ヨンは、より慎重にウンスを運んだ。



診察室前で、ビンとエルナが待っていた。


「ナマンテが知らせてくれたんだ。

ヨン?頬が少し赤いぞ?」


「兄上!初めて狼狽えました!破水したと

聞いた時に全身が震えたんです!

子供を迎える覚悟が足りないと思い、

ウンスに殴って貰いました!お産を

するのはウンスですが、一緒に挑みたい

と思います!」


「ああ、その気持ちは、良くわかる!」


「エルナ〜、やっと会えるわ!もう

ワクワクよ!」


「ウンス様!よくわかります!

私達も見守っていますので、頑張って

下さい!」


「全く、この2人が騎士団に居たら、

最強だと思います!」


「同感だな。」


診察室に入ると、バタバタと

慌ただしかった。


マイヤー夫人がニッコリと笑った。


「皇后陛下!やはり陣痛が始まって

いたようですね。さあ、子供達を

迎えましょう!」


「宜しくお願いします。」


「皇帝陛下!ベッドに寝かせて下さい!

他の方は、カーテンの向こうで

お待ち下さい!」


ヨンは、ソっと棒が付いてる

ベッドに寝かせた。


マイヤー夫人は下半身に大きな布を

被せると内診した。


「まあ、皇后陛下?痛みはなかったの

ですか?全開していて、お子様の頭が

見えています!」


「痛みというか、少し違和感があり

ました。何だか、う〜んって、したい

です!」


「その違和感が、来たら、いきんで

下さい!ベッドの上の棒を掴んで

下さい!皇帝陛下は、こちらで、

しっかり手を洗って下さい!」


ヨンは、ゴシゴシと手を綺麗に洗った。


「いきむ?」


「踏ん張って下さい!」


「あっ!」


「息を大きく吸って、踏ん張って

下さい!」


「うーーーん!うーーん!」


「頭が出ました!もう少しです!」


「うーーん!うーーん!」


スルンと出て来た。


「皇帝陛下!此処をハサミで切って

下さい!」

慎重に切ると…


「おんぎゃーっ!おぎゃーっ!」

と元気良く泣いた。


「第一皇子様でございます!皇帝陛下に

よく似ております!今、綺麗にします!」


助手に渡すと重さを測り、

綺麗に洗った。


「先生!2044gです!」


「問題ないわ!」


タオルに包んだ赤子を抱かされたヨン。


「小さいな…でも…元気だ…俺達の子…」

ボロボロと涙が溢れた。


ウンスの胸の上に乗せた。


「はじめまして。グスッ、やっと

会えたね。小さいわ…」


「三つ子でこの大きさなら、

問題ありません!直ぐに保育器に!」


カーテンの向こうにいるスタッフ達が

手際良く、子供を診て、保育器に入れた。


「あっ!また、踏ん張りたいです!」


「大丈夫です!同じ様に!」


「うーーーん!うーーーん!」


「お上手です!頭が見えてきました!

息を大きく吸って下さい!」


「うーーん!うーーん!うーーん!」


「もう少しです!」



「うーーーーん!うーーーーん!」


スルッと出た。


「皇帝陛下!ここです!」


同じ様に慎重に臍の緒切った。


「ふんぎゃーーっ!ふんぎゃーーっ!」


「第二皇子様です!良く似ております!」


素早く渡した。


「先生!同じく2044gです!」


「素晴らしいです!皇后陛下!

良く育てました!問題ありません!」


2人目の子供も抱かされた。


「そっくり…だな…見分けがつかないぞ?」


ウンスに見せた。


「ほんと…可愛い…でも、ほら?こめかみに

小さなホクロがあるわ…」


「ああ…」


同じく丁寧に診て、保育器に入れた。


「ウンス様!皇帝陛下にそっくりな

皇子様達ですわ!グスッ

手足をバタバタさせて、とっても、

お元気ですわ!」


「ヨンが産まれた時にそっくりだぞ?」

エルナとビンも感極まっていた。



「さあ!皇后陛下!あと一人です!

頑張りましょう!お二人が15分で

お産まれました。凄い事です!

この調子です!」


「はい…でも、マイヤー夫人?

腕の力が入らないんです…」


「ウンス?いつもの様に俺が

背もたれになってやる。頑張れるな?ん?」


「うん!ヨンを掴んでいい?」


「つねっても、叩いてもいいぞ?」


「本当にこの国は安泰です!

皇帝陛下と皇后陛下の仲睦まじい姿を

もっと国民が知るべきですわ!」


「あっ!」


「きましたか?踏ん張って下さい!」


ウンスはヨンの手を掴んで、踏ん張った。


「うーーーん!うーーーん!ハッハッ」


「苦しかったら、大きく息を吸って

下さい!」


「うーーーーん!うーーーーん!」


凄い力だった。

ヨンは、タオルでウンスの額の汗を

拭き、チュッとした。


「あまり母上を困らせるな!早く、

俺達の所へ来い!」



「うーーーん!うーーーん!」


「お上手です!頭が見えてきました!

あと少しです!」


汗で濡れた手も拭いた。


「うーーん!うーーん!ハッハッ、グッ!」


ズルっと出た。


「皇帝陛下!ここを!」


ウンスを寝かせると、

ハサミで切った。


「ウギ、ウギ、ウギャーッ!」


「姫様…皇女様でございます!」


手際良く渡す。


「1900gです!小さいですがお元気です!」


綺麗になった娘を抱いた。


「ウンスに似てるぞ…嫁にやらんぞ…

マイヤー夫人?こんなに小さくて

大丈夫なのか?」


「大丈夫でございます!私達は、

1500g以下と想定しておりましたが

皇后陛下が頑張りました。」


「ウンス…見てみろ?髪の毛も顔立ちも

ウンスにそっくりだぞ?」


「うん…男の子2人と女の子だったのね。

凄く嬉しいわ。」


「ああ。俺の指を小さな手で握ってる。

可愛いな。」


皇女様も良く診て保育器に入れた。


アレクは、扉を開けて、

外で待ってる人々に叫んだ!


「皇子様2人と皇女様です!」


「わぁーーーっ!」


チェミは、ポロポロ泣きながら、

両手を叩いた。


その後、盛大に皇宮から、花火が

上がった!


国民は、大騒ぎだった!


「お産まれになったのか?」


「バンザーイ!」

「バンザーイ!」


ナマンテは、走り、大声で叫んだ!

「皇后陛下が皇子様2人と皇女様を

お生みになられた!お元気だ!」


「わぁーーっ!」

「キャーッ!」


「バンザーイ!バンザーイ!」


「騎士様?皇后陛下は?」


「お元気だ!」


「良かったわ!」

「なんて、めでたい日だ!」


その日は、帝国歴1年4月4日だった。


大仕事を終えたウンスは、

お産の後処理を終えて、開けられた

カーテンの向こうの子供達を見ていた。


「あっ!あくびしたわ!」


「ああ。ウンス?凄い力だった。

少し眠った方が…」


「何だか興奮して、眠れないわ!」


「6時間程経ったら、トイレに行っても

いいですよ?お部屋に戻っても

大丈夫です!」


「マイヤー夫人?産後は、絶対安静

なのではないか?」


「いえ、歩いた方が回復が早いですが

バランスが取れないかと思いますので

付き添ってあげて下さい。皇后陛下は、

私達の想像を超える安産でございました。

大丈夫でございます。」


「ああ、わかった。」


「皇子様達と皇女様は、責任を

持って、診ますので、ご安心下さい。

皇后陛下が異国で手に入れた、

ミルクと紙オムツが役立ちます。

何よりも保育器が活躍します。」


「初乳は?」


「今は大丈夫でございます。まずは、

ゆっくりとお休み下さい!」


暫く、診察室に居て、

ヨンがウンスを抱き上げ、

子供達の顔をじっくり見てから、

部屋へと戻った。





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やっと産まれました🙌🙌🙌👶👶👶

皇子様2人と皇女様です💗

後は、名前で悩むヨンですね😂

サンダー王国としては、200年以上ですが

帝国になり初年なので、帝国歴に

しました。