ブルックリンの片隅で | MusiCinemania by Uzo★mUzo

ブルックリンの片隅で



パソコン2018/06/01 Netflix

原題:Beach Rats

監督・脚本 エリザ・ヒットマン
音楽 ニコラス・レオン

出演 ハリス・ディキンソン、マデリーン・ウェインスタイン、
ケイト・ホッジ、ニール・ハフ、Nicole Flyus、
Frank Hakaj、David Ivanov、Anton Selyaninov、
Harrison Sheehan、Douglas Everett Davis、
Erik Potempa

(あらすじ)

フランキー(ハリス)は無職の19歳。
密かにゲイチャットをしている。

同じような無職の友達(Frank、David、Anton)らとツルんで
葉っぱや薬をキメているフランキー。

コニーアイランドで
シモーネ(マデリーン)に
逆ナンされた彼は、
彼女を自宅に招き、
セックスに誘われるも
そっ気なく断った。

父は末期がんで入院治療中で、
母・ドナ(ケイト)と
妹・カーラ(Nicole)と住んでいる。

彼はチャットの男と会って
青姦をする。

朝帰りした理由を問う母に
恋人の存在を明かすフランキー。

吹っ切れた彼はシモーネに謝罪、
家庭の事情を話して
デートに誘い、交際が始まる。

今度はチャットで
ジョー(ニール)と会ったフランキー。
モーテルでセックスする。
「なぜ年上が好みなのか?」と聞かれ
「交際範囲が被らないから」と答えるフランキー。

だが友達やシモーネと出かけた
船上パーティーで
バーテンをするジョーと再会してしまい、狼狽する。
シモーネをほったらかして一人抜け出し、
男と青姦するフランキー。

シモーネからは別れを告げられ、
父は亡くなってしまった。

葉っぱが切れたフランキーは
チャットで知り会ったジェレミー(Harrison)から得ようとするが、
会いに行く途中で友達たちと出くわしてしまった。

そこでフランキーは
皆でゲイのふりをして
ジェレミーと葉っぱを吸おうと提案するが、
事態は思わぬ方向に向かってしまう…

(感想)

あんまりな原題がいい(笑)

ブルックリンだけでなく、
日本でも
自分が何者か?ということを
鬱屈した心と生活環境の下で
考えている若者は多いような昨今。

社会がアイデンティティというものを
唱えるようになってから、
それまでやり過ごしていたことに
異議を感じるようになった人が増え、
メンヘラが繁殖していった気がする。
そのこだわりの一つがセクシャリティ。

ゲイの生態をしっかり描いてるが、
女性による監督・脚本で、
日本の女性映画監督の力量とは
圧倒的に違うことがわかる。

セクシャリティだけでなく、
そんな漠然とした不安を抱えている人や、
愛情と肉欲の違いや、
愛するということがわからない人が観たら
感じ入るものがあるであろう作品。

チャットで出会った男とその時限りの関係を持つ、
互いにそれ以上のことは望んでいない。
そんなゲイの有り様に
異性愛と同じような権利を認めることが
果たして本当に彼らが望んでいることなのだろうか?という事も
浮き彫りになってくるし、
自分のセクシャリティを告白して
気持ちが楽になるのは
有名人と権力者だけのような気がする社会は
これから変わって行くのだろうか?と感じたりもした。

フランキーはゲイなのだろうか?
父が死に行く淋しさを
年上の男と交わることで
癒そうとしていたのだろうか?
てっとり早く現実逃避出来る場所として
チャットしていたのだろうか?
全部のような気がする。

ジョーとのセックスは
青姦だった男と違ってモーテルの一室でのこと。
その場限りの関係でも
ニュアンスが変わる。
フランキーの表情には素直さと安らぎがある。
彼は肉欲以上のものを彼に感じたのだと思う。
ゆえに知人たちの前で偶然ジョーに出くわすと、
そんな自分の密かな有り様を認められず、狼狽して、
また青姦してしまう。

母親にも告白出来ず、
友達たちは自分が思いもしなかった行動に出てしまい、
結局、彼は自分自身の確立や
心の拠り所がないままに映画が終わる。
フランキーは
静かな絶望を抱えたまま
時を過ごしていくのだろう。
リアリティのある結末だった。

主人公を演じるハリスが
たゆたうような気持ちを微妙な佇まいで表現し、とてもうまい。

観終わって淋しい気持ちになるが
人生の一部分を丁寧に切り取って描いた
良く出来た映画だと思った。

パソコンオフィシャル・サイト



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