晩餐の時、物凄いご馳走に驚いた。


「これを、食べてもいいのですか?」


「皇后陛下?」


「あっ、家族ですよね?お義兄様!

こういう場所では、ウンスとお呼び

下さい。」


「私に義妹ができたのだったね。

しかし、隣りで睨んでる弟が

いるから、姫と呼ばせてもらうよ。」


「はい。」ひと口食べると、ポロポロと

涙が出た。


「ウンス!!どうしたのだ?」


「凄く美味しくて…。塔に追いやられて

から、いつも、スープとパンだけで、

たまに、毒も入ってました。ただ、

私には、毒が入ってるとわかる事が

幸いでしたが…エルナが…使用人用の

食べ物を持って来てくれて…二人で

分けて食べてたんです。」


「なんだって!そんな辛い思いも

したのか?」

「ただ…私は凄く食べるので、

エルナは、使用人が残したパンを

沢山持って来てくれて、叱られるのは

エルナでした。」


「エルナ!一緒に食べなさい!」


「いえ!私はメイドです!同じ食卓に

つく事はできません!」


「いいから!これからは、姫を

助けてくれた恩人を大切にしないと!

チェミも、わかるだろう?」


涙を流しながらチェミメイド長が

「はい!ビン様!その様な事は、

できるはずがないのに、なんと忠義な

エルナなんでしょう!だから、二人共

そんなに痩せているのですね。エルナ?

お言葉に甘えなさい!」


護衛に付いていた

チュザレも大泣きだ!


「エルナ?一緒に食べよう!ずっと

そうしてきたでしょ?」

ウンスとエルナは、食べた事もない

ご馳走をパクパクと食べた。

その食べっぷりは、見事だった。


「ウンス?毒が入ってるとわかるのか?」


「ええ。黒いオーラ…モヤのような

物が見えるの。悪い人もそうよ。

お義兄様は、暖かい薄黄色のオーラ。

ヨンは、強さと優しさの赤いオーラ。

チェミメイド長は、正直で思いやりが

ある薄紫のオーラ。あら?そう言えば、

エルナとお義兄様のオーラは一緒だわ。」


「自分のオーラは?」


「わからないの。不思議でしょ?」


「俺には見えるぞ?ウンスは、

虹色のオーラだ!」


「ところで姫!ユソーウルの血を

受け継いでいるのは、姫だけだと、

失礼ながら調べました。

1週間後に結婚披露パーティーを開き

ますが、他国の王や王子、爵位の

ある者が集まります。勿論ユソーウル

国王にも今日送りましたが、その場で

ユソーウル国を我が国の物にしますが

大丈夫ですか?我々は、姫を虐げた

ユソーウルが許せないのです!」


「かまいません!お母様も本当の父親で

ある公爵も、亡くなりました。継母には、

よく鞭で叩かれましたが、私が殺し

ました。鞭が痛くて、そんなに鞭が

好きなら、馬を打てば良いのに!と

願ってしまったのです。

ある日、落馬して、命を落としました。」


「それは、ウンスのせいではない!

なんて酷い奴等だ!」


「そうです!あの方は、事あるごとに

ウンス様を叩きました!私も、

馬に蹴られて死んでしまえ!といつも

思ってました!」


「幼い子になんと酷い事を…。

姫!それは、殺したと言わないのですよ?

自業自得と言うのです!」


「そうだ!俺なら、斬っていたな!

ユソーウル国は、必ず潰す!

黒の騎士団の名にかけて!」



「ウンス様の推しのゼロ様みたいですね?」


「推し?ゼロ様?」


「そうなんです!ウンス様は、ヲタクで

ゼロ様推しなんです!」


「ちょ、ちょっとエルナ…」


「ヲタクとは?」


「あのね…ヲタクとは、特定の人や物に

熱中している人の事で…時空間移動で

ある国に行った時に、アニメ…漫画?

絵物語?の主人公のゼロ様に夢中に

なってしまって…推し…好きで応援して

いたの…そのキャラクターは黒の騎士団で、

ヨンとソックリなの…」


「はあ?他に想い人がいるのか?」


「エルナ?アレを持ってきて!」


エルナは、走って、水晶と何か変った

長方形の箱のような物を持って来た。


「いい?これが、塔に押し込められた

私の唯一の楽しみだったの。」

と、水晶の中に映し出される、

物語を皆んなでかぶりつきで見た!


「驚いたぞ?人かと思った。」


「確かにヨンにソックリだ!しかも

黒の騎士団だなんて、運命としか

言いようがないな?」


「だから、ルリーシュじゃなくて、

ヨンを一生推すと決めたの…変?」


「変じゃないさ。ただ、俺だけ見てろ!

兄上?エルナを頼む!」


ヨンは、ウンスをヒョイと抱き上げると

寝室に行った。


「ウンスの辛い過去を考えれば、

エルナは別として、

そのゼロが心の支えだったのだろ?

だけど、今は、俺がいる!造り物にも

嫉妬してしまう程、ウンスを愛してる!」


甘いお仕置きが始まった。


その頃、食後のダージリンティーを

エルナが大公殿下に出した。


「エルナ?本当の名は?」


「はい。エルナ・トギルマです。」


「トギ…トギルマ?」


「ユソーウル国で育ったのか?」


「はい…落ちぶれた貴族の子でした。」


「でした?」


「売られそうになったのです。

逃げました。町で泣いてる子に

ぶつかって…町に出て迷子になったと、

私の手を離しませんでした。

そうです!ウンス様です!

離そうとしないので、そのまま、

幼いながら、使用人になりました。」


「エルナは、皇后の恩人だ!

身分を授けたいと皇帝と話していたんだ!」


「私が…ですか?」


「そうだ!それで、結婚披露パーティー

では、私の婚約者を演じてくれないか?」


「はい?!こ、こ、婚約者ですか?

無理です!滅相もありません!」


「う〜ん。困ったな…。今回はどうしても

パートナーが必要なんだ。助けると

思って、婚約者のふりをしてくれないか?

エルナは、先程みていたが、食事の

マナーも所作も完璧だった!まあ、

姫と話す時が一番楽しそうだったがな。

考えておいてくれ!近日中に身分を

授ける!」


困ったのは、エルナだった!





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アニメキャラクターにも嫉妬するヨンです。

さあ、ビン様も何とかエルナに近づこうと

必死です。でもね、婚約者のふりは、

駄目ですよ〜。


今日は、年に一度の胃カメラでした。

相変わらず、ポリープを二つ、

飼ってますが、異常なしで、経過観察で

また一年後にと言われて、帰ってきました。

胃カメラ…毎回、緊張する〜。

胃カメラ終わったら、直ぐに診察室に

行って、結果を聞けるので、

胃カメラだけは、消化器専門だった、

先生の病院に行ってます。