かぁしゃま?


ん?あっ、ごめんね。レン…


おむね、いたいいたい?


大丈夫よ?

とぉしゃま、どこ? 


もうすぐ、会えると思うわ。

でもね、レン?レンだけの父さまでは

ないかもしれないの。


おじしゃんじゃ、だめ?


おじさんは父さまじゃないのよ?




ウンスが100年前に来て、

二年になろうとしていた。


あの日…天門へ向う前の日、

抑えきれなかった二人の想い。

まさか、此処に飛ばされる等と

思いもしなかった。


あの人を助ける為に病院で

薬剤をかき集め、走って走って、

天門を潜った。


着いたら、何かが違っていた。

男達に囲まれ、倒された。


その時、


何をやっておる!男達を倒し

助けてくれた人。


どうしたのですか?こんな危ない所で

女人一人でいるとは?蒙古が、

彷徨いてます。取り敢えず、

家に行きましょう。


この変わった物は?とバッグを持った。

何も言わないウンス。

その男は悪い人ではないと思った。

とぼとぼと着いて行った。 


その人の屋敷に着くと。


そなた?名は?


イ、イセンと言います。


迎えた使用人と奥方様と思われる方。


あなた?どちら様?


ああ、あの祠の近くで、

襲われそうになっておった。


まあ、怖い目にあったのですね?


あの…今の王の名前は?


は?高宗王ですよ?お忘れですか?


ウンスは愕然とした。

あれから、100年前?どうして?

何が足りなかった?あの人は

生きてるの?

その場で倒れてしまった。


目覚めると、これが現実だとわかった。


某はイム・ユムと申します。

何か事情がおありかと思いますが、

妻と共に聞きますので、

お話下さい。


とても大切な人と離れ離れに

なってしまったようです…と

ボロボロと涙が溢れた。

信じて貰えないかもしれませんが、

私は、今より100年ほど先の高麗から

来ました。

あの天門を潜り、着いた先が

此処だったのです。


あの祠は何か不思議な力があると

聞いた事があります。

嘘ではないようですね。

住む所もないでしょう?屋敷の離れに

暫くいるといいです。今は危ない状況

なので、外には出歩かないように。

貴女はとても目立ちます。


そうですね。御身体も疲れきって

いるようですね。ゆっくりなさって

下さい。


ご夫婦の言葉に甘えた。

行く所がないのだ。


それから、暫くは昼間は、使用人と

して働き、夜は泣きながら眠った。

奥様は身体が弱い方だった。

ウンスは薬草の事も調べ、

薬湯を煎じて、奥様に飲ませた。


イセンさんは、薬草に詳しいのですね?


あっ、実は医員をやっておりました。


それからは、薬草を専門に

扱うようになり、奥様の専属の

医員となった。奥様は日に日に元気になった。

四ヶ月過ぎるとウンスは、

自分の身体の異変にも気付いていた。


あの人の子供…あの時の。


それは奥様にも気づかれた。


イセンさん?もしや、身籠って

いるのでは?


そのようです。あの人の子です。

嬉しいです…

それだけで、生きていけます。


どんどんお腹が大きくなるウンスに

有らぬ噂が立っていると聞いた。


イム様の側室ではないか?と。


しかし、奥様のスジ様は、

とても良くしてくれた。


噂等、気にしなくいいのですよ。

イセンさんの想い人との大切な

お子です。



ある日、盲腸の男の子が運ばれてきた。

スジの友人の子だという。

ウンスは黙ってバッグを持ってきた。


この医術は政の駒にされかねます。

どうかご内密にお願いします。

と、その子を手術した。

ああ、この子がソン・ユが言ってた子?

その医術にイム夫婦も驚いたが、

確かに政の駒にされかねないと、

口をつぐんだ。


数日後、元気になった男の子に言った。

あなたの命は、争う為に助けたのじゃ

ないのよ?大きくなっても、

お母さんを大切にするのよ?


そのバッグはご夫婦に預けた。


薬草を学び、いつものように

暮らした。


そうして、ウンスは元気な男の子を

産んだ!テジャンにそっくりな。


旦那様も奥様もとても、可愛がって

くれた。

そして、天門の開く日を計算した。

レンが一歳半になる頃、開くとわかった。

日毎、ヨンに似てくるレンを見て、

寂しさを紛らわしたが、

胸が押しつぶされそうになる位

泣きたくなる日もあった。


あれから向こうは何年経っている?

テジャンはもう幸せな家庭があるのかも?


そう思いながらも、いよいよ、

天門を目指す日が来たのだった。

一人では危ないと旦那様とその

仲間のような武人達が送ってくれた。

見た事がない美しい女人に目を奪われたが、

子供が一緒だった。


本当にありがとうございました。

お礼が何もないですが、

ひとつだけ…

恐らく蒙古が勢いを増して、

江華島を落とします。

高麗の民も多くが人質にとられます。

どうかお逃げ下さい。

そう言うと、突然青白く光る渦が現れ

その光の中に消えた。



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このお話は10話位?で終わります。たぶん

前にちょっと書いていたものです。

疲れて頭が回らないので、

アップしてみました。

月末まで忙しいですm(_ _)m

sa