『葛城事件』

2016/06/18

2017/01/11

監督・脚本　赤堀雅秋
音楽　窪田ミナ

出演　三浦友和、若葉竜也、田中麗奈、
南果歩、新井浩文、内田慈、大方斐紗子、
黒田大輔

（感想）

赤堀監督の前作　

その夜の侍　も観たけど、
この人の映画ってよく出来ているんだけど、
内容的にもう一回観たいとは思えない。
とってもどんよりするから。

これもそうだった。
あまりに痛くて、身につまされるところもあって。
本当に完成度が高い。
高いゆえにどんよりする。

この映画の特徴は「食事」。
食べることは生きることに不可欠なわけだが、
毎度おいしく食べているように見えない。
それがこの家族の様子を象徴している。

清の生活圏の狭さに
保が気がつくシーンも秀逸。

稔の凶行シーンでも
通りすがりの人間の様とか唸る。

そういう見せ方が本当にうまい。

年代によって、感想が違うと思う。
自分らの年代だと、
ギリ清みたいな父親が普通だっていう人が多いと思う。
共通点があったりね。
伸子みたいな、
主体性があるんだかないんだかっていう母親も
少なくなかったと思う。
長男の自分には保的な面もあったし、
下の弟妹には稔的な面もある。
だから観ていて怖かった。
俳優陣が皆好演。

清が、子供たちの成長に合わせて育てようとして
庭に植えたみかんの木。
彼はその木で首を吊って自殺をしようとする。
だが枝が折れて失敗に終わり、
家に戻ってまた1人で食事をする。
これが赤堀作品らしい。
それでも生きていくのだ。