝の鍛錬をしていた。


チュンソク!


はい!おはようございます!テジャン!


レンは?来ておらぬか?


いえ、見かけてませんが?


チュオンは?


あっ、副長は、今日から

沖で大量に現れたサメの退治に

行くので、昨日から居ませんが?


そうか…


レンちゃんが居ないのですか?


ああ、たぶん、屋敷のどこかで

遊んでいるはずだが…



ウダルチ!レンちゃんを探せ!


はい!


レンは一人で外に出る事がないので

屋敷の庭園やら、遊び場を

隈なく探したが居なかった。


段々と余裕が失くなるヨンは、

走って海まで行った。


釣り人がいたから、聞いたが

ずっと此処に居たが、来てないと言う。





物凄く嫌な予感がした。





ヨン!!レンは?


居ないんだ…何処にも。

今、チュオンに鳩を飛ばした!



チュオンさんは?


サメが大量に出て、沖まで行くらしい。


隣村で出港の支度をしていた

チュオンの所に鳩が飛んで来た。



はっ?なんだと!くそっ!早く

退治して戻らねば!


チュオンは、

レンちゃんは、此処には居ない!

自分達の子供に気をめぐらせろ!


と鳩を屋敷まで飛ばした。



チュオンの所にも居ないようだ…


どうしよう?ねえ?ヨン?レンは?


ヨンは、気を込めて、レンを探したが

気配が感じられなかった。


マンボの所にも鳩を飛ばした。


屋敷のみんなもレンを探した。


何処にもいないレン。


ウンスは、泣き出した。


レン!レン!私が悪いんだわ…。


いや、俺のせいだ!あんなに可愛くて

仕方ない息子を不安にしてしもうた…

チュオンの言う通りだ!

双子にかかりっきりで、レンは

大丈夫だと言うから、甘えてしもうた。



誘拐…拐われたの?


いや、この国にそんな奴は

いないはずだし、元にも行けない!

ちょっとアン・ジェの所へ行ってくる!


ざわめく胸を隠しながら、チュホンを

飛ばし、国防軍へ行った。



ヨン?どうした?


レンが…居なくなった!


なんだって!レンちゃんが?何故だ?

直ぐに国中を探させる!

禁軍を動かした。

ウダルチもだ。

国防軍総出でレンの捜索という

大事になっていた。



レンは食物の貯蔵庫に居た。


船が沖に向い暫く経つと、

目を覚ましたレンは、暗い中で、

急に怖くなって、泣き出した。



うわぁ~ん!とおしゃま!とおしゃま!


食材を取りに来た隊員が

気づいた!


はっ!何故?此処に子供が?捨て子か?


うわぁ~ん、とおしゃま!かあしゃま!



ぼ、ぼく?名前は?


ひっく、ひっく、レン…


レンちゃん?どうして此処に居るのかな?



チュオンしゃん…



へっ?隊長の息子?


隊員は直ぐに隊長の所へ連れて行った。


隊長!子供が…



レレレ、レンちゃん!!


キリッとカッコイイ高麗大国水軍の

制服を着たチュオンがいた。


うわぁ~ん!チュオンしゃん!!


レンちゃん!父さまと母さまに

黙って来たのか?


あい…だって…ひっく…レン…

とおしゃまのあしれまろい…


ヨンが心配して、鳩を飛ばして来た!

レンちゃんは、足手まといじゃない!


レン…えいって、できなくなったの…


えっ?内攻かい?


えいっ!て、かぜもふかないし、

ロンとランのおこえもきこえましぇん…

とおしゃま…きらいになる…ひっく…


それで、家出したのかい?


チュオンしゃん…ちゅりするって、

おとこのやくしょく…

チュオンしゃんも…レン、きらい?



嫌いな訳ないだろ?

だけど、父さまと母さまに黙って

此処に来たレンちゃんは、嫌いになるぞ!

今頃、大騒ぎで母さまは、泣いてるぞ?

しかし、どうやって来たんだ?


おうましゃんのおうちにのって、

くっちゃろーって、いったら、

おじしゃんが…おっきぃおふねの

ところに…おにもつのなかで、

かくれんぼしました…ひっく


隊長!おそらく、艦内に運び込む

食料の荷物の中だと思います!

貯蔵庫に居ました!


行商の馬車で来たのか?

困ったな…さっさと鮫退治して、

戻らねば!


チュオンは、子細を書いて、

ヨンに鳩を飛ばした。


いいかい?レンちゃん?

おじさんは、お仕事をしなくては、

ならないから、父さまの所へ帰れるのは

あと二日はかかる!

我慢できるかい?


うわぁ~ん!とおしゃま、ごめんなしゃい


ヨンは、レンちゃんに力が無くなっても

嫌いになるような男じゃないぞ?

今は、ロンとランに手がかかって、

ヨンは、医仙様を気づかって、

レンちゃんが寂しいのに気付くのが

遅くなっただけだぞ?


レン…ロンとランとおはなしできない

いったら…とおしゃま…かなしいおかお

してまちた…。


ずっと言えなかったのかい?

それで、悲しかったのかい?

ヨンの助けにならないと思ったのかい?


あい…


ヨンが悲しい顔をしたのは、

レンちゃんの事に気づけなかったからだ!

自分に腹を立てたんだ!


た、隊長!もしや、チェ・ヨン将軍の

ご子息ですか?ソックリです!


ああ、そうだ!

チェ・ヨンの愛息子だ!


レン…まだ…まにゃむしゅこ?


当たり前だろ?

今頃、泣いてるかもしれないぞ?


とおしゃまは、つおいから、

めしょめしょしましぇん…

レンは…よわむしだからめしょめしょ…


レンちゃんは、まだ二才だ!

大声で泣いていいんだよ?


うわぁ~ん、とおしゃま〜


隊長!戻っては?

少し遅れても大丈夫かと思います!



いや!戻らぬ!

個人的な事情と、漁に出られず、

生活に困ってる国民のどちらを優先させる?


しかし…将軍のご子息です!


だからだ!

二日間会えない辛さは、

レンちゃんにも一人で家出したお仕置きだ!

そして、ヨンと医仙様にも、

レンちゃんをここまで追い込んだ罰を

与えねばならぬ!

さっきな…頭の中でプチンと糸が

キレた!医仙様がよくキレる!

と言うのがよくわかった!

俺はキレた!


うわぁ~ん、ごめなしゃい〜!


レンの泣き声が響いていた。

チュオンはソっとレンを抱き上げた。



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チュオン、キレました!

でも、間違った事は言わない男💗