夜遅くにチェ尚宮が来た。


叔母上?何事だ?


この馬鹿甥がっ!バシッ!


イテっ!何かやったか?


嫁御じゃ!嫁御に気遣いが足りん!!


あっ、ウダルチの事か?


は?ウダルチが嫁御に何か言ったのか?


ああ…。

午前中にあった事を話した。


なんと!!けしからん!


ウンスや…此処に来て、嫌な思いばかり

させて、すまないねぇ。

やはり、都の屋敷で、私と二人で

住んだ方が良い!うん!そうじゃ!


いや、叔母上?何しに来たんだ?



そうじゃ、婚儀じゃ!

お前は、妻にしただけで、婚儀を

忘れておったであろう?


あっ…。


そのせいで大事な嫁が憂いを持って

いたらと、慌てて馬を飛ばして来た!


叔母様…でも、私、こんなにお腹が

大きいし、此処の作法も知らないし…。


しかし、天界でも婚儀は、女人に

とっては、大事なのではないかい?

ご両親も、さぞかし花嫁姿を

見たかったと思うてな。

此処の婚儀等、どうでもいいんじゃ。

天界式でやる!


いいんですか?


いいに決まっておる!

この馬鹿は、婚儀の事等、考えて

おらんかったようだ。

どうじゃ?コイツを捨てて、私と

一緒に住んでもいいんだよ?


ご、ごめん!ウンス!

その…


それ以上は、言うな!

また嫁御を泣かせるつもりか?


わかってます。婚儀を挙げる予定が

色々あって、ヨンは、婚儀と言う

言葉を避けてたと思っていたし、

私も直ぐに子供ができたので、

籍だけでも入れてくれて、

良かったと思ってるんです。


本当にお前には勿体ない!

仮にもお前はチェ家の当主なのに、

婚儀も挙げず、子供だけ作りおって!

もうオノコは懲り懲りじゃ!

ムン殿に預けたのが間違いじゃった!



ミ、ミギョンさん…申し訳ない!


叔母様?此処では、婚姻の契りを

交わすとは、どういう事なのですか?


約束をする?と言う事なのか?


ああ…まあ…


天界では、違うのかい?


う〜〜ん。恋い慕う同士が、お付き合い

しながら、深い関係になって、

結婚しよう!って事なのかな?

婚姻の約束なら、幼い頃にもできるけど

契りを交わしたって、私には、

結ばれて深い関係になった!と

思ってました。

だから、ヨンは女の扱いに手慣れて

いたのかな?って、思ったりして…



なっ!

バシッ!バシッ!バシッ!

何という男だ!

だから、直ぐに手を出したのか?


ち、違う!違うってば!

俺は、情を交わしたのはウンスだけだ!

師匠が止めただろ?


でも、血気盛んな男だったでしょ?

我慢できるはずがないわ!


ウンス殿!我慢させました!

信じて下だされ!


ウンスこそ、三十三まで何もなかった

のか?


何もなかったわ。ほとんど手術室に
 
籠もりっきりだったもの。


アン・ジェウクとは?


ああ、あの人は特別よ。


はあ?と、と、特別とは、この

柔らかな肌に触ったのか?


違うわよ!初恋だったから、

浮かれ過ぎて、捨てられた時は、

もう、男に尽くすのは辞めよう!って

悟った男よ!


尽くす?


そうよ!イワシのおにぎりまで、

作ってやったのに。


イワシ?ご馳走ではないか?


現代では違ったみたい。うちでは、

当たり前だったけど、変わった女だって!

あーーっ!思い出したら、腹が立つわ!


ま、待て!喧嘩をさせに来たわけでは

ないのじゃ。婚儀はどうするのか?

聞きたかっただけじゃ。


天界で挙げる!

明日行くから、叔母上も着いて来い!

天界式だと言っただろ?

ジン殿に頼んでみる!

屋敷の皆んなもだ!


私も行けるのか?


叔母上。その前に江華島へ行く。


江華島?


慶昌君様が病気だ。

ウンスが専門の先生に診せてくれる

そうだ。


幽閉されておるんだぞ?


わからぬ様にやる!


叔母様。子供が痛みに耐えているんです。

その病名も知っています。

その道の名医…院長に治して

貰います!


その後は?


恐らく長い治療となりますが、

良くなったら、天界の私達の

家に住まわせます。

神隠しにもでもあったと思うように

して下さい。


わかった…。


こうして、慶昌君を連れて、

皆んなで、ウンスの時代に

行く事になった。



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さて、いよいよ皆んなで現代へ行きます。