急に決まった徳興君との婚儀。

叔母様!私…逃げます!

何か方法はない?


では…武女子(ムガクシ)の衣を用意して

きます。しかし、その髪色では…


墨汁とハケはありますか?


墨汁?

ほら?書を書く時の黒い…


持って参りますが、甥がもうすぐ

来るかと…。


そんな時はないんです!

婚姻したら、あの男に抱かれるんでしょ?

私の初めての男があんな男なら、

死んだ方がマシよ!


目を丸くさせたチェ尚宮が、

逃げる支度に取り掛かった時、

ウンスは、ヨンに貰った小刀で、

髪の毛を切った。


い、医仙!その髪は?


叔母様!早く墨汁とハケを。


ウンスは、たれて顔や首にかからないように

上手く髪を黒くして、着替えた。

切った髪は、紙に包み、チェ尚宮に渡した。

証拠を隠し、何くわぬ顔で、

チェ尚宮の後を付いて、外に出た。

国境への道のりを図にして書き

馬を一頭と、お金をくれたチェ尚宮。


ありがとうございます。

突然現れた変な女に戸惑いましたよ?

私もです!何もかも便利な世界から、

王だ、王妃だ、妖魔だ、王命だ!って

夢なのか?と最初は思いました。

例え、無事に着けず、命を落としても、

それは、私の運命だったと受け入れます。

ただ…あの人…チェ・ヨンさんを

愛したのは…誤算でした。


愛した?  

側に居るのに尚恋しいと言う…

ボロボロと涙が溢れた。

あの人…長生きします。

元は明になり、朱元璋が、

紅巾賊十万で、王宮を落とします。

でも。あの人が何年かかっても、

もとに戻します。

王妃様は、十年後に身ごもりますが、

お産の時、お子と共に命を落とします。

イ・ソンゲに気をつけろ!と、

あの人に伝えて下さい。




い、医仙!

セミロングにした髪をなびかせて、

馬に乗り、駆けて行った。


途中、すれ違ったチェ・ヨンも

気付かなかった。


『さよなら…』   

そう聞こえて、振り返ると、

黒髪のムガクシだった。  

何だ?この胸騒ぎは?

チェ・ヨンは王宮へ急いだ。


国境への道のりは険しかったが、

急いだ。

途中、雨に降られ、身体中が真っ黒に

なったが、髪色は元に戻っていた。

寝ないで飛ばしたが、地崩れが起きた。


崖まで逃げた。

あなたは、生きてね。と馬を離し、

ウンスは、崖から落ちていった。


さよなら私の愛した人…

落ちて行く身体を光りが包み、

ウンスは消えたのだった。






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メモに下書きがあったので、

載せただけです。

天界に帰れたのかも?

ちょっと一呼吸。

今日から普通に仕事でした。