あの、こちらはどの時でしょうか?


時の流れの速さが違うと聞きました。

此処はウンスが100年前に初めて

手紙を書いて、岩の下に置いた時だと

レンちゃんと別の自分に聞きました。


えっ?レンちゃんが来たの?


はい。別の自分に大層叱られました。


お、おい…どういうことじゃ?


ああ、叔母上!別の世界にも

俺達が居ると話しただろ?

えっと…そちらは?


俺も四年間、ウンスを待ちました。

ただ、帰って来ると信じて、

ウンスが戻ってくる一年前に

叔母上に頼んで、妻として、

ウンスを族譜に載せ力に

かえました。それで、叱られたとは?



俺なんです。荒んでウンスが

探し回り、意識を飛ばした俺を

毎回抱き起こし泣かせました。


えっ?どうしてですか?


手紙を見つけて、あなた達は、

王宮に戻りましたか?

はい。一瞬遅ければ、王妃が

死んでました。しかし、それは、

ウンスが手紙を見つけたからです。


俺達は一瞬遅かったのです。

ウンスが王宮に戻ろうと

言ったのに戸惑いました。

戻ったら王妃は亡くなってました。


えっ?だから最初のウンスだと?


私も100年前に飛ばされました。

何故か?手紙を書かなければと、

罠の事も書いて、もしも違う時が

あるならば、どうか見つけて!と

思い、ウンスへ…と届かない手紙が

届いたようなのです。


そうです。俺は自分を責めて

酒を煽り、意識を飛ばし、

自分が何処にいるのか?さえ 

わからなくなりました。

ウンスのせいではないのに、

ウンスも責めてしまいそうで。


王は心を壊してしまいましたが、

今は別の王妃を娶り、女官との

間にできた王子を王妃は、

可愛がっておりますが、やはり

王妃には子はできません。

王は立ち直ったといえ、命日には

一日中、墓の前で蹲ってます。


俺は、ウンスがキチョルに

拐われる前に…綠蛛毒を飲むと

言った時に正気を取り戻し

ました。

しかし、拐われ天門前で勝てると

思ったのに、ウンスの手を離して

しまいました。


後悔の念だけが残り、

毎日、ウンスに恋文を四年間

書き続けました。


何故ですか?既に自分の気持ちに

気づいていたはずです。

何故?ウンスが居たのに、

荒んでしまったのですか?

七年間凍った心を溶いたのも

ウンスです。貴方だけが

苦しんだと思ったのですか?


六年待ったという別の世界の

俺にも言われました。


生きてるからと幸せとは限らない。

死んだからと不幸とは限らないと。


別の高麗はお二人が健在でも

良からぬ方向に有ると聞きました。


そうです!

高麗を平和にし過ぎました。

王は女官と逢瀬を重ねて

王妃を裏切りました。


王妃は、ウンスが王子と公主を

無事に産ませたのに

まだ子をほしがりました。

それが王の負担になったのです。

気持ちが離れて行ったのです。

結局、その女官に騙され、

病気まで貰い、王妃にも

うつしましたが、ウンスは、

自分で作った残りのペニシリンを

王妃に打ち、王妃は治りましたが

王がどうなったかは知りません。


ペニシリンって、高麗で

作ったのですか?


屋敷では、研究ばかりしてたんですよ。

帝王切開も胸を開いて動脈瘤も

取り除きました。




ウンスは民の為に、

コレラの予防にも励み、

蔓延を防ぎました。


そんな事も忘れてしまっている

王です。

民が王や王妃より、俺達を崇めました。

そんなウンスを危険な目に

合わす事はできません。

今は、蔵ごと、屋敷の皆んなと

ウダルチを現代へ連れて行きました。


おわかりでしょう?

乱心した王がウンスを望むかも

しれないと言う事です!

貴方は、そう思わず、

自分だけ荒んでしまったのですか?


其処までは考えられなかったです…

そうですよね…今考えると

そうなったら、俺は…


ウンスは何度も危険にさらされました。

アンジェにもです。

こちらでは、アンジェは幸せな

結婚をしましたが、妻が身籠ると、

他の女人も試したいと…情けない 

男に成り下がり、ウンスにまで

目をつけました。

彼奴の考える事は、見通してました。



こっちのアンジェは、

今は軍を纏めるほどになりました。


俺は手が震えた事で、

ウンスが依存症ではないかと、

不安になり最近またうなされだしました。


二人で毎日向き合って話し、

そんな時、ジンジュ様が現れたのです。


ウンスの時代に行き、

ご両親に謝りました。

それとウンスを診て貰い、

自分も依存症の検査をして欲しいと

言いました。


メンタルクリニックやらで、

色々調べ、依存症ではないと

わかりました。

されど、どのウンスも俺を探し回る

夢を見ると聞き、まずはあなた達の

所へ行き、謝ろうと思ってました。


だから石が光ったのね?

ヨン!責めてばかりじゃダメよ!

その当事者にならないとわからないわ?

貴方だって、荒んだかもしれないわ!


もしかして、兵舎で一緒に過ごして

ないの?



は、はい。チュンソクさんが、

違う部屋を用意してくれました。

とても近寄れる状態では

なかったけど、知らないうちに

居なくなり、探し回りました。



でも、こっちのヨンさんは、

ウンスさんの為に自ら

メンタルクリニックに行きたいと

言ったのよ?中々できる事じゃないわ!

依存症と疑うのは、

私でもそう思ったと思うわ。

お酒に溺れた後で手が震えたら、

誰だって不安になるわ。

それにあの手紙がなかったら、

私達も同じだったかもしれないわ!

しかも罠の事がわからなければ、

ヨン!貴方は死んでいたのよ?

一方的に責める前に時の流れは

違うけど、此方の二人が、

私達を助けてくれたのよ?

現代でメンタルクリニックに

行ける?


あ、ああ…すまない。


俺は有難かったです。

あのような医院があった事が。

荒んでいる時にウンスを

突き飛ばしたりした事も

憶えてなかったのです。

まるで最初に荒んだ時と同じでした。

そうではなかったですか?



あっ…確かに何もかもどうでも

良かった七年間だったかも…




丁度、叔母上にも話していた所です。

叔母上も王宮を下がり、

屋敷に閉じ籠もってました。


誰が悪い訳でもない。徳興君が

悪かったのです!

起こるべくして起こった出来事だと

気付きました。

先生が言っておりました。

心の問題で歩けなくなる人もいると。

四年前手が震えた事は、別の理由で、

震えただけで良かったと思いましょう。

と言われました。

調べてもらって良かったです。

例え今も震えが治っていなくても、

その言葉で救われました。


そうですか。それを聞いて安心

しました。すいません。

熱くなり過ぎました。

一步早かったから、今の

俺達が居るとわかりました。

最初のウンスさんだとわかりました。

手紙を書いて下さり、

ありがとうございます。



ただ一つだけ…

俺達の後悔は慶昌君様の事です。


ジンジュ様が言っておりました。

逃げて隠れていた廃屋から、

別のウンスが養子にしてでも

治すから、門を開けと違う俺に

言ったようです。

覚悟が足りなかったと言ってましたが、

全て捨てて、三人で現代へ行き、

慶昌君様を助けたそうです。

誰よりも早くにウンスへの

気持ちに気付いたチェ・ヨンです!


ああ、それを聞いて胸のつかえが

取れました。

レンちゃんが言ってました。

みんな家族だと。


家族だから言える事ですね?


あの…双子が産まれるのですか?


そうなの。結婚して五年で、

子供が九人になるのよ?

私も高齢出産になるから、

今回は現代で産もうとヨンに

言われていたけど、王と王妃の

事で、思わぬ展開になっちゃった。


九人?えっ?あの?


驚くでしょ?

4歳の双子と2歳の双子と1歳の三つ子、

そして又、双子なの。

叔母様は、現代で素敵な人を

見つけて結婚したのよ?


ええーーっ!

全部ビックリ!

ねえねえ?ヨン?九人だって!

叔母様も結婚したんだって!


では、うちも頑張るとしよう!

叔母上は適当に頑張れ!

あっ?菩提寺の和尚なら、

許してやるぞ?


でも、羨ましいわ。

四年間も恋文を書いたなんて、

私も恋文を貰いたいわ。


うっ、うん…まあ…そのうち。


そのうち?まさか?

年寄りの遺言状なんて嫌よ!


みんなで大笑いした。


所で、紅巾は?


まだでしたが、明へ行ったら、

既に相当の数だったので、

まずは明と国境を潰して来ました。


みんな、やることは一緒と言う事

ですね。


では、倭寇は?


チュンソクとアンジェが行ってます。

あと水軍の隊長が何とかするでしょう。


水軍の隊長は?


チュオンですよ?


チュオン?まさか?アイツは、

生きていたんですか?

こちらでは、消息がわかりません。


ねえ?チュオンさんって?


ああ、俺とアンジェとチュオン、

幼馴染みだった。


イケメンで面白い人なんですよ。


イケメンなの?


こら!ウンス!

二人のヨンが同時に言う。


ほら?ヨンって、無愛想で口下手

でしょ?でもチュオンさんと居ると

漫才コンビみたいなんですよ?


ええー、みてみたい!


この前なんか一緒にお風呂に

入って、その…男比べをしたんですよ?


キャハハ!それ!いい!面白い!


で?どっちが勝ったのだ?

勿論!俺ですよ!

だろうな。


気になるんだぁ?キャハハ!


いや、チュオンには負けたくない

だけだ!しかし、何処に居るのか…

チュオンも探してみます!


あっ!地下室は?


今、造ってます!

皆さんも造ったのですね。

現代で住むと決めたのですか?



今はまだ、高麗は立て直せるか?

わからないので、隠密部隊で、

史実を見ながら動く事にしました。



何故、別の時が沢山できたのか?

わかりませんが、

皆さんはウンスが一番と言う事は

わかります!


とその時、また青白く光った。



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sa:全く!怒りっぽいのは治しなさいよ?

ヨン:ウンスにもよく言われておる!

sa:よく言われているのに、頑固だわ!

ヨン:して、今度は誰が来たのだ?

sa:教えてあげな〜い!

ヨン:ふっ…性格が出るな!ケチくさい!