お腹が大きくなるとトイレも
  
近くなる。夜中に二度起きた。

暗いので慎重に歩くが途中お腹が張る。

ヨンが走って来た。

「起こせと言うたのに。暗くて
危ないではないか?」

「ごめん…よく寝てたから。」

ヨンは、腰に手を当てゆっくり歩く。

「これだけ腹が大きいと足元が
見えぬであろう?寝ていようが、
俺が連れて行くから起こしてくれ!
気配に気付けぬ時がある。」

「だって、手術の手伝いは、
気が張るでしょ?気付かなくて
当たり前よ。」

「いや、俺もちと気を抜き過ぎてる。
調息もしておらん。ウンスの気配に
気付けぬとは、あってはならん事だ。」 

「あっ!暫くお預けだったものね。」

「あっ、それは良い!ウンスの身体に
何かあっては大変だ。ウンスと一緒に
なる前は、自分で呼吸を整え、
丹田に気を送っておった。」

「そうだったのね?」

閨に戻るといつの間にか
子供達が寝ていた?
「あら?どうしたのかしら?
寂しくなったのかな?珍しいわ。」
ウンスとヨンが子供達と一緒に寝る。

子供達がウンスのお腹に手を当てて
眠る。
ポカポカと暖かい気が流れてくる。
ウンスもその暖かさに気持ちが
良くなって眠った。
ヨンもその気を分けて貰った。
丹田が暖かくなる。
知らぬ間に眠っていた。

朝目覚めると、子供達はまだ寝ていた。

ヨンがこちらを向いて
おはようとチュッとする。

「寝てないの?」

「いや、よう寝た。子供達が
無意識に気を送ってたようだ。
俺にもな。丹田に気が満ちた。
疲れたのであろう?寝かせて
やろう。」

「うん!私もお腹がポカポカで
張らなかったわ。」

起きて着替えてると、 
子供達が目を覚ました。

「おはよう」とポッポする。

「おはよござりましゅ」
 
ヨンは二人を両腕に抱き、
朝餉に行く。

4人が居間に行くと

チソが
「おはようございます。珍しいですね?
お子様達と一緒に眠ったのですか?」

「いや、知らぬ間に来ておった。」

「あっ!そう言えば侍医達にも
何か運んであげて。」

「もう、運びました。」
「さすが、チソね。」

朝餉を食していると、
侍医と男の人が来た。

「医仙様、患者さんを典医寺に
運びます。こちらは、患者さんの
旦那様です。」

サジュナがやって来て
「奥様、熱もそれほどあがらず
トギさんの薬湯で落ち着いて
おります。」

「じゃあ、ちょっと待って!」

ウンスはヨイショと立ち上がると、
診療室に行き、ウンスの小部屋に
入り、注射器を持ってきて、
患者に打った。

「医仙様、それは何ですか?」

「抗生剤よ。敗血症にならない
ようにね。なっても効果が
あるわ。はい。これを貸すから
書き写したら、持ってきてね。」

そこには、抗生剤の作り方を
書いてあった。それはとても複雑で
時間を要したであろうものだ。

侍医は
「はい!よく読んで書き写し、
返しにきます。」と患者と赤ちゃんを
連れて、典医寺に帰って行った。

居間に戻るとヨンが
「腹は?張らぬか?」
「そう言えば、今日はまだ痛く
ならないわ。」

すると今度はアン・ジェが来た。

「なんだ?朝から?追い出されたか?」

「違う!王様も頭を痛めていてなぁ」

「キ・ヤンの事か?」

「フッお見通しか?奴婢になり、
典医寺で働いておるが、起こした
罪はあまりにも大きい。流刑に
すべきか?このまま典医寺で
様子を見るべきか?」

「トゴン・テムルも朱元璋も
アユルシリダラも葬った今、
本来なら流刑だが、ここ数ヶ月
典医寺で懸命に働いておった。
侍医の元、医官を目指さしたら
どうだ?医術に興味があるようだ。
それから決めたらどうだ?」

「王に申してみる。で医仙様は
大丈夫ですか?」

「私?薬が効いて、かなり良く
なったわ。後は無事に産まれて
くれるといいけどね。双子を産むのは
命懸けよ。」

「お前が双子を作るから、
医仙様が辛い思いをするのだ!」

「あっ!違うのよ。これは、遺伝と
言って、身内に双子がいると、
双子ができる可能性があるのよ。
私の祖母が双子だったの。
隔世遺伝かもしれないわ」

「はっ?双子の作り方があると?
ヨン!お前、嘘をついたな!」

「そんな事いったか?覚えておらぬ。」

アン・ジェは呆れて帰って行った。

昼頃、テマンが上奏を抱えて
持って来た。

「アン・ジェか?彼奴の仕返しに
決まっておる」

「はあ…大将軍の所へ持って行けと」
ヨンはサクサク読むと、

「これだけは、印を押せ!
後は却下だ!アン・ジェにもっていけ」

早い!テマンは驚くがプンが
テマンに抱きついて

「テマナ、あしょんで!」と
言われ、ニヤつく。

ヨンは、プンを引き剥がすと、
テマンは、上奏をもって
帰って行った。

「テマナとあしょびたかったです」

「テマンは仕事中だ。今度だ。」

いくらテマンでもプンはやらんぞ!
ウンスと共に俺の側に置いておく!
勝ち誇った顔をするヨンであった。



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今日は吹雪❄