保育器にへばりついている2人。



「うわぁ〜、ほんとソックリね?」


「ああ、だが不思議なもので、見分け

がつくんだ。」


「うん!こっちが、シヨンで、こっちが

リヨンでしょ?」


「ああ、ホクロが小さいから、

わかりづらいが、無くても解るんだ。」


「うんうん!こんなに小さいのに、

一生懸命生きてるんだね…私も

しっかりしなきゃ!」


スッと顔を上げると一筋の涙が

頬を伝ったウンスの顔は、とても

美しかった。

思わず口づけたヨンだ。




「ほんとに仲が宜しくて、

皇帝陛下?お名前が、決まった

のですか?」


「ああ、第一皇子とかは無しだ!

長男が、シヨン、次男がリヨン、

長女がマリンだ!3人にチェレンの

称号を与え、3人が次期皇帝だ!」


「素晴らしいお考えですわ!

シヨン・チェレン・サンダー皇子様

リヨン・チェレン・サンダー皇子様

マリン・チェレン・サンダー皇女様

と言う事ですね?」


「流石、マイヤー夫人だ!話が早い!」


「派閥争いに巻き込まれて、兄弟が

憎み合うなんて、望んでないんです。

ただ、マリンが将来運命の人に出会い

結婚するのなら、喜んで嫁がせます。」


「は?マリンは誰にもやらないぞ!

俺と勝負して勝てる奴なら考えてみる!

見ろ?ウンスにそっくりだ!美しく、

聡明な娘になる!」


「クスクス、皇帝陛下?まだまだ先の

話でございます。」


「ほんと!今から親バカなの?

じゃあ、私のライバルはマリン?」


「い、いや、ウンスはウンスだ!

愛しい妻だ!」


「仲がよろしくて、この国も安泰で

ございます。あっ、皇后陛下?

明日か明後日には、胸も張ってくるかと

思います。羨ましい程の大きな胸が

更に大きくなり、痛くなってきます。

皇帝陛下は、暖かいタオルで、

よく揉みほぐしてあげて下さい。

お乳がでましたら、皇后陛下が

異世界より調達した

さくにゅうき?とやらで、母乳を

少しだけでも届けて下さい。私が

やってもいいのですが…」


「いや、俺がやる!」


「それと、小さいと不安になられる

でしょうが、私達は驚いているのですよ?

三つ子でこんなに育った等、奇跡に

近いですし、あっという間のお産

でした。2400gになりましたら、

お手元に戻れるかと思います。

今日は後陣痛で痛むかもしれません。

少しだけ、抱いてみますか?」


マイヤー夫人が一人ずつを交互に

抱かせてくれた。


「小さいね。凄く可愛いね。」


「ああ…」ヨンの目頭も熱くなった。

三人を抱いた時、

ウンスと同じように腕に小さく

星型の光りが見えた。


「大物になるな?」


「うん。」


小さくて軽いけど重い命だった。


その日は時折、お腹の違和感が

あったが、強い痛みはなかった。


翌日は、ユックリ起きて、2人で

朝食をとった。


「今日は議会?」


「ああ、ウンスの診察が終わったら、

子供達の誕生報告と、名前、継承権に

ついて、話す!トンプソン紙も来て

いるはずだ。」


「トンプソン紙って、皇室担当の?

でも、他の新聞とかは、後継者問題を

批判したりするんじゃない?」


「ああ、そうなったら、そこの新聞社

を潰し、罪を問う!皇室侮辱罪でな。」


「そっか、騎士団長に逆らう人なんて

いないものね。」



「皇帝陛下!!宜しいですか?」


「どうした?メイド長?」


「贈り物が凄いのですが、懐妊祝いの

時のように国中の施設に寄付して

宜しいでしょうか?」


「ああ、そうしてくれ!礼状も

丁重に頼む!高額な物や金を贈って

来た者には送り返せ!人手が

足りなければ、ソクチュに言ってくれ!」


「かしこまりました。それと…」


「何かあったか?」


「皇子様達と皇女様に会いたいの

ですが…」


「あっ、そうだったな。この後、

ウンスの検診と子供達に会いに行くから

一緒に来るといい。」


「ありがとうございます。」


皇宮特別診察室まで行くと、

チェミは、子供達をずっと見ていた。


ウンスは、産後の経過を診て貰う。


「異常はないです。胸の張りは?」


「少し痛くなってきました。」


「固くなり過ぎないようにして

下さい。あっ、明け方、三人揃って

泣きまして、ミルクを少し飲みました。

毎日量を増やして行きます。しかし、

あのミルクとは、素晴らしい物で

ございますね?成分を調べましたが、

母乳と殆ど同じとは、驚きました。

静かだった診察室も賑やかになり、

皆んなを笑顔にしてくれています。」


「マイヤー夫人…お腹がしわしわの

ブヨブヨで…」


「三人もお腹に居たのですから、

産後の回復が早いようなので、

元に戻りますが、妊娠線は、消えません。」


「それは、ウンスの得意分野だろ?」


「うん…そうだけど、今はまだその力が

ないわ。」


「焦らず、ゆっくりだ!沢山食べて、

沢山寝る!まだまともに歩けないんだ。

そこからだぞ?」


「子供達の所へ歩いて行ってみる!」


ゆっくりと歩いて行った。


チェミが、へばり付いていた。


「坊ちゃまが産まれた時と

そっくりでございます。アリシア様は

ビン様の遊び相手ができたと大層

喜んでおりました。」


「何だか不思議な感じです。

ヨンのお母様と私のお母様が

同じ名前だなんて…。」


「あっ、申し訳ございません。

坊ちゃまだなんて…。お母様の名前が

一緒とは、何か縁があるのでしょう。」



「あれ?

昨日より、大きくなったように見えるわ。」


「そんなに簡単に大きく…ん?ほんとだ。」


「気づきましたか?本当にこんな事は

初めてです!昨日より100gも増えて

おります。新生児の100gは、凄い

事なんです。マリン様は2000gに

なりました。本来なら、少し減るの

ですが。」


「ヨンの血が濃いのかも?体格が

いいから、子供達も似たのよ。」


「ウンス様!」


「エルナ!!」


「もう歩いてもいいのですか?」


「産後は、普通なら歩いた方が

良いのよ。でもね、三人もお腹に

居たから、まだバランスがよく

取れないのよ。」


「兄上!検診ですか?」


「ああ、それに、甥っ子と姪っ子の

顔も見たかったからな。議会には、

参加するぞ。」


「それで、名前が決まりました。

長男はシヨン・チェレン・サンダー

次男はリヨン・チェレン・サンダー

長女はマリン・チェレン・サンダー

として、チェレンの称号を与え、

三人が皇帝と言う事にします!

落としたソンゲールの領地を与えよう

かと思ってます。」


「いい考えだな?継承権争いを

避ける為だろ?あれ程くだらなく、

醜い大人の争いはない!まあ、

黒の騎士団長に逆らう奴等もいないだろう

もしも、そんな輩がいたら、魔獣は

まだいると脅し、そいつ等に

行って貰う事にする!」


バタバタバタバタッ!


「生まれたってぇー!」


「叔父上!叔母上!」


「どれどれ〜。たまげたっ!そっくりだ!

小さいが、思った以上にしっかりと

した顔つきをしてるよ!」


「ああ、こりゃ、見分けがつかないな。

しかし、女の子は、皇后にそっくりだ!」


それから、皇位継承の話をした。


「そりゃ、いい事だ!大賛成だ!

ところで、エルナももうすぐだろ?」


「はい。お父様!お母様!実は、

逆子になってしまったのですが、

大丈夫です!」


「エルナが大丈夫と言うなら大丈夫だ!

それに、マイヤー夫人の腕は確かだ!」


エルナの診察が終わった。


「お子様は、元気でございます!

もうすぐ産み月に入ります。

しかし、お産はいつ始まるか?

わかりません。こちらも万全の

準備を整えておきます!」


部屋にも戻ると、ヨンは、支度をした。


「う〜〜ん。惚れ惚れしちゃう!」


「そうか?あまり煽るなよ?」


「そうよね…ヨンには随分我慢させて

るわ。」


「其れ位は、全く問題ないぞ?だけど…

早く回復してくれ!」


「クスッ、はい!皇帝陛下!」


ヨンは、議会へと行った。






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一生懸命生きる小さな子供達は

大物になるでしょうね。

マリンは嫁にやらないそうです😂


さて、エルナとビンの所にも、

間もなくやって来ますね👶