2025 1/19(日)
北海道1人旅3日目
今朝も温泉で目覚めスッキリ♪
これはもう滞在時のルーティンと化している。
昨日よりはゆったりめの9時半に出発する。
今日(1/19)と明日(1/20)がいよいよ帯広エリアの観光となる。
それを潤滑に、またお得にできる魔法のアイテムを手に入れるためまずは駅前バスターミナルに向かった。

それがこのビジット トカチ パス
これは帯広とその近郊を走る路線バスの2日間乗り放題チケットなのだ。
(1日券と2日券と2種類ある)
路線バスの十勝バスと拓殖バスの2社乗ることができて価格は3000円
これから行こうとするところは片道1時間50分も移動する。それだけで1700円以上掛かるからあっという間に元が取れて通常運賃払うより断然安い!
もう買わない手はないだろ。
チケットを手に入れたら出発だ!
今日の目的地は「大樹町」
帯広よりおよそ60km南に位置する町だ。
10:05分
帯広駅バスターミナル発の広尾行きバスに乗る。
途中で有名観光スポット
「愛国駅」と「幸福駅」がある。
2つの駅は旧国鉄広尾線で結ばれており、その縁起の良い名前から「幸福ゆき」切符が人気だそう。その駅舎は廃線まで活躍した2つの車両とともに保存されて「鉄道公園」として親しまれている。
本当は行きたかったんだけど、そのような「恋人(恋愛)の聖地」になる場所は恐らく若い女の子たちで賑わうのだろう。
実際、同じバスに乗車していた女性がその最寄りのバス停で降りてゆく姿を見た。その手から観光の案内らしき資料を持っているのが見えたから間違いない。
中年に差し掛かる私そんな男のひとり旅には近寄りがたさがあってその一歩が踏み出せなかった。
何が「旅の恥はかき捨て」だ私よ。
そんなことではまだまだ修行が足りんようだな。
真のその域に達した時リベンジしようと思う。
「私の本命は大樹町なのだ!」とその時はそう自身に言い聞かせて、涙を呑む思いでバス停を通り過ぎるのを待つのだった。

11:50
道の駅大樹 コスモール バス停到着。
ふぅ長旅だった〜。
中に入り観光など情報収集する。
稚内でのおっちゃんは「何もない」そんな田舎の長閑さが良いと言っていたが名所は色々ある。
・宇宙開発(航空、宇宙分野の実験や研究の積極的誘致をしている。JAXAなど)
・晩成温泉(珍しいヨード泉の温泉)
・清流の歴舟川(かつてゴールドラッシュにわくほど砂金が採れた綺麗な川)
・旭浜のトーチカ郡(太平洋戦争末期にコンクリートで造られた防御陣地)
・ナウマンゾウ骨格の発掘(これは大樹町の隣だけど)
・晩成社の跡(十勝開拓者の依田勉三の縁)
さっと思い起こせるだけでこんなに興味深い名所ある。
おっちゃんだって最初は「何もないのがいい」なんて言いながらも名所や美味しいお店をいくつも教えてくれたし、他とは違う良さがあるのだろう。
恐らく本当に伝えたかったのは
「ご飯が美味しくて見所も沢山ある。でも長閑で良い場所なんだよ。」ってことだと思う。
良い具合に酔ってるから言葉足らずのアピールになっちゃってたけどそのニュアンスを感じていた。
しかし私は冬に来たことを少し後悔した。
というのも、移動の足を交通機関に頼っているためにそれらの通る主要なエリアしか見て回れない。
本来ならばレンタカーを借りて各地観光したいところだが、余り雪が降らない九州に住む私にとって雪国での車の運転には不安が大きすぎる。
したがってこれまでの北海道旅は全て交通機関に頼ってきた。
さらに見所は沢山あれど街の主要部から離れたものが多いから残念ながら大半を諦めなくてはいけない状況にある。
雪に覆われた白銀の世界が見たくて冬の北海道旅を始めたんだけど、いつか初夏や秋みたいに雪のない
季節にレンタカーを借りて周りたいと思う。
それに大樹町で一番気になっていた晩成温泉。そもそも場所がちょっと離れていることもあるんだけど非常に残念なことに改装のため2月まで休業していてタイミングの悪さも相まったりした。
でも前向きに捉えると次に来るための理由になる!そう楽しみにとっておけばいいのさ。
じゃあ今からはどうする?
と向かうバスの中でずっと考えていた。
それで閃いたのがおっちゃんの言う
「何もないのが良い」
をヒントに街ブラ的に歩いて田舎の空気を味わうことに専念してみてはどうか?と。
そこで行動計画が立ち上がった。
大樹町から帯広に戻る方向8.5km先にある幕別町まで歩く。(町内の施設「忠類ナウマン象記念館」まで)
という限りなくシンプルな内容だ。
つまりはバスで来た道(一部だけど)を歩いて戻ることでゆっくり景色を堪能しようということ。
その目的地にある施設もおっちゃんに教えてもらったスポットであり、帯広に帰るためのバス停もあるから安心だ。
最近はすっかり疎かになってしまったがウォーキングで脚は鍛えられたつもりだから苦にはならないと思う。
さぁ
およそ1時間50分の徒歩旅がここに始まる!
とその前に
時間は正午!ちょうどいいお昼時に来たもんだ。
旅は腹ごしらえをしなければ始まらんだろう。
私が現在いる道の駅の向かい側に赤い暖簾が目に入る。そこには「龍月」と店名が記されていた。
「あ、その店は稚内のおっちゃんに教えてもらった店!」
ちょうど私もそれにしようかなと思っていたんだ!
Googleマップで探すつもりがすんなり見つかって手間が省けた。

ラーメン屋さんなんだけどメニューに帯広名物の豚丼もある。
迷うことなく豚丼を注文!
旅3日目にしてやっと帯広グルメを食べる。
セコマにお世話になりっぱなしだったからな。

飯と肉。
シンプルな組み合わせながら見た目のインパクト抜群!
そもそも
豚丼の発祥の由来とは、、、
明治末期から十勝地方で養豚業が盛んになったことで豚肉が食べ親しまれてきた。昭和初期になって農家や開拓者たちのスタミナ食として帯広の食堂で作られたのが発祥らしい。"スタミナ"の代名詞といえばウナギだが高価で手に入りにくいため、そこで日常的に食べられている豚に目をつけ誕生した。
要は鰻の蒲焼きならぬ豚の蒲焼き丼ってことだ。
醤油の甘辛いタレが食欲をそそる〜!
肉と飯のシンプルな組み合わせが "見てくれ" の潔さがあって良い。
肉一切れが大きくカットされているから抜群の食べ応え♪そしてタレが染み込んだご飯を口いっぱいに頬張れば最高の満足感が得られる!
確かに農業などの肉体労働で疲れた体にはこの甘じょっぱさが効きそうだよな。
ご当地グルメとして人気があるのは納得な美味しさだ♪その労働者メシという始まりがまさにソウルフード感があって好き!
食べている間
お店のお客さんの様子になんとなく意識向けていると、ラーメン屋さんということもあるからかラーメンの注文ばかりが目立っていた。
私はここに至ってはマイナーな注文をしてしまったのかもしれない?でもいいか。食いたいものを食うのがいいし、それにおっちゃんのオススメは確かにこの店のこの豚丼だった。

店を出るときにお会計してくれたお姉さんに「この辺に徒歩で行ける観光スポットとかありますか?」と訊ねてみた。
「あー、、んー特にないですね田舎だから(苦笑)」
おぉちょっと気まずい空気になってしまったぞ。
「観光で道外から来ているんですが知人に大樹が良いところだと教えてもらったんです」そして「ありがとうございました」と挨拶して店を後にした。
ここからが徒歩旅の本番!
長い道のりを歩き始めた。
そして最初に出会したのが「歴舟川」
まぁ来る時にバスで通ったけどね。
上記で軽く触れているが歴舟川からは砂金が取れてかつてはゴールドラッシュに沸いたほどだった。
さっきの道の駅から持ってきた大樹町の観光案内ビラのひとつに詳しくそう書いてあった。
橋の中腹で立ち止まり川の景色に目を向けて街の歴史に触れていった。
それから
町役場付近を通過しようとしたところで道路の反対に大樹神社があることに気づく。

ちょっと寄ってみようかな。

参道の脇になんかある?
「さざれ石」?
国歌に出てくるあれのことなのか!
さざれ石は漢字で細石と書く。学術的には小さい石の集まった岩石のことらしい。
そしてこの神社に奉納されているさざれ石とは現在の天皇陛下が即位されたことによる元号「令和」への改元を祝ってのものらしい。
国歌の一節「さざれ石の巌となりて」とは、
その小さな石の集まりを人や国に例えて末永い繁栄を願う意味が込められているそう。
へぇ〜今日も勉強になることばかりだなぁ。
15分の滞在の後に再び歩き出す。
ここが街の境界線
いよいよなーんにもないThe田舎道に出た。
楽しみだ♪
誰も歩いていない!
しまいにゃ歩道すらない場面もしばしば。
ここを徒歩移動する人なんてほとんどいないんだろう。その証拠に歩道の溶け残る雪は誰の足跡もない。
そして私の横を走る車は大きく避けて通り過ぎてゆく。その瞬間のドライバーたちは「なんだコイツ?こんなとこ歩いてどこ行くんだよ」って不思議そうな顔をしている(ように感じた)。車が来るたび視線を感じてからだいたい目が合う。

途中脇にそれて見た景色
おーこれぞ「北海道」!
こういうのが見たかったのだ。
このような景色が延々と続く。

ついに大樹町に別れを告げて幕別町に突入。
そして8.5キロ制覇!
ダイエットのためにウォーキングを日課としていたから長距離を歩くのには自信があったけどやっぱ遠かった〜。笑
しかも途中から雪がしんしんと降り始めちゃって過酷さに拍車をかけられた。
でも、楽しかった!
「歩こう♪歩こう♪私は元気〜歩くの大好き〜どんどん歩こう♪」
歌の脳内再生を何度したことか。

さてさて、着いたのは
「忠類ナウマン象記念館」
現在の幕別町(旧忠類村)で道路工事の最中に1人のアルバイトがツルハシを振り下ろしたところ偶然にナウマン象の骨に当たったことがきっかけで発見された。
日本で初めてナウマン象の全身骨格標本の復元に成功した場所らしい。
その発見を記念して建てられた博物館だ。
敷地を含めたこの博物館は上から見るとナウマン象のような形に設計されていて第一回北海道建築賞を受賞している。
敷地の入り口を正面にしたその右側には大小2体のナウマン象親子の像が設置されている。
なんだか楽しそうな雰囲気♪冬だから羽織りものがかけられていてより可愛らしく見える。

こんな風に仲良く歩いていたのかな?

中に入ると、大きな骨格標本(模造品)が中心に鎮座している。
北海道の博物館や資料館あるある「熊の剥製」のお姿も。笑
そして
それを囲うように資料が並べてありナウマンゾウについて学べる。
資料をスマホで撮りまくり後からじっくり読み漁りたいと思う。

息絶え、肉が朽ち、土に帰る
残るのは骨のみ
何年、何十年、何百年、何千年と眠っている。
そんな様子をイメージされた風景。
息絶えて忘れさられるようにその地でひっそりと長い年月眠り続けてきた。
そんな姿を想像するとなんだか少し寂しい気持ちになった。
遠い昔のナウマン象の物語に想いを馳せたところで施設を出た。

隣には道の駅とホテルがある。
帰りのバスが来るまでまだ90分はある。その
待ち時間を利用して道の駅でお土産を物色し、ホテルにある「ナウマン温泉」の立ち寄り湯でのんびりと疲れを癒すことにした♪
露天風呂に行くと
雪がさっきよりも激しさを増して降っている。
その寒さに耳と鼻を冷たくしながらも身体の芯は温泉でポカポカになった♪
そのまましばらくの間降り続く雪空を見ているのであった。
しっかり温まって湯上がりに食べるセブンティーンアイス!
ポカポカからのクールダウン♪♪
最高の気分だね。
サウナ用語を拝借するならこれぞまさに「整った〜」そんな瞬間だった♪
バスの時間が近くなってきたから外に出たらまだ16:30だってのにもう暗くなりはじめていた。
その時間は九州ではあり得ん暗さだ。
1時間半バスに揺られながら帯広に帰り着いた。
そして
今晩の夕食は、、、またまたセコマ
またまたカツ丼!1人旅ならこれでいいのだ!これがいいのだ!
今日を振り返る。
大樹町行って良かった。
十勝開拓から戦争遺跡などの近代に至るまでの歴史、土地の財産(砂金)や生き物の歩み(ナウマン象)そしてこれからの未来に向けての取り組み(宇宙開発)まで。
昔と今を繋ぐ歴史を知れる名所が沢山あって魅力的な町なんだと知れた。
今回は自身の目では観れないものが多かったけどそれは次の楽しみとして。田舎道を歩くのも非常に有意義で楽しかった。いつかまた行こう!
脚はパンパンに疲れて泥のように眠りについた私であった。
続く