ウチの人が借りてきている本、「サピエンス全史」。(ちょっと今更感はあるかもだけど)興味がある本だったから、読み終わったらわたしも…と思って待ってたんですが。
 
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ウチの人は考え込みながら読むので凄く時間がかかるんですよね。ずいぶんと前から読んでるけど、今はまだ下巻の途中。これ、待ってたらきりがないかな?
 
と、いう事でとりあえず上巻だけ読み進めてしまうことにしました。
 
面白いです。
 
 
本の内容に関しては、興味ある人には自分で読んでもらうとして、わたしの妄想ポイントの話を少しだけ。
 
最初の「認知革命」のところから。ホモ・サピエンスだけが獲得した言語上の特質として、筆者は「虚構を語り共有する能力」を上げています。それが神話などを通じて大人数の協力を可能にしたって。
 
遺伝を通じた生物学的な限界に制限されていたそれ以前の人類や霊長類の集団が何百万年も超えられなかった、最大150程度の個体数をやすやすと超える革命だったって。
 
こうして虚構(物語)を共有することで国家や貨幣経済が成り立っていきます。面白いでしょ。
 
 
わたしが言語学を齧った時に面白いと思った話とちょっと繋がっています。
 
言語の二重分節性の話。人間の言語は様々な音素を組み合わせて無限の単語を生み出せます。
Ted → Ned → bed → bad …第一の分節
 
無限の単語をさらに組み合わせて無限の文を生み出せます。
Ted is bad. → Ted is sad. → Ted was sad. …第二の分節
 
だから何?って思うでしょ。でも、無限の単語を組み合わせて無限の状態を表現できるってこと。Ted was sad.
 
たとえばね、犬が「ウゥ~」って言ってる時は、今「ウゥ~」なんであって、昨日「ウゥ~だった」とか明日「ウゥ~だろう」と言う事は伝えられないの。人間がこの二重に分節した言葉を獲得した時に、現実から離れても、時空を超えて認識を共有することが出来るようになったんだって感じたのね。言葉って凄いよね。
 
 
さらに脱線。わたしの好きな英語の文の形。
 
英語の文の形式で、S V that 完全な文. って言うのがあったでしょ。「thatは接続詞だから、後ろには完全な文が入るんですよ~」って習ったやつ。
 
このVには大きく2種類があって、「発話動詞」say, sugest, etc.(大意 ~と言った) と「思考動詞」think, believe, know, etc. (大意 ~と考えた) に分けられます。その中に「完全な文=一つの完全な世界」を入れることが出来るんでしょ。
 
まさに「完全な世界」を「話したり、考えたり」できる言葉の可能性を体現している感じで、言葉って凄いなぁって実感できるから、この文の形が好きです。
 
 
本の中では、虚構・物語の共有を通じて国家や株式会社や差別が生み出されていくさまが描かれていて、今はちょっと陰鬱なところに差し掛かってます。
 
でも、わたしはこうして物語を共有していくうちに、より多くの人が納得できる、より自分の良さを発揮できる物語が紡がれるはずだし、その物語は今よりもきっと美しい物語になるはずだって信じています。