王宮では、王が祈祷師を毎日呼んで、

子ができる身体にして欲しいと

祈祷してもらっていた。

香を焚き、王の目を見て真剣に

祈祷する姿に、王はすっかりと信頼

していた。

そして、段々と元気になり、

朝議にも顔を出す様になった。


王妃も毎日、祈祷してもらい、

その鏡はまやかしだと、割られた。

そして、意のまま操られ、自分は

大丈夫だ!と元気になった!


そうだ!祈祷師集団が居なければ

駄目な王と王妃になっていたのだ。

と勘違いしていたのだ。


チェ尚宮は、市井で家の中に何かが

足りないと、香を買いに出ていた。

見覚えのある香を買おうとすると、


やめときなよ!チェ尚宮!

あんた?その香がどんな物か?

知ってるのかい?

店主!何故、この香を売ってるだい?



いや、王宮に出入りしてる祈祷師の

集団が、この香は体力の回復も良く、

気持ちもスッキリすると、王様の

お墨付きだと言ったから、大量に

仕入れたんだ。


その香は、真逆だよ!人の心を惑わし

悪い心が芽生えるんだ!

それ、全部買うからよこしな!


あんたもまやかしにやられたのかい?

チェ尚宮?人を傷つける事で

スッキリしたのかい?


えっ?


あの祈祷師の集団は元の者だよ?

それにも気付かなかったのかい?

王宮が乗っ取られるよ!

呪術にかかったら、解く術がないんだよ!

あんたもかかったのかい?

みんなそのようだね。その香を

欲しがるなんて、祈祷師の目でも

見たのかい?

いいかい?ヨンと医仙に近づくんじゃ

ないよ!今は大事な時期なんだ!


大事な時期とは?


あんたが知る必要はないよ!


呪術?乗っ取られる?香?目を…見た!

頭が混乱するチェ尚宮だった。



チェ家には師叔が来ていた。


医仙が言ってた通りだったよ!

どうやら、呪術使いがいるみたいだ。

既に孤立した高麗になったから、

帰る事もできず、王宮を乗っ取る

つもりだ!

最近は、毎日、王と王妃が呼び入れて

祈祷してもらってるようだ。

ヨン?テルって知ってるか?


テル?赤月隊に居たテルか?

呪術をかける奴か?


ああ、そうみたいだ!

どうやら、元になびいて、お前を

貶める為にイ・ジェヒョンに近づき

王や王妃も言い包めて、

婚姻させるのが国の為だと言って、

お前を王宮に縛りつける

つもりだったようだ。


はあ?何故?そうなる?


メヒだ!テルはメヒに惚れてなかったか?


どうであろう?赤月隊には女人が

少なかったから…あっ!そう言えば、

たまに二人で買い出しに町に

出ていたが、気にしてなかったが、

一日がかりで買い出しに行っておったな。


お前は無駄な時を過したようだ!

赤月隊を良く知る宿屋の者が

二人で仲良く同じ部屋で過ごして

いたとさ。


なるほどな。今となっては、関係ない

話だが、何故、恨まれる?


これだから、男って鈍すぎるのよね?

いい?メヒさんは結局、ヨンとその男と

二股をかけてた事になるのよ?

どっち付かずの女に痺れを切らして

いた所で、非業の死を遂げた、師匠?

その責任を感じて自害するなんて、

メヒさんは、師匠が好きだった!

と言う事よ?

そして、ヨンは強くなって、どんどん

有名になっていったのでしょう?

その男は、メヒさんはヨンと自分を

選び切れずに死んだと勘違いしてるのよ?

将来を誓った男がいるのに、

師匠が自分のせいで亡くなったからと

自害する?メヒさんが敵わぬ恋を

してたのは、師匠だったのよ!


なるほど、言われてみれば

そうかも知れない。

しかし、ウンスは何故、その様に

詳しいのだ?


私は医術が専門だったけど、

副専攻は心理学だったのよ!


心理学とは?


読んで字の如しよ!

人の心を深く知り、理解することで、

人を助けたり、よりよい社会をつくること

に活かそうとする学問よ!

前にその話を聞いた時に   

少し疑問に思ったのよ。許嫁を亡くした

あなたは可哀想だけど、

例えば、私に許嫁が居て、

尊敬する師弟関係にある

医師が非業の死を遂げても、

私は、自害なんてしないわ!

あくまでも師弟関係だもの。

その許嫁に泣きすがるわよ!


いやぁ〜流石医仙だ!

其処までは考えもつかなかった。


ああ、言われてみれば、その通りだ。

結局、手を出さなかった俺より

テルの方が良かったが、師匠が

一番だったと言う事であろう?


そうよ!だからその勘違い男は、

王宮を乗っ取って、自分が一番に

なる事で、ヨンに仕返ししようと

しているのよ。


おおお!周りから拍手がおこる。


流石、医仙様です!


トギ?呪術を解く薬はないの?


作り方は何とかわかるけど

必要な材料がないのよ。


何を使うの?


気を静める薬草と牛黄を混ぜようかと。

でも、牛黄はなかなか手に入らなくて。


牛黄は現代でも使われてる

優秀な薬だわ。流石ね。


急がなくていいわ!


少し、王宮を乗っ取る所を見てから

にしましょう。

そろそろ倭寇も来る頃だし。


おい?ヨン?お前、尻に敷かれるぞ?


ああ、とっくに敷かれてる。

それが一番良いのではないか?

どの道、俺はウンスには勝てぬ!

あの賢さだって、並の女には

ないものだ!


そりゃそうだ!お前以上の策士かも

しれんぞ?


ウンス?牛黄とは、何なのだ?


牛の胆のうにできた結石で

優れた薬剤になるの。

此処では手に入らないはずよ!


よし!聞いてやるぞ!

早めに手に入れてやる!


おじしゃん?ファイチン!と

レンの激励を受け、師叔は帰って行った。




そして、倭寇が近づいて来た!



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ウンスに敵う者なし!