入学生にとって、卯月は生涯に渡る夢の序章

音楽プロデューサーのつんく♂氏が昨年度まで監修、母校近畿大学(大阪府)の入学式



2015年度は前年に癌再発公表後、初めて公の場に姿を見せ、新入生約7,000人へ祝辞

式の終盤で大声援に包まれる中、左手を挙げて登壇

メッセージは、大型スクリーンの活字を通す

「なぜ、私は声を出して祝辞を読み上げられない…それは、声帯を取ったからです」

「昨年から喉の治療に専念する中で、結果的に癌が治りきらず、摘出するより他なかったので、声を捨て、生きる道を選びました」

赤裸々に胸中を表す大先輩の衝撃告白、新入生もスクリーンの一字一句に目を凝らす

「"ああ、この大学を巣立って良かったな。こんな私がお役に立てるなら、精一杯頑張ろう!"そう心に思いました。昨年末から大学と何度もメールでやり取りし、スタッフからの伝言を繰り返しつつ、この日を迎えました」

「私も声を失って歩き始めたばかりの1回生。皆さんと一緒です。こんな私だから出来る事。こんな私にしか出来ない事。そんな全てを考えながら生きていこうと思います」

「皆さんもあなただから出来る事。あなたにしか出来ない事。それを追求すれば、学歴でもなく、成績でもなく、あなたの代わりは無理なんだ、という人生が待っていると思います」

「私も皆さんに負けないように、新しい人生を送っていきます!」と締め括り、最後の校歌斉唱は、ギターを携えて伴奏にも参加した


 

 

 

1992年に人気ビジュアルロックバンドシャ乱Qのボーカルとしてメジャーデビュー以降、シングルベッドやズルい女などを大ヒットさせる傍ら、ソロ活動やモーニング娘。を始めとする数多くのアーティストに楽曲提供

2014年春に喉頭癌を公表後、芸能活動を休止

式典のプロデュース準備を進めていたが、当日は出席を諦めて一度は症状回復も再発

モーニング娘。OGで初代リーダーの中澤裕子さんは、「今回の発表はショックな気持ちが隠せないのが、今の正直な思いです。つんく♂さんが今まで私や、私達仲間に愛を込めて作って下さった楽曲をこれからも一曲一曲、大切に歌い続けていきたいです」

独自の恋愛観やポジティブなメッセージを反映する著作、名曲パワーソング(シャ乱Q)

虹がかかった 一人になった
どんなに泣いても俺は俺だった

恋の途中で ウソをついたら
知らぬ間に人傷つけると知った

あんなに誓った 二人の未来
だけど全ては 昨日までの事

誰もが孤独とわかっていながら
気付かぬフリして歩いているんだ

ゴメンよゴメンよ なぜ かなしいんだろう
止めたりしないよ仕方がないだろう
終っちまった

 

 

澄んだ歌声を聴けないのは寂しい限りだが、ミュージシャンの生命線を断ってでも、"生きる"という果敢な決断は、世の中で様々な障害や葛藤に喘ぐ人々にとっては一筋の希望

 

今後も体調面に顧慮しつつ、煌めく楽曲制作を…