二人見つめ合ったまま

暫く時が過ぎる。


堪えきれずポロポロ涙が流れると

優しく抱きしめられた。


「ごめんなさい。遅くなってしまって…私、帰ってきてよかったのかなぁ?」グズグズになって言うと、


「会いたかった。イムジャ…いやウンス!謝るのは俺の方…必ず護る!と約束したのに、貴女を一人にしてしまった。よく戻ってきてくれた。」

抱きしめられた腕に力が入る。


手を引かれ、二人で木の元に座る。


「あの日天門を潜ったらソウルに着いたの。私は病院に走って貴方を助ける為にその辺にある物を詰め込んで急いで天門を潜って戻ろうとしたら…その先は、此処より100年前くらいの所に辿り着いたの」


過去を彷徨っておられるとおもっていたが、100年前とは…


チェ・ヨンは、肩を抱き寄せ

「戦の多い時代だったろうに…いらぬ苦労をさせてしまった。少し痩せたようだが大事ないですか?」と覗き込むように優しく聞く。


「お世話なった元武官だったという年配のご夫婦には返しきれない恩があるわ。敵が襲ってきた時は、穴掘って作った地下室に身を隠し、静かに去るのを待ったわ。だから、襲われる事もなかった。医術は、暫く封印してたけど、二度手術をしたの。でも、それが漏れる事がなかったから、私は薬草の事を学び、奥様に漢字を教わり、夜は、天門の開く日を計算したの。私が其処に居たのは1年だったけど、此処では4年も経っているのね。貴方は、何をしていたの?テジャン?」


ヨンは驚いた。天門とは何という時の過ちをおこすのだ。


「俺は戦ばかりしておりました。北を取り戻し、謀り事を企んだ彼奴とソン・ユも葬りました。貴女が戻りし時、憂いが少ないように貴女の為に戦いました。そして、1年前、叔母上に頼み、貴女を俺の妻として族譜に載せました。これを知っているのは、王様と王妃と叔母上だけです。勝手な事をしてすまない…」


私は、驚きと喜びをかくしきれず、泣きながら

「私で良かったの?大変よ。それでも貴方の力になれたのなら、謝らないで。」


「貴女以外は娶るつもりはない。俺のずっとは一生だと…だからウンス、貴女は俺の妻だ!」


「はい…テジャン…」


「テジャンではなく名前を呼んでくだされ」


「ヨ…ヨン…私の旦那様」


チェ・ヨンは、ふっと笑った。


ああ…この顔を見たかったんだ私は…。