テマナは、言われた様に

王に暫く玄高村に留まるように言った。


なにゆえだ!王様は、明日には
 
王宮に戻る!

 
チュンソクが声を上げる。


 
だ、駄目だ!殺られる!


は?


キチョルのし、私兵が待ち構えてる!


お、俺は、外で見張ってる!


案の定、笛男と火女が来た。


テマンは爆竹を投げつけた。


バンバンバンバンバーン。


驚き耳をおさえて、かがんだ

笛男を助けようとする火女。

その隙にテマンは、二人に

たっぷり灯油をかけた。



なによっ!死にたいの?

火女が火を出す前に、

残った数滴を目の前に垂らし、

火を付けた。


し、死ぬぞ!


そんなまやかしに怯えるとでも思うの?

と、少し火を放とうとした、

ファスインの右手が炎に包まれた。


ぎゃっ!熱い!


音に驚いて出て来たウダルチが、

水をかけてやった。


余計に燃えて、しまった。


笛男は、ファスインを助けようと、

耳から血を流しながら抱きついた。


火柱があがった。


ぎゃーっ!


あっ!厚めの、ぬ、布で叩いて!


ウダルチが助けてやったが、

かなりの火傷をおった二人は、

倒れたままだったが、生きてる。


近くの薬院に置いて来た。


誰の策だ?


イ…いや、奥方様だ!


奥方様?誰の?


そ、それは、まだ教えられない!

ただ、まだ、お、王様は此処で政務を。


スリバンか…わかった。




その頃、馬を飛ばして、王宮から

屋敷にやって来たチェ尚宮。



なんだ?叔母上?王宮は暇なのか?


バシッ!


いてっ!


何処におった?


まあ、色々あったが、イムジャを

妻にした。あの男はどうしてる?


医仙が死んだと聞いて、王妃の

従姉妹を娶ると言い出した。

鳩を飛ばしたようだ。



ああ、また無駄な事を。

元の断事官は?
  

勅書を持って一緒に来させると

言っておった。


待たせておけ!

高麗には来れぬ!


は?


国境も山道も通れぬ。

鴨緑江も双城総管府も吹き飛んだ。


崖から落ちて、頭を打ったのか?


まさか。本当に国境は通れぬぞ?

海からしか来れぬ!

明後日には、王宮に行って、

彼奴に仕返ししてやる!

叔母上!彼奴は、毒を持っておる。

指輪とか、気をつけろ!


わかったが…なぜ?明後日だ?


其れ位、察しろよ?

俺達は夫婦になったばかりだ!



わ、わかった。無体は働くなよ。


さあな、一日中愛でても足りない位だ!


な…


顔を真っ赤にした叔母上だった。


使用人は、二人しかおらぬぞ?

月に何度か、此処の掃除を任せて

置いたが、直ぐに呼び寄せる。



なんでだ?


バシッ!

何も食べずに過ごすつもりか?


あっ…


叔母様、すみません。食材があれば

私が作ります。


医仙や。チェ家は、実は金持ち

なんだよ。恐らく、王族よりも、

遥かに金が有り余っておる。


マジ?

でも…黄金を石ころの如く見よって…



はっ?なぜ、それを?


言ったでしょ?貴方は天界の有名人

だって!

だけど、その遺言を聴いて、

本当は、お金に困っていたんだなって。

だって、慎ましく暮らすとか、欲を

かくな!って言われているけど、

黄金を石ころになんか見れる?

名家でもほんとは、火の車で

叔母様もテジャンも王宮で働いて

家計を支えていたのかと思ったの。

私だって、医者だからそれなりに

稼いでいたわ。でも、

自分の家は、ローンで買ったわ。


ろーん?とは?


ああ、銀行というお金を管理して

くれる所から借りたの。



借りた金は、どうするんだ?


毎月返済していくのよ。

こっちに来てから、払ってないから、

きっと、もう私の家は、差し押さえに

なってるわ。



ここの当主は俺です!

イムジャには、苦労させず、

贅沢させる!其れ位の金は充分ある!

王を王宮に戻したら、暇乞いをして

王宮を去るつもりだ!


まあ、それも良いかもしれぬな。

古いしきたり、高麗のしきたり等、

気にせずに気楽に過ごすのが、

一番なのかも。

キチョルは、どうする?


ああ、呼んでも来れぬかもしれぬ。

重篤だ!


は?


まあ、明後日、王宮に来るように

あの男に言ってくれ!


わかった。取り敢えず、フヨには

食の支度だけするように言っておく。


あの婆さん、まだ生きていたのか?


バシッ!バシッ!

私と同い年じゃ!


わかった!わかった!

閨には、近づくな!と言っておいてくれ。



閨って…なんか…いやらしいわね?


は?天界では?


寝室かな?


そういう事だ。


医仙…いや嫁御や。

此奴が無体を働いたら、ちゃんと

言うんだよ?


無体って、どの程度ですか?



い、いや、何でもないよ。

此奴が嫁を娶るとは思ってなかったが

医仙なら、安心だ。

あっ、跡継ぎ等、考えなくて

良いからね。此奴でチェ家は、

終わったと思っておったので、

嫁いでくれただけで、有り難い!


叔母上!俺達は、やる事がある!


まったく、お前は、今迄、

どうやって我慢してたのだ?


叔母上こそ、良い男がいたら、

捕まえて、放すな!


うるさいわい!

チェ尚宮は、そそくさと

帰って行った。





ーーーーーーーーー

テマナも仕事をこなしました。

チェ家は貧乏?(笑)

無体の程度がわからないウンスに

困惑して帰ったチェ尚宮です。