王宮では、
ズラーッと並ぶ兵士達が
敬意をはらう。

王様に
「これより紅巾討伐の為
国境へ赴きます!」と言うと、

「上護軍!いつも苦労をかける!
必ず勝って、戻られよ。」と労う。

「出立!」の声で門を出て行く!

民達がいない事を確認すると、

「門を閉めよ!」

王宮の門は、閉められた。




国境付近に着いたのは、
七日程たった時だった!

国境を見張っているのは
あのイ・ソンゲだ!

禁軍アン・ジェ、パク・ドンス
ウダルチ隊長チュンソク、トクマン、
テマン、そしてイ・ソンゲと
軍議を行う。

「今のところ、異常は見あたりませぬ」 

「引続き、見張りに抜かりが無きよう!」 

そして、兵士達の配置を決める!

既に三月半ば、この辺りは、
雪が少なかった模様で残雪もなく、
地面も乾いていた。

翌日も晴れていたので、
作業を始める。

あちこちに小さい竹筒、長い竹筒を
万遍なく埋める。

そして、大きな玉を荷車に積んで
真ん中に深く埋めた! 

火矢を射る者、丸い爆弾を数人で
一箇所に投げる者20人ずつを
上からグルリと囲むように、配置する。

それぞれ石を使って鍛錬してきた。
怠る事なく、此処に着いてからも
やっている。

連れて来られた重臣達は、
震えっぱなしで無言だった!


翌日は雨だったが、心配する事は
なさそうだった。

四日目の夕方、
この辺りを仕切る領主の
ト・ヒョンスンがやって来た。

「皆様、ご苦労様です。
どうですか?近くの宿屋で
労いたいのですが?
酒も女もご用意させて頂きます。」

ヨンは、ギロリと睨むと

「おい!ソンゲ!
お前は、いつも接待を受けてるのか?」

「いえ、上護軍!領主の誘いは、
一度断ってから、来ておりませぬ。」

「真か!!」

「真です!某とて誇り高き高麗軍!
接待など受けるとどうなるか?
知っております!」

「して、領主よ!何故、今なのだ?」

「私は、ただ皆様のお役目の心休めに
と思った次第で。馳走も酒も女も極上
です。ぜひお情けを」

「其方、白蓮教徒であろう?
領主がそのような有様!情けなど
微塵もない!此奴を捉え、村役場に
連行しろ!その宿屋も隈なく探せ!」

領主は、ガックリ項垂れた!
その懐からヨンは、先程少し見えた、
赤い物を取った!
紅巾の証である頭巾だった。

「よもや、開京にも入り混んでおる
やもしれぬ。やはり狙いは開京だったのか。」

その頃、スリバンの隠れ家から、
スホンに言伝が来た。
避難した人々が殆どなのに、
怪しい人々が居ると。

門は、閉じられていたが、直に
トギとサジュナを呼び、ウンスにも、
地下室へ行くようにと、屋敷の者
全員、地下室に入った!

開京に紅巾数名の者が入った時は、
既に避難していて、閑散としていた。
崔瑩の屋敷も閑散としていた。
まさか?既に国境に居るとは知らず。

王宮に近寄ろうにも、
兵士が多く、門も閉ざされていた。

「どう言う事だ?間もなく国境に
大勢着くはず!待つか!」
数名で話していると、禁軍に囚われた!

「不審な奴等め!王宮外の牢に入れよ」

これも、ヨンの作戦の想定内だ! 
牢に入れられた一人が
「なぜだ…」所詮宗教徒や農民だ。

翌朝、とうとう国境付近が動いた!
「来たぞ!」アン・ジェが言う。
「まだだ!大勢集めろ!」
赤い集団で埋め尽くされた!
やはり10万か?
その時、
「始めろ!」とヨンの指揮が下る。

四方八方から火薬玉、長い竹筒を回転させ、
下方に投げ、
火矢を放つ!
あちこちから爆音が聞こえ、
吹き飛ばされる赤い人々!
跡形もなくなる者!

今度は、地面目掛けて何千もの火矢が
射たれた!地面が爆発する!
あちこちで、
爆発と共に赤い集団が木っ端微塵だ! 

「これで、4万程だ!まだ来るぞ!
構えろー!」激が飛ぶ!

後から後から赤い集団はやって来て、
目の前の惨状に驚愕するが進んで来る。

そして火矢のが次々飛んで来たかと
思えば、一瞬で人が居なくなる!

ヨンも的確に火矢を放ち
爆弾に命中させる!
半分は倒しただろう!と思ったその時、

ヨンが高台から、
雷光を撃ち放った!
その雷光を四箇所に放った!

それでも、ヨンの丹田に気が満ち 
溢れている!全て吹き飛んだ。

そこに残りの赤い集団がまた4万は
いるであろうか?
辺り一面赤くなったと思った瞬間、
空が暗くなり、雨が降り出した。
思惑通り、雷鳴が聞こえだした。

ヨンは、味方に向かい
「さがれーーー!!」激を飛ばした。
みんなは、かなり下がった!

そして、ヨンが剣を空に向け、
地中に埋めた大きな爆弾目掛け
今までで一番凄いであろう
雷光を放ったと、
同時に「伏せろー!」と言い放ち
軽功を使い下がった!

地面が割れたような地響きと
爆音と土煙。
その様子を見ていたチュンソクと重臣達!
チュンソクは、倭寇討伐の時より
もの凄い雷光に驚きながらも、
気を使い果たしたのでは?と思った!

重臣達は、震えながらも驚愕していた。
「まさしく…鬼神…これが崔瑩の力!」