光の中から、ゾロゾロと沢山出て来た。


「お姉さん達!!レンちゃん!!」


「こ、これは…いったい…皇帝陛下と

皇后陛下が…沢山…」


「こちらは?説明は後で!トギ…エルナさん

の状態は?」


「は、はい!クリスティナ・マイヤーと

申します。大公夫人は、転んで、

出血が多く…予定日まで2週間です!」


「ソウハクですね。」

キャリーバッグを持ったウンスが言う。


「そうね。えっと、騎士団の人達を集めて

下さい!時間がないわ!輸血が必要なの!

トギも私もA型だから、直ぐに

調べなきゃ!」


ベトルが猛ダッシュした!



「今日は、レンが早く人を集めてと

騒いだんです。トギが転ぶって!

それで、こちらは、初めてでしたね?

三日前に戻ったウンスさんです。

彼女が色々な薬剤や医療道具を

持っているので、呼びました。」



「あの、ソウハクとは?」


「常位胎盤早期剥離です!転んだ衝撃で

胎盤が剥がれ、大量出血するんです!

命に関わります!今日は私が手術します!

レンちゃんウンスさんは、妊婦になった

ので。あっ!チャン先生じゃなくて、

大公殿下!エルナさんのお腹を切ら

なければ、2人共、助かりません!

宜しいですか?」


「えっ?腹を切って、助かるのですか?

子供は…またできます!エルナを!」


「2人共助けます!子供が九人いるけど

腕は落ちてないわ!私が手術して

死なせた患者はいないの!傷痕は、

体力が回復したら、ウンスさんの魔法で

綺麗にできるでしょ?三つ子が

無事産まれた事はレンちゃんから

聞きました。」


「はい!」


キャリーバッグから沢山の物を出して、

エルナの血液をサクッと調べた。

「やはり、A型です!」


ドヤドヤと騎士団が入って来た。


「はーい!こっちに並んで!

血液型を調べます!」


「皇后陛下?」


「違うわ!時間がないの!

早く、腕を出して!」


サクサクと検査キットで調べた。


「うん!チュソクさんとテマン君が

A型だわ!此処に寝て!いい?血を

抜きながら、エルナさんに入れます。

輸血といいます!足りなくなった血を

補う事よ!」


「男の人はカーテンの外に出て

下さい!」


「私は、エルナの側に!」


「血を見ても大丈夫?」


「はい!」


「マイヤー先生もこの術式をよく

見て下さい!それでは始めます!」


「私達が助手に付きます!」


「バイタルは?」


「85−55です!輸血開始します!」


「子供の心音は?」


「弱いですが、大丈夫です!生きてます!」


カーテンで仕切られ寝かされたチュザレ

の腕に刺された針から太い管に血が

流れて行く。

エルナの体内に腕から繋がった管から

血液が入って行く。


麻酔を打って手際よくお腹にメスを入れた。


「普通は、母体と子供を繋ぐ胎盤は、

出産後に出されます!それが、

出産前に何らかの衝撃で剥がれてしまう

事があるんです!命に関わる事です!」


「だ、団長!これは?いったい…

団長と同じ顔の方々が…」


「説明は後だ!死なぬ程度に抜いて

下さい!」


「そのつもりよ!出血が少し多いわ!

あら?逆子になったのね。」


皇后ウンスは、食い入るように見ていた。

マイヤー夫人もだ。


あっという間に子供を取り出した。


「はい!此処を切って!」


ビンがへその緒切ったが泣かない。


「管を入れて、羊水、血液を!」


「はい!」


子供の口から細い管を入れて、

吸い出した。


「ンギ、ンギ、ンギャー!」


歓声が上がった。


手際良く洗って、綺麗にして、体重を

測った。


「2850gの女の子です!異常はないです!」


タオルに包み、ビンに抱かせた。


「ああ…頑張ってくれたな…我が娘よ…

すみません…エルナは?」

ボロボロに泣きながら聞いた。


「処置が終わったので、これから

閉じます!輸血を代わって下さい!」


今度はナマンテが血を抜かれた。


「流石です!速いです!」


「バイタルは?」


「100−60です!」


「止血剤が聞いたみたい!下からの

出血が止まったわよ!」


「こっちも、終わるわ!カット!」


「はい!」


「抗生剤と痛み止め入りの点滴を

するわよ?」


「オッケー。心音も異常なしよ!

子供を診る人はいる?」


「は、はい!侍医のアレクです!」


ビンから子供を受け取った。


「輸血量は?」


「1200です!」

「うーん、あと一人欲しいな。輸血した

人は休ませておいて!」


「はい!」


「あの…私の血を…」


「あっ!そっか!チャン侍医も

A型だったわ!」

一応調べたが、やはりA型だった

ビンの血がエルナに入って行った。




マイヤー夫人は、神業を見たように、

ポカーンとしていた。


「凄いです!お姉さん達は、医術の

神女様です!」


「言ったであろう?ウンスは、

数え切れぬ程の人々を助けたと。

心臓の手術は半日かかる事もある!」


カーテン越しにヨンの声が聞こえた。


「レンちゃーん!後は、お願い!」


「はーい!」


レンが入ってきた。


エルナの所にくると、手を握った。


暖かい和らかな光りがエルナを包む。


ほんのりと顔が赤くなってきた。


「輸血は、もういいわ!ビンさん!

こっちに来て!」


「あっ、はい!」


エルナが少し目を覚ました。


「ビン様…ごめんなさい…赤ちゃんは?」


「ああ、ああ、エルナ!元気な女の子だ!

私が一人にしてしまった…」


「お父様とお母様は?」


「エルナ!此処にいるぞ!

可愛い女の子だ!エルナにもビンにも

似ているぞ!」



「もう、だいじょぶです!レンね、

ゆめでみて、びっくりして、かあしゃま

に、しゅぐにおねがいしたんです。

レンのちからがたりなかったのかな…

うわぁ〜ん!とおしゃま!レン、

たんれんがたりなかったです。」


「入っても宜しいか?」


「あ、うん、もういいわよ。」



「レン?それは、違うぞ?

レンは、父さま達には、できない事を

してくれたんだぞ?

お姉さんは、ちょっとうっかりさんで、

転んでしまったんだろうな。

レンは、毎日、鍛錬を続けて、

頑張ってるのは、父さまが知ってる!

ほら?泣かなくていいんだぞ?」


「でも、でも、レン、またにーたんに

なるのに、しっかりさんじゃないです。」


「レン?しっかりさんじゃなくても

いいんだぞ?レンは、まだ4才なんだから

もっとワガママでもいい位だ!」


「ロンもランもいるのに、かあしゃまが

またふたりおなかにいるから、

レンは、ひとりぽっち…。」


「あっ、そう言う事ね?

レン?レンは、ひとりぽっちじゃ

ないでしょ?父さまに会った時の事、

憶えてる?」


「グスッ、はい…レンがあいたかった

とおしゃまのにおいがしました。

おむねのなかにいれてくれました。」


「でしょ?父さまは、レンの事が

大好きでどうしていいか?困った!

って言ってたのよ?母さまは、

とっても嬉しかったわ。ああ、レンは

父さまから沢山の愛を貰ってるって!

ロンもランも一緒に生まれて、次も

一緒に生まれてくるけど、レンは

一人で生まれたんじゃないのよ?

母さまは、父さまの事を思って、

レンを生んだの。レンが生まれて、

母さまも強くなれたの。だから、

レンは、母さまと一緒なのよ?

お腹の中にいる時もずっと母さまと

お話していたでしょ?母さまには、

レンだけが話し相手だったのよ?」


「あい、しょでした。」


「今だって、お姉さんは、一人で可愛い

女の子を一人で生んだと思う?」


「いえ、いっぱいのひとが、

たすけてくれました。」


「でしょ?レンが夢を見てくれなかったら

助けてあげられなかったわ。

朝から、早く!早く!って、教えて

くれたでしょ?レンが助けたのよ!

ほら?おいで!ギュッとしてあげるから、

泣きたいだけ泣きなさい。」


「うわぁ~ん、かあしゃま!かあしゃま!」


「おっ?ずるいぞ?ウンス!

ほら?父さまの懐に入れてやるぞ!」


「とおしゃま!とおしゃま!」



「おい?なんだ?あの可愛い子は?

団長にそっくりだけど、どうなってるんだ?」


「副団長!うるさいです!なんて、

感動的なんだ!」


「この不思議な状態について、

今から説明する!」

皇帝ヨンが話し始めたのだった。







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長くなるので、一旦切りました。

間に合いました!

今回はお腹を切ると言う事に

なりましたが、傷痕は、ウンスの

魔法で消せると思ったので帝王切開です。

色々な手術の手法を見せました!

執刀医は、連理之枝のウンス、

助手は、キャリーバッグのウンスと

レンのウンスでした。

レンも自分のせいにしちゃって、

ほんと健気ですよね?