ヨンがウンスの為に漁を休んでも、

みんなは、魚を届けてくれたり、

貝を届けてくれたり、

食べる事には本当に不自由しない

村であった。


ウンスはお腹の張りも頻繁で

イタタ…と言ってはお腹を撫でて、

いい子達ねと優しい笑顔を見せる。


夜もトイレが近くなると、

ヨンが寝ているのを起こすのは

かわいそうだと一人で起きて行こうと

すると、


危ないではないか?転んだら大変だぞ?

ちゃんと起こすんだぞ?と

抱き上げて厠へ連れて行く。


ヨンとウンスは一緒に暮らし出してから

ウンスが発する天界の言葉を

理解しようと聞き、ヨンも自然と

二人の時は天界の言葉が出る。


クスッ 前は聞きもしなかったのにね。

意味不明だとか言わなかった?


そうだったな。だが今は夫婦だ!

ウンスを尊重するのが当たり前だぞ?


そして、二人の誕生日の朝、

目覚めると

おめでとうのキスでウンスが起きる。


ヨンもおめでとう!と箪笥の中から

貝殻が綺麗に輝く腕輪をヨンに渡した。


これね、流れ着いた珊瑚に貝殻をつけて、

上手く加工したの。私のも作ったの!

お揃いよ。と笑顔を向ける。


綺麗だな?ありがとう。


ヨンは懐から、小さな布の袋を出すと


ウンス?左手を出してと言った。

ヨンは、市井の彫金細工に無理を言って

作ってもらった銀に金の縁取りをした

指輪を嵌めた。


えっ?えっ?これって?


前に言ってただろう?

ウンスの時代では婚姻の印に

指輪を交換すると。

ウンスは指輪を外して見てみると

裏側に崔瑩と掘ってあった。


ヨンのはないの?


あるぞ?ほら?と袋の中から取り出す。

見ると、お揃いでうらには柳恩修と

掘ってあった。


ヨンも…と左手薬指に嵌めた。

ウンスは嬉しくて泣けてきた。


ほら?泣いたら子供達がビックリするぞ?


嬉しくて…

そうか?これは、一生外さないからな?

うん…私も。

少しでも、朝飯を食べねばと

立ち上がると、イタタと立ち止まり

腹を擦る。


大丈夫か?凄腕の婆さんのところへ

行くか?

最近は頻繁に張ってるけど、

まだ陣痛じゃないわ。


朝餉は焼き魚と貝の汁物、ウンスが

作った、山菜と大根を和えた物だ。


そこに、サヤがやって来た。


ウンス!これ?さっぱりするから

食べてね。

と置いていったのは、野いちごだ。


あら?珍しい!

パクっと食べると…

美味しい〜と幸せそうな顔をする。


どら?とヨンも口に入れる。

美味いな。と微笑む。

お昼過ぎには、浜のオンマ達が

縫ってくれたオシメや産着を

整えて、いつでも産める準備をした。


薬房の縁側に腰掛ける。

ねえ?ヨン?私達って王宮に居た時、

あなたは物凄く忙しかったじゃない?


ああ、重臣やら集めたりしてたからな。


敗血症になっても、私に怒ったでしょ?

兵舎まで行っても怒ったでしょ?

あの時は私の事、嫌いだった?


なっ…そうじゃないんだ。

生きる意味が見つからなくて、

死に急いでいたのかもしれない。

だからなるべく人と関わらないように

していたんだ。

ただ、素足で兵舎に来た時は、

流石に焦った。関わりたくない反面、

あの姿を誰にも見せたくなかったのかも

しれない。


いつから、私の事、好きになったの?

それが…気がついたらウンスの事ばかり

考えてた。

自分でも考えたんだ。あのコエックスで

たくさん医者は居たのに、ウンスしか

目に入らなかったんだ。そこだけ

輝いてた。

だけど、何処かで否定していた。

そう、一緒ね。

でも、もう二度と命を粗末にしないで。

私は、これから新しい命を産むのよ?

命って、凄く尊いものなのよ。

医者はね、私の時代では、身分や

敵、味方は関係なくて、目の前に

助かる命があれば助けるって、

医者になった時に誓いをたてるの。


ああ、ウンスを見てるとよくわかる!

今後、俺が命をかけるとしたら、

ウンスと子供達だけだ!


私も…そうかな?

二人共べた惚れね?クスッ


ああ、俺はウンスにべた惚れだ!


少し歩くか?


そうね、天気もいいから、歩く!


家の外に出ると、少し歩いた。

漁から帰ってきた者達が手を振る。




イタタと立ち止まり腹を撫でる。

腹が張ると硬くなるのか?

朝方、触ったら、硬くなって驚いたぞ?


そうなのよ。頻繁に張るけど、

撫でると治るのよ?イタタ


家にもどるか?

そうね。これじゃ散歩にならないわ。

家の前まで来ると、ウンスがペタンと

座った。


ヨン?お婆さんを呼んで来て!


ど、どうした?


破水したみたい。


ヨンは大声で、

サヤー!サヤー!と呼ぶ。


ヨンさん、どうし…あっウンス!


すまんが凄腕の婆さんを呼んでくれるか?


わかった!


俺が行く!漁からかえったミョンジュが

走って行った。


ヨンはウンスを抱き上げると、

衣が濡れていたので着替させて、

布団に寝かせた。


ウ、ウンス!俺は何を?何をすれば良い?


ヨン?まず深呼吸して気を整えて!

焦ったヨンを見て、ウンスが言った。


ヨンは大きく息を吸って吐くと、

両頬を叩いて、よしっ!と言った。


いよいよウンスのお産が始まった


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今日も明日も仕事。

その後2連休です。