逃げようとした王子も簡単に

捕まった。


「ヨン?黒い人は居なくなったわ!」


「そうか。では、ウンス!俺とダンスを」

 
ウンスの手を取り、会場へ降りて来た

皇帝陛下と皇后陛下。


オーケストラが音楽を奏でる。


光り輝く二人に、誰もが見惚れた。


ダンスが終わると…拍手喝采だ。



「ひと騒動あったが、私の愛する

皇后は、生涯変わらぬ!そして、

このめでたき日に、兄であるビン大公が

先日、ジークフリード公爵の令嬢との
 
婚約が成立した事を祝ってくれ!

兄上?エルナとダンスを。」


ビン大公は、エルナの手を取り、

二人は、華麗に踊った。


「おめでとうございます!」


あちこちから声があがると共に、

さめざめと泣く令嬢達。


「皇帝陛下に続いてビン大公様も…」


「仕方ありませんわ。あの様に

美しい上に公爵様の令嬢ですわ。

それに憧れの皇帝陛下は、あの素敵な

皇后陛下を溺愛していますわ!

私達にも良い男性が現れますわ!」

それから、令嬢達と

他国の王子達との談笑で賑わった。



「さて、ウンス?移動魔法で、俺を

ユソーウルへ、連れて行ってくれ!」


「ええ。勿論よ!なんか素敵!

黒の騎士団の目をしてるわ!」


ゼロ推しからヨン推しに、

既に変ったウンスだったが、黒の騎士団

と言う、名前には、胸がドキドキした。


二人は、階段を登り、扉の向こうに

行くと、ウンスの時空間移動の魔法で

ユソーウルへと行った。


「時空間魔法とは、凄いな?」


「何処に行くの?」


「神殿に騎士団が来ている!」


「神殿なら、直ぐそこよ!」


ウンスに案内されて、神殿へと

行った。


「皇帝陛下!!」


「国民は?」


「賛同した者がほとんどです!」


「ウンス!」


「セイドリック叔父様!ヨン?お

お母様の弟のセイドリック子爵よ!」


「叔父上殿が子爵とは、あの王も

とことん腐ってるな!婿に入ったも

同然でユソーウルの名を名乗り、

本来ならウンスのお母様が皇位を

受け継ぐべきだったのでは?」


「アリシアが亡くなり、有無を言わせず

先王と先王妃が毒殺されました。

後は、あの男の言いなりでした。」


「ウンス王女!」


「大神官様!心配しないで下さい!

明日には雨が降るでしょう。」


「やはり、覚醒しておりましたか?」


「はい。此処にも時空間魔法で来ました。」


「大神官殿!王宮に人は?」


「おりません!」


「ユソーウルの王室の者は、

サンダー大帝国の牢に居ます!

我が両親を殺した罪です!」


「やはり、そうでしたか…」


「王宮を潰す!黒の騎士団!

配置につけ!」


「了解です!団長!」




「ウンス!!」


「誰?」


「アン・ジェウクだよ!」


「ああ、お姉様は牢にいるわよ!」


「後悔してるんだ!婚約解消の事…」


「そお?私はスッキリしてるわ!

大体、小さい時に一度会っただけで

婚約者ですって?それから、二度と

会ってないわ!顔も忘れてたわ!

第一王女を好きなんでしょ?それに

私は、人妻なの!!」


「はっ?ウンスに婚約者が居たとは

聞いていたが…この男か?」


「そうみたいだけど、小さい時に

会ったきりだし、婚約解消もしたし、

第一王女と婚約するって聞いてわ!」


「ジェウク!!みっともないから、

辞めなさい!」父親の侯爵に叱られた。


「くそっ!」キラリと光る小剣で

ウンスを襲おうとしたが、

騎士団のベトルがねじ伏せた。


「血が…出てるわ!どこか斬られたの?」


「皇后陛下!これくらい、かすり傷です!」


「駄目よ!黒の騎士団は皇帝陛下の

右腕なんでしょ?見せて!」


けっこう深く傷ついていた。


ウンスが手をかざすと、淡い光に

包まれ、見る見る傷が治った。


「聖女様?」一人の神官が口にした。


「大神官様!ウンス王女様は、

ユソーウルで、100年に一人現れる

聖女様なのでは?」


「一人じゃないのだ!ウンス王女の

母親、アリシア王妃にも、同じ力が

あったのだ。これを知っているのは、

私と父親である公爵だけだった!」


「聖女じゃないです!私は、長年

研究して数式で魔法陣を完成させて

色々な魔法が使えるようになったのです。」


「しかし、ウンス王女、いや、皇后陛下?

願った事が叶うのは?それに、今、

傷を治している時、見えましたが、

手のひらの上の腕の印が光って

いました。」


「印?あっ!これ?これは…

酷く叩かれた時のあざが残っただけよ?

普段は目立たないけど、たまに

浮き出てくるのよ。」


「そうですか…」


「ウンス!時間がない!俺達は、

パーティーを抜け出して来たんだ!」


「そうよ!早く片付けましょう!」


ユソーウルの王宮の前まで行くと、


「よし!此処は俺に任せてくれ!

皆んな下がってろ!」


ヨンは、気を集めると、一気に

雷攻を放ち、王宮を吹き飛ばした。 


神殿にも、地響きが伝わった。


「だ、団長?今のは?」


「ああ、俺も力を付けたようだ!

ソクチュ!皇后の叔父を此処の領主

として、管理するように。大神官殿と

二人でやれば大丈夫だ!」


「はい!」


「俺達は、直ぐにサンダーに戻る!

主役がいないと困るだろ?それに、

兄上の婚約披露だ!」


二人は、光りの中に消えた。




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さて、お話中に色々なシンイの登場者が

出てきました。

ビン…チャン侍医

メイド長チェミ…チェ尚宮

エルナ…トギ

ジークフリード公爵夫妻…マンボ兄妹

ソクチュ…チュンソク

ベトル…トルベ

トック…トクマン

チュザレ…チュソク

チモル…チョモ

ナマンテ…テマン

ウンスの本当の父親ジン…アン・ジン

セイドリック子爵…イ・セク

クングル…徳興君

侯爵の息子…そのまんまアン・ジェウク


皆様の予想は当たりましたか?

まだ、出てくるかもしれません。

腕のあざは、飛虫に刺された時のあざを

刻印に変えてみました。