「糸引きマフィン」が、よろしくない話題ですね。

周辺のSNS投稿など読んでいますと、ああいう「イベント」で売っている食べものはそもそもがダメだ、とか、それを言うのなら衛生観念ゼロの焼きそばやタコ焼き屋台を何度もみた、というものもあって、そう言えばああいうのって、お金を受け渡しした手でそのまま調理しているよな、などと思います。

まあ、お祭りフードについては、オナカをこわした、程度のことでは表面化していないだけなのではないか、という感じもしますね。

 



そこで思い出すのは、私が追いかけていたパティシエール、移動販売のケーキ屋さんです。彼女は実は、横浜市が初めて許可を出した「洋生菓子の移動販売業」なのです。彼女によると、保健所の担当者さんが、ダメ、ありきの人ではなくて、基準をちゃんとクリアできるのであればやりましょう、というタイプの人だったので認可をもらえた、とのことでした。

いわく、工房と、外の世界とは、2枚以上の扉でへだてられないとならない、工房とお手洗いの間には壁がなくてはならない、移動販売車の冷蔵庫には一定温度以下を維持する能力がなくてはならない、移動販売時には、販売車の下にシートを敷かなくてはならない、と言ったことを次々に言われて、それをマンションの室内にもうひとつの部屋を作るようなカタチでクリアしたのだそうです。

話を聞いていた当時には、どうせ保健所のアリバイ作り、あるいは嫌がらせをしてやめさせようていどの意識なのではないか、などと感じていたのですが。

この事件をまのあたりにすると、食品衛生とは、これくらいにしておかないと、このように大きな事故が起きるのだ、ということですね。

あのマフィンは焼いてから数日間も室温で放置されていたとされており、さらに砂糖は類似製品の半分、無添加を標榜していたのだそうです。私のパティシエールは高級洋菓子店グレードの砂糖をふんだんに使っており、その上で先に書いたような衛生基準をクリアしていました。それほどきびしくあるべきものだったのですね。

※砂糖は一種の保存料です。ジャムを考えるとよくわかりますね。

もう各地の秋祭りは終わってしまったことでしょうが、この先クリスマスから年末年始です。こういうことって、連鎖して起こるものだし、一部の不心得な洋菓子店では、ケーキのスポンジを使い回すというようなことが行われていると聞きます。

何事も起こらないとよいのですが。今は室温が保たれているので、寒いから食べものは傷みにくい、というのは迷信なのだそうです。