ムン・チフは、ある情報を手掛かりに

貴族の家を見張っていた。


それは、二年程前に、とある令嬢と、

ウダルチだと名乗る男が、

悪い男達に連れ去られそうに

なった令嬢を助け、

令嬢がその武人を恋い慕うようになり

ウダルチ隊長のチェ・ヨンの

従兄弟だと、名乗った男チェ・ヤンを

親も認めて、婚儀前に

身ごもり、夫婦(めおと)となったと

言う胡散臭い話を聞いたのだ。

どうやら、ムン・チフが泊まっている

スリバンの宿に来ては、武人の格好に

着替えて、出かけていたらしい。

夫婦となり、ウダルチを辞め、

仲睦まじい姿を市井で見かけたり、

暴れる賊を捕らえたりと、

英雄的存在だった。

八ヶ月程前に男の子が産まれ、

その時、チェ家を捨て、嫁の家に

入ると、この地を捨てる事が

できない!と言う男の熱意が

親をも動かし、今は、役場に出仕

していると言う。

都の屋敷に話をつけに行くと、

長い間、家をあけても、何も

思わなかった。

チェ家の本家は、敷居をまたげない程

厳しく、例え親戚であっても、

本家には、行けないと言う。

族譜は偽造したようだ。都に帰る

その度、スリバンの宿で、

着替えては、何処かに

姿をくらましていたと言う。


ムン・チフは、怒りが込み上げた。

ミル殿に子ができた聞き、

舟を沈めたのか?何という男だ!


屋敷から、男が出てきた。

それを見送るように、貴族の娘が

一才位の男の子を抱いて、

仲睦まじく子供の頭を撫でて、

役場へと出かけた。

長身で、なかなかの美丈夫な男だった。



おーい!ヤンジ!


男は真っ青になったが、

それは、予めスリバンに頼んでおいた事だ。


武士らしき二人組の男が話してる。


ヤンジ?今日はどうする?


ああ、王宮にチェ・ヨン様と医仙様が

来たらしいから、都の屋敷に行って、

剣術を教えて貰いたいと、

頼みに行くつもりだ。


しかし、断られるぞ?


実はな、ウダルチのプジャンと知り合い

で、頼んでおいたのだ。


俺も行ってもいいか?


ああ、こんな機会は、二度と

訪れぬかもしれない!


あれ?旦那は、ウダルチに居たと

聞きましたが、ウダルチテジャンは

本当に国境を吹き飛ばすくらい、

強いのですか?



えっ?あっ、いや、そこまでは、

知らぬ。


しかし、従兄弟とか?


あ、ああ、俺には手加減して

くれていた。


そうなんですか?

手加減されたらつまらぬ!

行くぞ!


二人は馬に乗り都を目指したふりを

した。


青ざめた本物のヤンジ。

もしも、本当に剣術を習ってきたら

奴等は、自慢するだろう。

俺がウダルチでも従兄弟でもないと

言う事が明らかになる?

しかし、大丈夫だ!ウダルチ隊長は、

ウダルチ以外を相手にしない!

と聞いていたし、屋敷には、長年

帰っていないのは、確認済みだ。

不安と妙な自信を持ちながら

そのまま役場に行った。


ムン・チフは、この男だ!と

確証した。

一度村に帰り、真実を話すべきだと

思った。


翌日の夕方に師匠は戻って来た。


師匠?どうだった?


ああ、あの男で間違いない!


見てきた事を話した。


サイテー!二重生活をしていたのね?


ウンス殿…この事は、ミル殿に

話しても良いのだろうか?


勿論よ!ミルさんには、知る権利が

あるわ!

身分も偽り、死んだ事になって、

本人は、他の女と子供まで作って、

婚姻してたなんて、私の時代では、

重婚の罪になるわ!


い、今の話は本当ですか?


ミル殿…。



ミルがの、いかついあんちゃんの

話が聞きたいから、今日も此処に来たら、

居おった!

ヤンジは、力も強く、

働き者の良い夫だったが

何処で道をまちがったのだ?

喧嘩でもしたのか?


いえ、私達は、幼馴染みで、

両親が殺されて、お互い支えあって

一緒になりました。

決して豊かではありませんでしたが、

食べる事にも困らず、蓄えも

ありました。


良くいるのよね。そう言う男!

他の女は、どうだろう?とか、

貴族も悪くないな。とか。


生きてると信じて、死んだ事に

していません!何か、役に立ちますか?


ミルさんは、その男が戻って来たら、

やり直したいの?


いいえ!そんな男が子供達の父親だと

言う事が悔やまれます!

ヤンジは平民でしたが、

私は落ちぶれた貴族の娘でした。


王に重婚は禁止だと、王命を

出して貰うか?


うん!私が言ってやるわよ!


ミリとルリに自慢できない男等、

いりません!


名前が決まったのですか?


はい。奥方様がつけてくれました。


良い名前だ!


母親が怒っているのがわかったのか、

双子が泣き出した。


なかなか泣き止まない子供達を

ムン・チフが抱っこすると、

泣き止んで、スヤスヤと眠った。


あら?顔は怖いのに、以外ね?


ウンス殿!子供達が起きてしまいます。


子供を抱き柔らかな師匠の顔を

初めてみたヨンは、思わず、

師匠の後ろからヘッドロックを決めた!


こら!ヨン!よせ!子が起きる!


悪い!師匠のそんな顔を見て、

マジで驚いた!


だからと言って、マジで首を絞めるのか?



クスッ。ムン・チフさんもすっかり

此処の人になったわね。


いえ、その…やはり、言葉はうつります。


それから、二日後には、

この国に於いて、重婚は禁ずと言う

法ができたのだった。

そして、側室を置くのも禁ずる!

この国は一夫一妻制であり、

そのような者が居れば身分剥奪、

流刑に処す。

言う事だ。


王妃も大賛成した事であった。


側室や第二夫人が居る貴族や、

重臣は、大慌てで、身辺整理をした。

その為に払った代償は大きく、

隠すようにしていた者は、捕まり、

一文無しになり流刑される事になった。


ウンスとヨンが王宮に行き、

話をつけたのだった。





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世の中は年末で賑わってる?

私は、明日も3時半起きの4時半には、

仕事をしているでしょう。

コメ返遅れますm(_ _)m

休みになったら、アメンバー様の

見直しもしたいと思ってます。

休みって、いつだろ?暫く9時間勤務です。



ムン・チフ!良い働きをしましたね🙌


おやすみなさい💤