ハノイとその周辺-郊外の村訪問(その1)
帰国のする日には正午までにホテルをチェックアウトする事になっているが、飛行機の出発時刻は深夜の零時半で、その間の時間潰しを考えねばならなかった。ところが見るべきものは見終ってしまっていて、アイデアが浮かばない。前日に、ハインさんに何か提案がないか問いかけてみた。ハインさんと言うのはハロン湾クルージング、バッチャン陶芸村及びタムコックを案内して貰った若い独身女性のガイドさんである。ハインさんからは、『明日は私の仕事の予定が入っていないので、私の家に招待したいと思いますが如何でしょう。ホテルからタクシーで40分位です。田舎の村を見るのも面白いかも知れません。』との思い掛けない提案。有難くご厚意に甘える事にした。
当日10時にチェックアウトを済ませ、ハインさんと共にタクシーで出発した。中心街から西に向かって走り、ほぼ40分でハインさんの住む村に着いた。一帯は田園地帯でその中心部に村落がある。その日は週に一度の市場が開催される日だとの事で先ずその場所に案内して貰う。いろんな露店が並んでいる。野菜、果物、菓子、魚介類、竹細工、金物、衣類、鶏、アヒル、雑貨等々日常生活に要りそうなものは網羅されている。ペット用の猫や犬まで売られていた。 その後、ハインさんの家に案内して貰う。先ず、最近まで住んでいた旧宅を拝見した後、最近建築された現在の住まいに案内された。4階建ての鉄筋コンクリートの立派な邸宅である。床はタイル張りで天井が高く、夏向きの家と言う印象であった。お宅に荷物を置いて周辺を案内して貰った。お宅の前の土の道に沿って小川が流れ、その向こうは一面の田んぼと畑。小川では背中に電池を背負った青年が両手に持った電極棒を小川に差し入れて電撃ショックを与えて小魚を捕っている。久し振りに土の道を踏みしめながら暫く歩くと門に宝福寺と記されたお寺に着く。外見は古寺だが中に入ると綺麗な仏像が何体も安置され、果物や花が沢山供えられている。昔は村の大事な相談事は寺の境内で行われたそうだ。壁に「南無阿弥陀仏」の名号が掲げられていたのでハインさんにベトナム語で読んで貰うと、「ナモアミダファッ」と聞こえ、日本語とそれほど変わらないのに驚いた。なお、寺には小さな教室のような場所があり、村の身寄りのない子供を預かって教育しながら育てているとの事だった。社会保障制度が未だ未整備のベトナムでは、寺が保護施設の機能を果たしているのかも知れないと感じた。

