二人は、屋敷内の来客用だと言う

戸建ての家に案内された。


夕餉まで、温泉に入って

寛いで下さい。


此処にはウダルチも居るのですか?


はい。大国になる前から、

皆さんが集まって来ました。


隣りの屋敷には、チュンソク様と

トギ様が住んでますよ。


えっ?婚姻したのですか?


はい。しかし、違う世界では、

トギさんはチュオンさんと婚姻した

と聞いております。

旦那様と奥様だけは、どの世界でも

一緒なんです。

どの時代でもお二人は、結ばれる

運命だったと思ってます。

例え生まれ変わっても結ばれてます。

では、失礼します。



イムジャ?俺達は、間違って

いなかったんだ。


本物の愛に間違いなんてないじゃない。


そうだな…温泉に入りますか?


うん!


二人が温泉でいちゃついてる頃…



高麗では、ウダルチテジャンと医仙が

逃げた!とキチョルの私兵と

禁軍を使い、高麗中を探し回っていた。


チェ尚宮も尋問された。


甥と医仙が一緒に居たとして

何か悪い事なのでしょうか?


医仙は、私の許嫁だ!


えっ?沢山の物はありましたが、

許嫁とは?


婚書も送ったはずだ!


はい?何処に送ったのですか?


箱の中に入っている!


箱ですか?あの品の中に紛れ込んで

いるのですか?

責めるべきは、持って来た者では

ありませんか?

徳興君様!天界では、許嫁に

するのには、大変な苦労が

必要だと聞きました。


ど、どんな苦労なのだ?

 
チェ尚宮は、懐から紙を取り出した。


まずは、時でございます。

女人が婚姻しても良いと言う頃合いです。

それから、場所でございます。

何やら、ろまんてっくな場所、

例えば、花が咲き誇る美しい場所や

月夜が綺麗な所です。

そして、一番大事なのが、

言葉でございます。

殿方がひざまずき、心を掴む言葉を

言い、大きな宝石が付いた指輪を

渡すという習わしがあるそうです。


宝石?


確か…だいあ…もんど?とか

申しておりました。



クククッ、此処は高麗だ!



徳興君様!医仙は、天界の女人です。

あんな物は、ただの貢物で、

何度も貰ったと申しておりました。

しかも、あのように古めかしい物ではなく

もっと高価な物を渡す者も

おったそうです。どれすやばっぐや

ねっくれすにとけい等と申してました。

医仙程の器量ならば、納得が

いきます。


い、医仙は、婚姻すると申した!



それは…誰も聞いておりませんが?

婚儀を行うと聞いて、医仙が

何と言ったか?お教えします。


髪を染めてる時にチェ尚宮に

言って欲しい事をウンスは、

伝えていたのだった。

続けて紙を読むチェ尚宮。


はっ?居るのよね〜。勘違い男!

何が悲しくて、私がトックングンと

結婚するの?バカバカしいわ!

わんないとでも鳥肌だわ!

と申しておりました。


わんないと?


一夜限りの男と言う事らしいです。

徳興君様は、たいぷではないと。


たいぷ?


西域の言葉にも長けていると

聞きました。徳興君様ならおわかりに

なると?

わかりませんか?好みと言う事です。

それで、医仙の好みの殿方は、

髭を生やしていなくて、誠実で浮気も

せず、しっくすぱっくのまっちょの

ちょ~いけめんだと申し、それ以外は、無理!

らしいです。


しっくすぱっく?ま、まちよ?いけ…


まっちょでございます。


そ、それは?


わかりません。医仙は天界の言葉を

発し、天界の文字しか読めない

のですが…甥にはわかるそうです。

高麗で唯一人、天界を知る者です。

そして、その条件を全て満たしておる

のが、甥だそうです。


クッ…。



徳起君様ーーっ!

医仙と近衛隊長は、崖から

落ちたようです!


なにっ!!


天門へ向う道が雨で土砂が崩れ、

道が塞がれておりました。

医仙が乗って行った馬も戻って

来ました。

他に…近衛隊長の馬と思われる足跡が

崖の辺りにありました。

あそこから落ちれば、命はないと

思われます。


チェ尚宮は涙を流した。



あの世で一緒になれて、甥も

幸せかと思います…
(あやつの事だ。生きておるだろう。)



くそっ!何て事だ!

婚儀は取り止めだ!

府院君!奇皇后に鳩を飛ばしてくれ!

元より王妃の従姉妹を呼ぶ!

王族同士なら訳のわからぬ天人より

良いであろう。


徳興君様…それでは、医仙は?


医仙は、死んだのだ!

だいたい、天人だったのも

騙りかもしれぬ!

今しかないのだ!

玉座に座っているのは、この私だ!


玄高村では、テジャンが崖から

落ちて死んだと聞き、ウダルチが

探しに出たのであった。



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チェ尚宮が真面目な顔で言う医仙のたいぷ。

しっくすぱっくのまっちょのちょ~いけめん…