部屋に戻るといつの間にか眠って


しまったウンス。

起きたのは、夜の10時過ぎだった。


「ヨン?」


「あっ!起きたか?身体は?」


ソファに座り、何か書いていたヨン。


「うん。何だか、あっちこっち筋肉痛。」


「あれだけの力を使ったのだから、

当たり前だぞ?マイヤー夫人が

診に来たのも知らないだろ?」


「えっ?そうなの?」


「驚いていたぞ?三つ子は難産だと

覚悟していたようだが、普通の人より

簡単に産んだって!俺も、ジェイに

聞いていたが、お産は断末魔の叫び

とか言ってた。レンちゃんのおかげ

なのだと、どうやって感謝を伝えようか?

悩んでいたんだ。」


「うん。私も、ビックリだった。

物凄く痛いし、命懸けだと聞いていた

から、本当にレンちゃんのおかげよね?

あっ?子供達は?」


「何度も見てきたが、小さいけど、

元気だった。2週間程で、こちらに

来れるそうだ。」


「良かった…トイレに行きたいの…

歩いてみる!」


「そうか、俺に掴まって!」


起き上がり、立とうとするとふらついた。


「うわっ!上手く歩けないわ!」


「3人もお腹に居たんだ、バランスが

上手く取れないのは当たり前だぞ?」


「うん。でも、頑張ってみる!」


一歩一歩、ゆっくりと、ヨンに掴まって

トイレまで行った。


ベッドに戻ると、お腹が可愛く鳴った。


ヨンは扉を開けると、チェミを呼び、

食事を持ってきて貰った。


パクパクと良く食べるウンスを見て

笑みが溢れた。


「そういえばヨン?何を考えていたの?」


「ああ、名前だ!息子が2人に娘が1人。

親になった実感を噛み締めて、考えてた。」


「あのね…マイヤー夫人は、勿論、

知っていたと思うけど、第一皇子様とか

言ってたでしょ?皇位継承で、色々

見て来たから、兄弟が争うのは嫌なの。

それに、第一皇子派と第二皇子派とか

貴族のおじさん達が派閥に別れたら、

子供達がかわいそうでしょ?」



「ああ、それを考えていた。それで、

子供達3人に特別な称号を与えて、

3人を跡継ぎの皇帝にしようかと

思った!」


「それ!凄くいいわ!」


「俺も王国の時、第二王子だったから、

やはり、派閥ができたんだ。まだ子供の

頃からな。だけど、俺は兄上を尊敬

していたから、王位継承には興味も

なかった。ただ、兄上は物静かだから

王位に相応しくないとか、言い出して、

俺はアカデミーで剣術の方を磨き、

煩い貴族には、制裁を与えた!」


「殺したの?」


「いや、雷攻を使っただけだ。当時の

雷攻は、剣に込める程度だったけど、

手足を斬りつけて、議会の奴等を一掃

した。あの時は、アイツ等が両親を

殺したと思っていたからな。

ソードマスターになってから、騎士団に

入ったんだ。だから、子供達には、

そんな思いをさせたくない。」


「うん!そういえば、あの人達は?」


「ああ、全く反省もせず、スープと

パンで殺す気か!と叫んでるようだ。」


「死なないわよ!私とエルナは、

それで育ったんだもの。」


「だからかな?ウンスの食欲がない時、

あのスープとパンが食べたいと言った

時、余計に長く牢に居て貰おうと思った!」


「あっ、ごめんね。ヨンにも付き合わせ

ちゃったものね。ただ慣れた味だったの。」


「それは、わかってるが、調理長がな、

不憫だと、泣きながら作ったらしいぞ?」


「そっか…明日から、お肉もモリモリ

食べて、調理長に贅沢言っちゃうわ。」


「さぞかし、喜ぶと思うぞ。」


「それで?名前は、決まったの?」


「一応考えたが、異例だからウンスの

意見も聞こうと思ってた。」


「称号って、名前に入れたんでしょ?」


「ああ。レンちゃんの名前を。

長男はシヨン・チェレン・サンダー。

次男はリヨン・チェレン・サンダー。

長女はマリン・チェレン・サンダー。

チェレンの名を持つ者は、後継者で、

あのソンゲールだった地を三人に

与える!そして、誰にも後継者に

ついて、文句を言わせない!

この広大なサンダー帝国に三人の

皇帝が力を合せて欲しいと言う願いも

ある!」


「うんうん!素敵だわ!レンちゃんに

恩返しできるし、三人を分け隔てなく

育てる事は理想だもの。でもね、

元々、私達の子供が争いなんて

しないと思っているわ。」


「だよな。しかし、大人はコロコロと

変わる者だから、チェレンの称号を

付けた。」


「シヨンにリヨンにマリンね。素敵。

ヨン?お願いがあるの?」


「なんだ?」


「子供達の所に連れって!」


「仰せのままに!」


ウンスを抱き上げると、

子供達の所へ行った。




「うわっ!かわいい!」


「レン?何か居たの?」


「ちがいましゅ。小さいかあしゃまが

三人うまれました。かわいいです。

とーってもげんきです。」


「あら?無事に産まれたのね。男の子?」


「おとこのこふたりとおんなのこひとり

です。」


「良かったな?」


「でも…とぎしゃん…えるなしゃんの

あかちゃんが、まださかさまです。」



「えっ?逆子なの?あとひと月くらい?

元に戻るといいけど…。」


「大丈夫であろう!レンが気を分けた

から、無事に生まれるだろうし、

困難なら、呼ぶだろ?」


「そうよね。」


「かあしゃまも!」


「えっ?」


「レン?何がだ?」


「かあしゃまのおなかにもうすぐ、

あかちゃんがきます。」


「マジか?」

「激ヤバ!」

「だいじょぶです。ロンとランは、

レンがかわいいします!」


「どうしよ?双子はもうすぐ一才

だけど、手がかかるわ。それに

私も高齢出産よ?」


「案ずるな!使用人は沢山いるし、

レンがいる!」


「しょです!レンも4さいになります!

もうおとなでしゅ!」


「クスクス」

「ハハ、そうか!レンも大人になったな!」


ニコッとVサインをしたレンだった。




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私も色々な本を読んで、兄弟がいると

皇位継承争いは必ずあるのですが、

ヨンは、身を持って経験したので、

敢えて3人の子にチェレンの称号を

付けて、皇帝を3人にすると言う事に

しました。チェ・レン…レンちゃんが

また、力を増しましたね💗

シヨン、リヨン、マリンです!

宜しくお願いしますm(_ _)m