- 戦略をしっかり勉強したく体系だった本書を手にとる。タイトルや表紙がナイスです。
戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック (Best solution)/ヘンリー ミンツバーグ
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総合解説書らしく、戦略というものを歴史を追って各種文献を次々に紹介していく。そして、それぞれのスクールは場面・状況によって当てはめるのだという結論となる。
P7『われわれはこれを飼い慣らそうととしたのではなく、もっと仲良くしようと考えたのだ』
途中の心理学や政治論は難解であり何を言っているかよくわからないところも多数あり。アカデミック爆発な内容であり、決して実践的な内容ではない。カバーする範囲は経済学から軍事、政治、心理、社会学、生物学、人類学、歴史学と膨大だ。しかし、戦略形成という獣をさまざまな側面から見たときにはそれぞれ一つの部位であるという著者の見解には賛成する。つまり、タイトルどおり本書は戦略の「サファリーパーク」ということだ。読んで改めて納得する。
デザイン・スクール
戦略の最もベーシックなSWOT分析を中心とした理論。戦略分野を確立したものであり、すべての戦略のルーツとなるもの。欠点としては、ある特定の時期を切り取った静的な分析となるため、実行にあたっては情報が揃っており比較的安定しているか予測可能な状況であること。
【場面】組織を新しく立ち上げる時。環境が変化し戦略の変更が迫られかつ外部環境が安定しつつある時。
プランニング・スクール
目標・予算・実行計画をブレークダウンして策定そのものをスケジュール化して実行する。良い点は成長期の企業にとって管理の土台となるものを提供すること。しかし、戦略の中身を考えずにパフォーマンスをコントロールするだけの「数字のゲーム」になりがちである。
【場面】安定して成長している時。
ポジショニング・スクール
ポーターを代表とする競争環境を分析して他社と違うポジションを取ることを最重視した理論。功績としては誰もが納得でき、また再現できる分析構造をたくさん確立した点。罪悪としては、戦略=分析としてしまい、また外部環境を起点としているため企業の能力や発想から事業拡大することや市場創造される点を軽視している点。
【場面】安定しているか成熟した業界であり構造化や定量分析が可能である時。
アントレプレナー・スクール
一人のリーダーの頭の中の直観や洞察により戦略が生まれることに注目して、計画的ではなく偶発的に起こることを重視した。そのコアとなるものはカリスマと呼ばれるリーダーシップと、優れたビジョンとなる。
【場面】創業時や困難な時期の方向転換時。
コグニティブ・スクール
戦略家の心から戦略が生まれることに注目した理論。環境や企業能力の捉え方に個人個人のバイアスがあることを克服して、その一方で、客観的な現象から戦略家独自の解釈で意味のあるつながりを見出して戦略を創り出す。しかし、学問的にはまだ発展途上であり、どうしたら再現できるかまでには達していない。
【場面】いつでも。現在や過去の競争優位や組織カルチャーを見直して再構想を練る時?
ラーニングスクール
戦略は経営者やスタッフがあらかじめ決めるのものではなく、現場のマネージャーたちが実務の中で「見つけ」てパターンとして「創発的」に形成されるものとする。また個人ではなく集団による形成を重視する。行き過ぎると「無目的」を賞讃することになる恐れがある。偶然に頼るだけということだ。また、間違っている時の方向修正も取りづらい。
【場面】環境がダイナミックで予測不可能な時。完璧な戦略が出来上がるのを待たずに個々のステップで少しずつでも進展させていくからである。
パワースクール
すなわち政治。組織の外的・内的に存在するが、外的環境に対してがわかりやすい。企業のおかれた環境を所与のものとしないで、組織の能力に適合するように、変える試みをするのである。具体的には政府へのロビー活動やアライアンスなどの提携による業界の寡占的支配だ。特徴としてはあらかじめ計画された意図的なものではなく、創発的なものであり、戦略というよりも策略に近い。
【場面】いつでも。
カルチャースクール
パワーが自己の利益に焦点を絞るのに対して、カルチャーは共通の利益に的を絞る。集合的な知覚であり、資源と呼ばれるものをかたづくる。特徴としては、これまで歩んできた歴史に根差し、確立するとなかなか変えずらい。資源ベース理論はこれを競争優位の源泉として扱うが、ポジショニングの外から内に対して、内から外へと言える。
【場面】確立した大企業で戦略を強化したい時。また停滞期に入った時に変化に抵抗するものとして焦点が当たる。
エンバイロメントスクール
環境>組織の立場を取り、環境をその戦略形成でもっとも重要なものとみなす。ダーウィンの進化論と同様に、企業は環境に生存を左右されるという前提で、戦略家が利用できる意思決定の範囲がどの程度か制約を示す。
【場面】成熟期や衰退期に何ができるかを示す。
コンフィギュレーションスクール
今までのスクールはそれぞれが「最もふさわしい時」と「最もふさわしい場所」があるという考えのもと、各場面を変える変革のマネージこそが最も大事であると捉えてその手法を提示する。
【場面】すべての場面。安定の時はどこにいるかを、変革の時はその手法や次の行き先を提示する。
後半はさっぱりだったがたぶん数年後に見返したらもう少し理解が深まっているはずだと思うことにしよう。
★★★☆☆ (2009年6月下旬~8月第2週)