ムンゲイツ・チフロン侯爵邸が


よく見える丘に着いた。


「ウンス?異空間魔法もソロバンと

やらで、計算して完成させたのか?」


「違うわ!魔法は、数式があって、

それを沢山計算して完成させたの。

それより見て!ほら?黒い煙が

少し巻き付くように出てるわ!」


「俺達には見えないが、良からぬ

気配は感じ取れる。」


「今のうちに浄化した方がいいけど、

大した事ない黒魔術ね。おそらく、

中途半端に覚えた黒魔術だわ。

町全体には、危険は及ばないけど、

屋敷の中の数人は、悪い心が芽生えてる

って感じかしら。」


「わかった!浄化が済んだら、

黒魔術を使った男を探す!」


ウンスは、腕を十字に斬ると、

眩しい光りに侯爵邸が包まれた。


「うん!大丈夫だわ!」



侯爵邸では、贅沢な饗しを受けていた

タリル・ブロークスは、一瞬の光で

魔力を失った事に気づかなかった。


チフロン侯爵は、我に返った。


メヒルの顔は、ある程度は、元に

戻っていたが、悪い心が消えていった。



パッと現れた4人。


「はっ、輝く太陽光り輝く星、護り神の

皇帝陛下にご挨拶申し上げます!」


「はん!皇帝だと?この国は、俺の

言いなりになるのだ!」


「バカなの?あなた、魔力はもう

ないわよ?それに気付いてないの?」


「皇后か?俺の偉大なる魔術で

お前を皇后の座から引き摺り降ろして…」


「ふ~ん。そうなの?やってみたら?

魔術は使えないはずよ?」


「なんだとぉーーっ!喰らえ!!」


「私を誰だと思ってるの?黒魔術

なんて、効かないわよ!」


「くそっ!何故だ!魔法が…使えない…」



ヨンの雷攻がブロークスに直撃した。


「ぐわっ…」

泡を吹いて倒れた。



「チフロン侯爵!そなたを信じていた!

しかし、このザマはどう言う事だ!

皇后に魔術を仕掛けようとする男を

そなたは、信じたと言う事か?

反逆だ!死罪に値する!」



「皇帝陛下…娘が不憫でした…。」


「皇帝陛下!ワタクシは…ずっと…

恋い慕っておりました…」


「俺はそなたを初めて見る!

俺の何処に恋い慕っているといるのだ?」


「そ、それは…強くて、美男で…」


「笑わせるな!それは、恋い慕うと

言わない!強くて美男なら誰でも良いと

言う事だ!それが不敬だと言う事も

わからないのか?皇后の前だぞ?」


「チフロン!皇帝陛下は、

幼き頃から、皇后陛下だけを見てきた!

力を付けて、やっと迎える事が

出来たのだ!甘くみるな!

娘可愛さに黒魔術に頼るとは、

反旗を翻したとみなされる!」


「はい…どんな処罰も受け入れます。」


「皇后陛下は、不貞を働いて

身籠って嫁いだと聞きました!

ワタクシは、皇帝陛下だけを…」


「誰がそんな事を言ったのだ?」


「お父様が…それに、お腹が大き

過ぎます!ワタクシなら血筋を

絶やす事なく皇帝陛下のお子を

身籠れます!是非、皇妃に!」


「チフロン!!話は聞いていないのか?」


「何も…聞いていません。」


「はぁ〜、ここは、辺境地だからか。

皇后陛下は、三つ子を身籠っている!

俺の子だ!」


「えっ?」

「三つ子…」


「我が国の法を犯した罪は重い!

皇妃や側室や愛人を持つ事は

禁じたはずだ!そなたの妻は?」


「妻は…なかなか子に恵まれず、

侍女に手をだしてしまった私を

責めずに出て行きました。侍女は

平民だったので、産まれた

メヒルだけを引き取りました。」


「あら?愛してなかったの?

サイテーな男ね!」


「ウンス様!

水晶を持って来てます!」



「その奥さんは、貴方の元を去ってから

男の子を産んでるわ。貴方の子よ!

侍女は…

複数の男性と関係を持っていたようね。

メヒルさんは、本当に貴方の子かしら?」




「えっ?まさか…そんな…セレナが、

男の子を…」



「お父様!嘘ですよね?」


「………………」


「爵位剥奪とし、財産も没収だ!

そなたを見誤っていたようだ!

まさか、父上の臣下であった頃より

不誠実な男だったとはな。

娘は修道院で一生神に身を捧げろ!」


「団長!!」


「ナマンテか?相変わらず早いな。

他の者は?」


「黒の騎士団数名が間もなく到着します!

バロン殿から、詳細を聞き、駆けつけ

ました!」


「この者達を拘束して財産を押さえろ!」


「はい!あの倒れてる男は?」


「小舟に乗せて、放り出せ!」


「はっ!」


ナマンテは呆然としている2人を

縛り、倒れて泡を吹いてる男に水を

かけた。


「団長!雷攻が効きすぎていたのか?

息絶えました!」


「そうか。皇后と大公夫人に見せぬよう

葬っておけ!」


「はっ!」

ナマンテは直ぐに布をかけて隠した。


「俺達は、先に戻る!後は頼んだぞ!」


「お任せ下さい!」


4人は、皇宮へと戻った。


「疲れただろう?」


「大丈夫よ!黒の騎士団の一員になった

みたいで、楽しかったわ。」


「兄上とエルナも休んで下さい!」


「その前に食事を摂らないと、姫たちの

機嫌を損ねるぞ?」


「あっ!そうでした!」


4人は、食卓を囲み楽しいひと時を

過ごした。


ムンゲイツは、一文無しになり、

メヒルは修道院に入れられた。

しかし、メヒルは改心していなかった。


夜…寝室で愛し合った後…


「ヨン?あの娘さん…黒かったわ。」


「は?浄化の魔法が効かなかったのか?」


「あまり強く使わなかったけど、

あの娘さんは、独自で黒魔術を

使えるような気がするの。大神官様も

気付くはずよ。」


「どうすればいいんだ?」


「うん…見て!腕に星の形が現れて

来たでしょ?」


「あっ、ほんとだ!」


「お母様にね、貰った魔石が光っていたの」


「それは、何を意味するのだ?」


「私の危機が迫ってると言う事なの。

この石が光ったら、私の力を最大限に

発揮できるから、大切にしなさい!って。

ピンチはチャンスって事よ。」


「しかし、その力を使うとウンスは

どうなる?」


「ヨンに沢山力を分けてもらったから、

今なら、できると思う!」


「俺が居るから、やってみてくれ!」


「うん!」


ウンスとヨンは、バルコニーに出た。


両手を空に向けると、腕の星の光りが

鮮やかになった。

その瞬間、眩い淡桃色の光りが

神殿を包み込み、黒い物が

出て消失した。

そして、星が降り注ぐように、

国中を明るくした。


「す、凄い…」


「できた…」


そのままウンスは、倒れてしまった。





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思ったより手強いメヒルです。

コメ返…少し待って下さいね。

まだ、行間作成作業におわれてます(ノД`)シクシク