畑仕事をしていた父親。


突然現れた武士とウンスに

尻もちをついた。


ウ、ウンスか?どうした?

遠くへ行くと?

その武士のような格好の者は?


アッパ…取り敢えず、家に入っても

いい?


あ、ああ。母さんも心配して

いたんだぞ?

遠くに行くとは、何処に

行くのだろうと。


家に入れて貰うと、
 

ウンス?あなた、嘘をついたでしょ?


うん。


これから、私の話す事を信じて 

もらえる?


聞くわ!それよりこちらは?


私は高麗の武人、崔瑩と申します。


崔瑩とは、あの崔瑩将軍か?


そうよ!でも、まだ将軍ではないわ!


それから、長い話をした。


逆襲は上手くいったのね?


うん…。頑張った。



お父上殿!私を殴って下さい!

ウンスは、身籠っております。

私の子です。


う〜ん。何となくそうかと

思ったのよね?体型が妊婦だもの。


お父さん!憧れの崔瑩将軍を

殴れるの?


い、いや…。



それで、明日はウンスが国医大使に

なった祝いを町中でやります。


あら?それは、私達も見たいわ!

高麗って行ってみたかったのよね。

その話は本当だと思うけど、

目にしてみたいわ。


一緒に行きますか?


いいのか?


構いません!


ウンス?今、何か月なの?


うん…もうすぐ5か月くらいかな?


それにしては、目立ってるわ?


オンマ?双子なの。


あら!大変だわ!ちょっと

待っていなさい。

母親は、何処かに行った。


その…崔瑩将軍と言う証拠は
 
あるのかね?


あっ…


考えた末に、鬼剣を差し出した。


これでは、駄目ですか?
 
鬼剣といいます。


鬼剣は、何度も祠堂で見た。

しかし、これは…

展示してあるのと違う。

もっとピカピカに輝いていた。


何千と人を斬った剣です。

しかし、今も、鞘から抜く音も良く、

夜に振るうと、月光の如く光ります。


父親は手に取ると、命の重みを

感じた。鞘から抜くと、キーンと

良い音がした。


変だと思っていた。大昔の剣が

あのように、綺羅びやかなのか?と。

この剣こそ、鬼剣だと思う。


ねえ?アッパ?

何でそんなに詳しいの?


父さんの唯一の楽しみは、

毎週、崔瑩将軍の祠堂に行く事だ。

何故か?落ち着くのだ。

しかし…祠堂には第二夫人と眠ると

書いてあった。


今度行ったら、変わっているわ!

ジンさんが、変わったって

言っていたわ!


待て!アン社長にきいてみる。

父親は電話なるものをした。


そうですか?

はい。今、来ています。

わかりました。



本当だと、わかったが、

何故だ?先にアン社長の所へ行った。


これです!まずは、気付かせて

くれ、ウンスへの思いがこもって

居たので、会いたかったのです。


父親は、2つの手紙を読んだ。



ウンス…自分の身が危なくなるかも

しれない逆襲までして、

死ぬ程すきなのか?


うん。


わかった!許そう!

ウンスは一人娘です!

遊びたい盛りの十代の頃も、

遊んで来いと言っても、

勉強ばかりしていました。

医者になってたまに帰って来ても

難しい顔ばかりして、恋愛も

したのであろうが、臆病な子で

男の人等、連れて来た事が

ありません。一度、酷く泣いて

いる時がありました。

母さんは、誰にでもある失恋だと

言ってましたが、父親としては、

不憫で仕方ありませんでした。

泣かせたらその鬼剣で刺します!

そして、返して貰います


はい!わかっております。

大事な娘さんを嫁にしたのです。

それぐらいの覚悟はできております。




母親が大荷物を抱えて戻ってきた。


お父さん!まだあるわ!

持って来て!



何をそんなに買ってきたんだ?


双子だもの。ミルクと哺乳瓶と

紙おむつとか、色々よ。


あっ、私が運びます。

沢山の荷物を運び入れた。


両親は着物に着替えた。
 

これなら大丈夫?


散財させました。大丈夫です。

屋敷へとお連れします。



か、帰ってこれるのかい?


大丈夫です。


ヨンは門を開くと屋敷まで

行った。裏の畑に着くと、

父親が、目を輝かせる。


こんなに広いのに、

勿体ないなぁ。あとで少し

手を加えてもいいかい?


お父上殿の好きなように

して下さい。


父さんと母さんでいいよ。

堅苦しいのは性に合わない。


あっ、はい!


旦那様!どちらに行かれていたの

ですか?


ああ、すまんが叔母上を呼んで来て

くれないか?


は、はい。


チェ・尚宮は、屋敷に何か

不手際があったのでは?と

飛んで来た。


ヨンや、何か?

こちらは?


イムジャのご両親だ!


天門が開いたのか?


いえ、そんな事より、

はじめまして。

チェ・ヨンの叔母の

チェ・ミギョンでございます。


甥が恐れ多くも医仙様に思いを寄せ

勝手に崔家の嫁にしてしまいました。

子供も産まれます。

どうかお許し下さい。


まあ、堅苦しいのは辞めて下さい。

この気難しい娘をお嫁さんに

してくれて、感謝してるんですよ?

ただ、少し遠いだけです。


ウンスの父です。

信じ難い話を聞きましたが、

嘘を言う子ではありません。

明日は、国医大使になった

お祝いと聞き、やって来ました。

わがままを言う娘ではありませんが

何か困らせてはいませんか?


いいえ!お父様。

ウンスさんは、この国を救って

くれました。一人で策を練り、

より良い国にしてくれたのです。

有り難い事です。

そして、この馬鹿甥で崔家は、

終わりだと思っていたのに、

子供まで授けてくれました。

ありがとうございます。

さあ、お部屋に案内します。


叔母上と両親が居なくなると、

使用人達が運び入れた荷物を

ヨンとウンスは開けていた。



実は…王妃様と私が密かに用意

しまして、明日は、国医大使と

懐妊の祝いの祭りと言う事に

したのですが、婚儀を行おうと

思っているのです。


まあ!来て良かったですわ。

ウンスの花嫁姿が見れるなんて

思ってもいませんでした。


それで、遠い所から来てくれた

ので、現代のドレスなるものも、

作ったのです。甥は倒れるかも

しれませんが、美しい嫁です。

気絶するくらい美しくしようと

王妃様と企んでいるのです。


是非、私も入れて下さい。

ウェディングドレスなら、よく

知ってますから。


これは、心強い味方ができました。


そんな事は何も知らない二人は、

箱の中身に夢中になっていた。



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殴られませんでした。

さあ、また慌ただしくなりますね。