和尚の読経が始まった。 

その後、盃を交わし、高麗の仕来たりを通した二人に。
和尚は、
「嫁御が長きに渡り修行を摘んで帰って来た。既に夫婦であるが、今、此処で真の夫婦にあいなりた。この良き縁にこの言葉を送る」

和尚は、豪華な紙を取り出し
「鴛鴦之契 (えんおうのちぎり) 
仲むつまじい夫婦の例えで有り
いつまでも連れ添うという夫婦の約束のこと。
「鴛」は雄のおしどり、「鴦」は雌のおしどり。
いつも雄雌がともにいることから、夫婦仲の良さをいう。」
それをヨンに渡した。

和尚は張りのある声で、
「それでは、これから崔瑩が妻の育ちし地の婚儀を行う!誓いの言葉を」 

ヨンが低く響く声で言う!

「わたくし崔瑩は、柳恩修を妻として愛し、
敬い、慈しみ、生涯守りぬき来世でも
結ばれる事を誓います!」

ウンスは大きく息を吸って 

「わたくし柳恩修は、崔瑩を夫として愛し、
病める時も健やかなる時も敬い、慈しみ、
生涯守りぬき来世でも結ばれる事を誓います!」

そして、和尚が大事そうに取り出した指輪。

ヨンはウンスの左手薬指にはめ、
ウンスもヨンの左手薬指にはめた。

「それでは、誓いの口づけを」

ヨンは戸惑う事なく、
ウンスに口づけた。長い口づけを。

「ちと長くないか?」と和尚が言った。

ヨンは、ウンスにとろける笑顔を向けた。

ウンスも極上の笑顔をヨンに向けた。

王様は、大護軍があのような笑顔を
持ち合わせているとは。

王妃様は、
愛し、敬い、慈しみ…と心の中で繰り返していた。

そこで、和尚が
「これで二人の婚儀が滞り無く済、真の夫婦になった!心よりお慶び申す。」

二人礼をすると、
ウンスが
「これから、ブーケトス、あっ、この花束を投げるので、女性の方は、後ろに並んで。花束を受け取った人は、次に結婚できるという伝えがあるの」

武女子はこぞって並んだ。
「妾も欲しいのぉ」と王妃様がポツリ
王様に止められて仕方なく座る。

「さあ、いくわよ〜」と後ろ向きになって
ウンスが投げた。

スポッと腕の中で受け取ったのは…

チェ尚宮だった…

「叔母上!何故並んでいる!」とヨンが
呆れた。
「あら?叔母様だって、独り身よ」

チェ尚宮は、小さく拳を握った。

感動の婚儀が終わり王様、王妃様が、
帰る折り
「真良き婚儀を見せてもろうた。大護軍は明日暇を出す故、ゆっくり過ごすと良い」
ヨンは跪き「はっ!」と礼を言う。

叔母上が、
屋敷の準備は、抜かりない!と言うと、
王様御一行と帰って行った。