天門が開く前日の夜、

ウンスとレンは東屋の縁側に腰掛けて

居た。


レン?母さま…怖いわ…父さまは、

レンだけの父さまじゃないかも

しれない…涙が溢れた。


かぁしゃま?おむねいたいいたい?


大丈夫よ。


レンわぁ、とぉしゃまにあいたいでしゅ。

でもぉ、いたいいたいしゅるなら、

おじしゃんじゃ、いやいや?


うん…母さまには、父さまだけしか

愛せないの。


しょですか。レン、とぉしゃまの

ことみるだけでいいでしゅ。

かぁしゃまがいたいいたいなら、

エイッてしまししゅ。


一陣の風が吹いた。



イセン殿!

やはり、気は変わりませんか?

明日、本当に天門が開くのですか?


はい…例えそれが、辛くても、

私には、レンが居ます!



そうですか…わかりました!

明日は、部下を連れて、送ります!


二年間…ありがとうございました。


礼を言うのは、こちらです!

スジと私にミファを授けてくれました。

私も命をかけて、守りたいです。


翌日、皆んなに別れの挨拶をした。


イセン様…もしも耐えられなかったら

戻って来て下さい。


ゼンジャさん…ありがとうございます。



ウンスさん!あなたの愛しい方と

会える事を願ってます。


奥様…


ウンスさん?


いいんです!旦那様?

イセン様を宜しくお願いします。

私も行きたいですが、ミファが、

何か察しているのか?グズってます。


レンは、ミファをギュッとした。


部下達を連れて、天門へと向かった。


見た事もない美しい女人。

イム様の?と思うのは、当然だが、

小さな子は、イム様のお子では、

ないとわかった。


天門まで着くと…



イム・ユム様!

本当にありがとうございました。

何もお返しする事がありませんが、

一つだけ…

この先、蒙古が力を増して、

高麗の大勢を人質にとります。

江華島も落とされるでしょう。

どうか、逃げて下さい!

スジ様とミファちゃんを守って下さい!


わかりました!私の宝物です!

イセン殿は歴史を変えない様にと

此処に居たのは、よくわかっています!

その大事な歴史…少しは変えてみます!


天門が光だした。

ウンスとレンは丁寧にお辞儀すると

その光の中に消えた。




一度、ソウルに着いたが、

レンを抱いて、街並みを見せなかった。

そして、また天門を潜った。


その先に、テマンが居た。

六年経ったと言う。

テジャンも婚姻したらしい。

レンにまんじゅうを食べさせたくて、

テマンに頼んだ。


大樹の下に二人で座って待った。


やっぱり、時の流れが違った。

六年も経てば…



テマナは走った!

兵営まで一番の速さで走った!


テホグン!テ、テホグン!とヨンの

部屋の扉を叩いた。


入れ!何事だ!


テ、テホグン!二年です!に、二年しか

経ってないです。


はあ?何を言っておる!


医仙様が戻りました。


何!!


そ、それで、離れてから二年しか

経ってなくて、子供が…


えっ?子供?だ、誰の?


ああ、これが俺の過ちへの報いかと

ヨンは思った。


ち、ちがいます。テホグンそっくりな

やっと歩く子供です。


ヨンは呆然と立ち尽くしたままだ。


まさか?あの時の子か?




それで、テホグンは婚姻したのかと

聞かれたので、えっ?はい、と

言ってしまったら、此処で天門が

また開くのを待つから、仕事を

探してくれないかと。すいません…


それで、こ、子供に饅頭を食べさせたい

からと、俺、急いで買いに来ました。


テマナ!饅頭を頼む!


イエー!


ヨンは急いで走った!その後ろから

テマンが買った饅頭を渡した。


木の元に着くと、

話し声が聞こえた。


かぁしゃま?とぉしゃまは?


父さまは、やっぱりレンだけの

父さまじゃなかったみたい。と

ポロポロ涙が溢れた。


かぁしゃま?おむねがいたいいたい?


うん…レン…ごめんね…


ヨンは涙が溢れた。

一人で産んだのか?


イムジャ…


テ…ジャン…

ひょこっと顔を出した子は

幼き頃の自分にそっくりだった。


勝手に戻って来て、ごめんなさい…


とぉしゃま?


あ、ああ、そうだ!父さまだぞ!レン!


涙が止まらなかった。

レンが駆け寄ると


とぉしゃまも、おむねがいたい?

かぁしゃまは、いつもいたいの。


そうか?でも、もう痛くならないぞ?

と抱き上げた。ニコニコと嬉しそうに

抱きつく我が子だ!


どうして?結婚したんでしょ?


ヨンはウンスの側に行くと

レンと一緒に抱き締めた。

そして、レンにまんじゅうを割って

食べさせた。


おいちい。かぁしゃま?しゅごく

おいちいでしゅ。


そうね…向こうでまんじゅうなんて

食べた事なかったね…。


ヨンは涙が止まらない。

苦労させてしまった…


イムジャ…

王命で俺の知らない間に族譜に

入れたらしいけど一度も会わなかったです。

イ・ジェヒョンの次女だったらしいですが

会わないから、違う男と不貞を

働いたらしく、イ・ジェヒョンが

族譜から抜いて欲しいと離縁したようです。

その女人はすぐに官軍の男と婚姻した

らしいです。王命だからと叔母上、いえ、

チェ尚宮が勝手に

族譜に入れました。俺はイムジャを

待っていたのに…

まるで他人事のように淡々と語る。


嘘でしょ?私には二年だったけど

六年も経ってるのよ?

天界で楽しく暮らしてると思った?

あの時、この手紙を見つけたから、

何もかも狂ったの?

テジャンは、自分を責めて、

荒れた?


手紙?

二人で逃げてた時に水場で

見つけたの。


ボロボロの手紙を古いフィルムケース

から出した。


何と書いてあるのですか?

イムジャが戻ろうと言ったのは

そのせいですか?


うん…直ぐに王宮に戻れ!って、

同じ過ちを繰り返すなって。

そうしないと、荒んでいく貴方に

なるって!例えその日が自分の

最期の日になろうと…って。



誰からの手紙ですか?



100年前の私が書いた、私宛ての

手紙…でもね、違うでしょ?

ソン・ユの高祖父に会わなかった。

何かが違ってるの。


それは…どういう事ですか?


違う私が他にも居るって事よ。

そうじゃないとつじつまが合わないわ。

だから、同じ手紙を書いて、同じ場所に

置いて来たの。


その日が最期なろうと?

イムジャは、それでも王宮に戻った

のですか?


うん…夢でね…よく魘されたの。

典医寺で…


知ってます。



あの時の夢は、知らない所で

医員をやってるのと、テジャンが

知らない倉庫で倒れてる…そんな夢。


全くあなたは…。

今となれば、戻らなければ良かったと

思ってます!


えっ?


後で詳しく話します。

待って!テジャン?

ウンスはテジャンの頬を触った。

夢じゃない…水面に映る月じゃない…

手を伸ばせば触れる…テジャン


イムジャ…


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長くなるので、一旦きります。

本篇に書かれていない、心の内も

書いてあります。