レンは、あの時の子ですか?


うん…レンが…居たから、生きられた…


一人で産ませてしまってごめん…

もう大丈夫だから!辛かったでしょう?

俺の胸で泣いていいから!

俺は職を辞します。

そして、イムジャとレンの側にいます。

テマナ…これを早馬で…


テマナもぐしゃぐしゃだ!

医仙様!本当です。テジャン、いえ、

テホグンはずっと待ってました。

テマナは走って行った!


テホグンって?


ほんの少し偉くなっただけです。

イムジャには、テジャンと呼ばれ

たいです!


ヨンはレンを抱っこして、

ウンスの手を引いて、兵営へ行った。


トクマンがいち早く見つけた!

い、医仙様〜!

えっ?子供?うそだ!テホグンそっくり

ではありませんか?


チュンソク、チョモ、トクマン、

部屋へ来い!


知らないウダルチ達もいた。




俺の子のレンだ!

イムジャには二年しか経っておらぬ!

そうだ。天門とは、誠に不思議だ!

離れ離れになる前に、その…

俺達は結ばれた。その時の子だ。

ところでイムジャは、

何処を彷徨っておられたのですか?


うん…100年前の高宗の時代…


えっ?


ヨンの顔が辛そうになる。


着いてすぐに襲われそうになった所を

助けてもらったの。

林 惟茂(イム・ユム)さんってご夫婦に

離れを貸してもらって住んでたの。


名の知れた武人です。


そうだったの?って、知ってるわ。

とても良くしてくれたの。


まさか?その方と?


とぉしゃま!めっ!かぁしゃまは、

ずっとないてまちた。


あっ、ごめん!レン!


歴史をね…少し変えちゃったの。




向こうに行って四ヶ月くらいで、

身体の異変に気づいたの。

テジャンの子が居ると思うだけで、

生きていけた…ポロポロとまた

涙が溢れる。

イムジャ!と抱きしめるヨン。


かぁしゃま、とぉしゃまがいたいいたい

しないから、おむねもいたくないよ。



みんなが男泣きにオンオンと泣く。



お産の時は、お屋敷の皆さんと

奥様が助けてくれたの。


そうですか…頑張りましたね?

こんなに良い子に育ててくれて

ありがとう。レンと言う字はどう書く

のですか?


「怜」…心が澄んでいて賢く悟りがよい

テジャンの様になるようにつけたの。

その通りに言葉を覚えるのも早かったわ。


ヨンの涙も止まらない。

いい名前です。


イムジャ!すまない!

一度も会ってない女が第一夫人と

族譜に載ってしもうた。

離縁したが、

第二夫人になってしまうが

許してくれますか?


医仙様…本当の事です。テホグンは

一度も会っていません!

女遊びもせず、ただただ医仙様を

お待ちしておりました。

時間ができるとあの大樹の元へ

行きました。

男泣きのチュンソクが言う。


ウンスは、現代の祠堂で、

第二夫人と眠ると見た事があった。

こういう事だったのか!と思った。


うん…大丈夫。


かぁしゃま?とぉしゃま、ずっといる?


ああ!レン!父さまは、レンと母さまの

側から二度と離れないぞ!


ほんとのほんと?


ほんとのほんとだ!


こんな小さな子が親を気遣うのか?


レン?母さまを守ってくれて

ありがとう。だけどな…

泣いていいんだよ?


とヨンは優しく言った。



レンは、ギュッとヨンにしがみつき、

とぉしゃま!とぉしゃま!

レンもレンもおむねがいたいいたいー。

堰を切ったように泣き出した。


ウンスは、この子にも辛い思いを

させたと思うと涙が止まらなかった。

ごめんね、ごめんね、レン!


みんな大泣きだった…



イムジャ?歴史を変えたとは?


うん…旦那様の奥様のスジ様は、

身体が弱かったけど、元気にしたの。

だから、お子様をと、授かり易い日を

教えたら、ミファちゃんが産まれたの。

確か、旦那様にはお子様は居なかった?


イムジャ…身勝手ですまぬが、

その…旦那様と言うのは、ちと辛い。


私…使用人もしていたから、

つい…。


医仙様が使用人ですか?


うん…まだ天門が開く日を割り出して

居なかった頃に、奥様と旦那様が

レンを家の子にしたいって…。

私に想い人がいるのは知ってるから、

形だけの側室?


えっ?それで?側室に?


まさか…レンを見るたびに

テジャンを思いだすのに?

私…信用されてないの?

テジャンだって、婚姻したんでしょ?

知らないうちって言ってるけど、

それは、迂闊じゃないの?


あっ…一生の不覚です!


隙があったと言う事でしょ?


かぁしゃま?レン、エイッてしましゅ!


一陣の風が吹く。


は?レンは、内攻が?


テジャンより凄いんだから!

お腹に居る時から、話もできたのよ!

お産だって、軽くしてくれたのよ!

奥様の子のお産も軽くしてくれたわ!


ミファわぁ…レンのいもーとでしゅ。

いちゅもあそんでました。



妹?



だって、仕方ないじゃない?

レンは、産まれてから天門へ

行くまで一度も屋敷の外に

出た事がなかったから、

奥様の子供とずっと遊んでいたの。

帰って辛かったら、戻って欲しいと

皆んなに言われたわ。


辛いか?


そんな訳ないじゃない!

レンも私もテジャンに会いたくて…


イムジャがいつ帰ってきても

良い様に、鉄原の名家の養女に

して貰い、身分も用意してました。


海辺に屋敷も買いました。

開京の屋敷は、知らない女が

住んでたので、俺も嫌です!

イムジャとレンと俺で、

一緒に住みます。六年は、

俺の一生分です!


とぉしゃま?ずっといる?


ああ!レン!ずっとだ!


ほんとのほんと?


ほんとのほんとだ!


私を…お嫁さんにしてくれるの?グスッ


言ったじゃないですか?

側に居てくれるなら、一生お守り

すると?

イムジャは、私のお守りは、

凄く大変だと言いました。

イムジャもレンも一生守ります!


テジャン…


とぉしゃま…レンのとぉしゃま。


ヨンは、ウンスとレンを抱きしめた。


長かった二年と六年は、

これからは、幸せが詰まった

親子三人の始まりになった。

手を伸ばせば、触れられる。

話しかければ、優しい声が帰って来る。

ヨンとウンスとレンの人生の物語が

始まった。



…………………泣いていいんだよ?其の三へ続く





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お楽しみ頂けたでしょうか?