イムジャは疲れたのか、
ソファで寝てしまったので、
寝室まで抱いて寝かせた。
ヨンは、考えた。
高麗に帰って、もし時の流れが
違ったら？
皆んなが待っていたら？
いや、それはあり得ない！
王は元から連れて来る途中だった。
今度の王は…また王命ばかりか？
しかし、テマナは？ウダルチは？
唯一の身内、叔母上は？
鬼剣を手に取った。
この剣は…何人も斬ってきた。
更に斬ると言うのか？
武人とはそう言う時代だが、
それでいいのか？
何故か？光って見えた。
メヒとイムジャの違いは明らかだ。
イムジャが昔好きだったという男。
正直無性に嫉妬した。
俺もメヒの事が好きだった。
初めて好きになった女人だ。
婚姻の約束をしたが、
体を重ねていない。あの頃の方が
ここで言う誘惑が多かった。
妓楼に一度連れて行かれたが
群がる女を跳ね除け、逃げた。
メヒが二日がかりで、誰と買い出しに
行こうが、気にも止めなかった。
イムジャが誰かと？話をするのを
想像するだけで胸がチクリとする。
それでも…俺は帰るべきなのか？
いや、此処で知った一目惚れと言う
事が永遠に続くかもしれない！
その時、ウンスの電話が鳴った。
スマホを持って、寝室に行く。
イムジャ！イムジャ！
う…ん
電話です！
あっ、院長？
はい。
ユ教授！すまないが、急患なんだ！
君にしかできない！
どんな症例ですか？
アン社長と同じなんだ。
院長が助手に付いて下さい！
まだ腕は鈍ってないですよね？
ああ、新しいスタッフも揃えてる！
直ぐに来てくれないか？
わかりました。
チェ・ヨン！病院に行くわ！
俺も行っていいですか？
いいわよ！
速攻で病院に行った。
チェ・ヨン！あそこから二階の
部屋に入って、待っていて！
イムジャ！ヨンです！
あっ、ヨン…少し時間がかかるわ！
待ってます！いつまでも待ってます！
手術室が見える部屋に
座った。
大勢の者がいた。
手術室に入って来たイムジャの
顔が凛としていたが険しくなった。
ユ教授！こちら、新しく引き抜いた
コン准教だ！
そんな事、今は、どうでもいいわ！
時間がないです！
テーブルデスは、避けたいわ！
輸血の準備は？
してます！
胸を開き、骨を切り広げた。
初めて生身の人間の心臓を見た
ヨンは、王妃の手術は、簡単な
ものだったわかった。
いい？一気に鉄の棒を抜いて！
出血でショック状態になるかも
しれないけど、迅速にやるわ！
はい！
それから、傷ついた何本もの血管を
修復して、心臓に飛び散った、
鉄くずも丁寧に取っていった。
凄い…あれが噂のゴッドハンドか？
二階で見ていた者達が見入る。
流れるような手つきで、
血管を縫合して、穴のあいた肺の
処置もしていく。
4時間程経っただろうか？
オッケー！もう大丈夫よ！
胸を閉じていった。
お疲れ様でした。
二階では、拍手が起きた。
速い！流石ユ教授だ！
俺は本当に神医を見つけて
高麗に行ったんだ！と
チェ・ヨンは思った。
下に降りて、イムジャを待っていた。
着替えて出て来たイムジャの
後を追ってきた見るからに
誠実そうで、イケメンの男。
ユ教授！一緒に手術できて光栄です！
これからも、ご指導お願いします。
誰？
コン・ソンジュと申します！
准教授としてこの病院に来ました。
ユ教授の手術の助手をできるなんて
光栄です！
ヨンは、何だかギリギリとした。
あっ、そう！
指導？自分で勉強しなさい！
私は病院には暫く来ないわ！
待って下さい！誰を助けたか？
ご存知ですか？
大統領補佐官ですよ？
それが重要なの？人の命は
平等よ！誰であろうと助けるのが
医者よ！普通の会社員だったら、
助けなかったの？
えっ？そ、それは…
相変わらず手厳しいな？
コン先生！ユ教授には敵わないぞ！
まずは、自分で腕を磨きなさい！
ユ教授は、一人でそうしてきた。
院長？もういいですか？
婚約者が待っているので。
えっ？
婚約したのかい？
そうです！だから、あまり
呼び出さないで下さい！
ああ、おめでとう！わかったよ。
ヨン！お待たせ！
極上の笑みを見せる。
ヨンはドキドキした。
帰りましょう。
ああ、お疲れさま！
長身の俳優のような男が
其処にいた。
仲良く腕を組んで歩いて行く
姿を茫然と見送った。
やっぱり…ヨンの姿を見ると…
安心するわ…
昼間はね…ちょっとヤキモチも
あったし、歴史を変えるのが
怖かったの。
でもね、今、手術した人は、
あのままだと死んでいたわ。
あの人を助けて、あの人の人生を
変えたんだと思うと、ヨンを高麗に
帰したくなくなっちゃった！
俺も、考えたけど、もしかして、
既にもう歴史は変わっているし、
その…昔の彼女…とイムジャへの
想いは全く違います。
さっき、あの男と話をしているのを
見ているだけで、ギリギリと
しました。嫉妬？ヤキモチ？
初めての感情です！
イムジャが鼻であしらっているのを
見て、安心しました。
俺がコエックスでイムジャを
見つけたのは運命だと思いました！
こら！敬語はなしよ！
あっ、そうだった。
イムジャに見放されたと思った。
そうよね？私がひねくれた言い方
したものね？ごめんね。
いや、イムジャの言う事に
間違い等なかった！
俺が甘い考えで生きてた！
だけど、本気で俺に意見してくれたのは
イムジャが初めてだったから、
俺も真剣に考えて、天門は、
潜らない事にした。
そう。いつか、二人で、様子を
見に行こうね？
ああ。
ねえ？久々に神経使ったから、
お腹すいちゃった！
何か食べて帰ろう！
うん。
ウンスの運転で、焼肉屋へ行った。
ほら？野菜を巻いて食べるのよ？
美味い！
でしょ？
しかし、イムジャは、本当に神医
だったのですね。あっ、だな。
クスッ、ゆっくり慣れるといいわ。
体の中を初めて見たけど、
イムジャは気持ち悪くないのか？
う〜ん。医学書には、そう言う画像が
載ってるから、逆に真剣に見たわ！
あっ、この血管があの本に載ってた
所だ！とか。
皆んなには変わってるって
言われたけどね。
だから、チャン侍医に
こんな簡単な事もできないのか？と？
うん。だって、あの人偉そうだったし、
ヨンと同じで笑いもしなかったでしょ？
たぶんあの時代では、デキる男
なんだろうけど、高麗での医術って
どうだったの？
チャン侍医は高麗一の名医です。
薬草と鍼灸で、何人もの患者を
救いました。
しかし、体を切って縫うと言う
手法はなかったので…。
そっか…侍医に悪い事したわね。
あの人…誰かに似てるわ。
誰に？
う～～ん。あっ、何かドラマに
出てた俳優さん！
今度、一緒に観てみたいです。
仲直りもして、お腹も満たされ、
家に帰って、身も心も満たされた
二人だった。
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良く食べて、仲直りです。
私の歴史が変わったのも何度も
あります。
ウンスも、沢山の人の命を助けて
その人の人生を変えた！と悟ったようですね💕