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【国賠法4】「1955年、最高裁判所判例」は「さまよえる亡霊」、否定する最高裁小法廷判決等が複数ある
2023.1.10ー2023.1.11修正

【はじめに】
(1)別記【国賠法2】に書いたように、国等に損害賠償請求をすると国等の代理人弁護士が「違法な職務行為をした公務員個人は賠償責任を負わない」という主張をする。
~その根拠に昭和30年「1955年、最高裁判所判例」を持ち出す。
「1955年、最高裁判所判例」は、「公務員の違法な職務行為に護符・錦の御旗を与える恥ずべき判例」であり、最高裁大法廷で見直さなければならない
(2)ところが同判例を否定する内容の、最高裁小法廷判決等が複数ある。
~本来こちらを引用して主張すべきだが、国等の代理人弁護士が繰り返し「1955年、最高裁判所判例」を持ち出すために、法曹界では未だに流布して通説・俗説になっている。
国等に損害賠償請求をする代理人弁護士でも、取り扱う事案は限られて、全ての最高裁判例等を知っている訳ではない。
 国等の代理人弁護士の誤った引用・主張に、反論する備えにしてほしい
~そして個別事案の解決に併せて「1955年、最高裁判所判例」の見直しも主張していただきたい
(3)また下記事例のうち、都道府県に係わるものは、地方自治法「住民監査請求」「住民訴訟」を経て、最高裁判決に辿り着いている。国には、この仕組みが無い。
別記【国賠法3】に書いたように、国の財政法・会計法等に「国民監査請求」を作ることを要する。
(別記リンク)
【国賠法2】「1955年、最高裁判所判例」は、「公務員の違法な職務行為に護符・錦の御旗を与える恥ずべき判例」であり、見直さなければならない。
https://ameblo.jp/t1997/entry-12782840058.html
【国賠法3】国の財政法・会計法等に「国民監査請求」を作る。
https://ameblo.jp/t1997/entry-12783443521.html

【1】大分県教員採用試験の不正に、国賠法に言及して、求償権行使を命じた最高裁第三小法廷判決
地方公務員(県教委幹部)に国賠法1条2項の求償権を行使するよう県に命じた
~また県負担額の総額を請求するよう命じた(ただし既補填額は控除)。
~かつ「共同して故意に違法な職務行為を行った」ときは、「関与者が連帯して求償債務を負う」とした。
この判決は「1955年、最高裁判所判例」を死文化している。そして国賠法解釈を明確に示している。
 ただし大法廷で「1955年、判例」を見直し・廃止していないから、残っていて、「さまよえる亡霊」になっている。
(1)最高裁判所判例集
平成31(行ヒ)40、(注:2020年)令和2年7月14日、最高裁判所第三小法廷、求償権行使懈怠違法確認等請求及び共同訴訟参加事件」
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89576
(ア)裁判要旨
「国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国又は公共団体がこれを賠償した場合においては、当該公務員らは、国又は公共団体に対し、連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う。(補足意見がある。)」
(イ)全文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/576/089576_hanrei.pdf
(2)事案の内容
(ア)「違法な職務行為をした公務員個人」
A:教育審議監(義務教育部門を統括)
~平成19年度試験で「不正合格の相当数の依頼を受け」Eに合格させるよう指示した。
~このうちBC夫妻からは、その子を不正合格させる依頼を受け、100万円の賄賂を収受した。
~A自らの他にも、Fを含む「不正合格の相当数の依頼」があることを知りながら、F・Eに不正是正させなかった。
B:小学校教頭
C:小学校教諭(BCは夫妻)
~BC夫妻は、上記不正依頼をした。
D:(第三小法廷判例には出て来ない)係員か?(注:公法上、法的責任を負うのは管理職)
E:義務教育課人事班主幹
各指示を受けて、得点操作して、教育長に不正を含む合否判定の決裁をさせた。
F:義務教育課長
~前記Aの不正依頼の他に「不正合格の相当数の依頼を受け」Eに合格させるよう指示した。
(イ)県による損害賠償金の支払い
~平成19年度試験の不正による不合格者のうち、31名(!)に総額7095万円を支払い和解した。
~平成20年度試験の不正による不合格者のうち、22名(!)に総額1950万円を支払い和解した。
~(引用者補足)大分県では、長年の悪習として不正合格を行っていた模様。本来、公務員は競争試験だが、「縁故採用」が広範にあったのだろう。「教員は世襲」のような悪習。地方の市役所でも、そういう話を聞いたことがある。
~上記のような事情もあるためか?県教委の幹部職員等から4千万円余り、有志等から5百万円の寄付を募る(奉加帳方式?)。別にBC夫妻は5十万円弱、A教育審議監は2百万円弱を負担した模様。
(ウ)原審: 福岡高等裁判所の判決の特徴
「国家賠償法1条1項は代位責任の性質」と言い、「1条2項の求償権」について、「相手方(求償される職員)が複数だと分割債務」と言い、「A・F・Eの職責及び関与の態様」から、「有責度合を、A4割・F3.5割・E2.5割」として「県の求償債権の4割をAが支払うよう命じた」。
この国賠法解釈は、第三小法廷判決「本文」が、「是認できない」と退けた
(3)第三小法廷判決の「本文」(理由4(1))による国賠法解釈
~前段「国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が、その職務を行うについて、共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき、国又は公共団体がこれを賠償した場合においては、当該公務員らは、国又は公共団体に対し、連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負うものと解すべきである。」
~後段「(注:共同して故意に違法な職務行為を行った)当該公務員らは、国又は公共団体に対する関係においても一体を成すものというべきであり、当該他人に対して支払われた損害賠償金に係る求償債務につき、当該公務員らのうち一部の者が無資力等により弁済することができないとしても、国又は公共団体と当該公務員らとの間では、当該公務員らにおいてその危険を負担すべきものとすることが公平の見地から相当であると解される」
(4)第三小法廷判決の「補足意見」による国賠法解釈
~「国家賠償法1条1項の性質については代位責任説と自己責任説が存在する。代位責任説の根拠としては、同法の立案に関与された田中二郎博士が代位責任説を採ったことから、立法者意思は代位責任説であったと結論付けるものがある。しかし、同博士が述べられているように、同法案の立法過程において、ドイツの職務責任( Amtshaftung )制度に範をとって、「公務員に代わって( an Stelle des Beamten )」という文言を用いることが検討されたものの、結局、この点については将来の学説に委ねられたのであり、立法者意思は代位責任説であったとはいえない。」
~また「代位責任説と自己責任説を区別する実益は、加害公務員又は加害行為が特定できない場合(東京地判昭和39年6月19日・下民集15巻6号1438頁、東京地判昭和45年1月28日・下民集21巻1・2号32頁、岡山地津山支判昭和48年4月24日・民集36巻4号542頁)や加害公務員に有責性がない場合(札幌高判昭和53年5月24日・高民集31巻2号231頁)に、代位責任説では国家賠償責任が生じ得ないが自己責任説では生じ得る点に求められていた。しかし、最高裁昭和51年(オ)第1249号同57年4月1日第一小法廷判決・民集36巻4号519頁は、代位責任説か自己責任説かを明示することなく、「国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、加害行為不特定の故をもって国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができないと解するのが相当」であると判示している。」
~さらに「公務員の過失を組織的過失と捉える裁判例(東京高判平成4年12月18日・
高民集45巻3号212頁等)が支配的となっており、個々の公務員の有責性を問題にする必要はないと思われる。したがって、代位責任説、自己責任説は、解釈論上の道具概念としての意義をほとんど失っているといってよい。
 本件においても、代位責任説を採用したからといって、そこから論理的に求償権の性格が実質的に不当利得的な性格を有することとなるものではなく、代位責任説を採っても自己責任説を採っても、本件の公務員らは、連帯して国家賠償法1条2項の規定に基づく求償債務を負うと考えられる。」

( 裁判長裁判官 林 景一、 裁判官 戸倉三郎、 裁判官 宮崎裕子、裁判官 宇賀克也、裁判官 林 道晴)

【2】「加害公務員」「加害行為」を特定できないときに、国賠法1条1項の損害賠償責任の有無の判断基準を示した最高裁第一小法廷判決
~この判決は、国賠法1条1項(国等の賠償責任)に関する判断・考え方であり、1条2項(求償権)の事例ではない。
国の職域健診に関して、国賠法1条1項を適用する当否が争点(小法廷判決は否定)。
(1)最高裁判所判例集
昭和51(行オ)1249、(注:1982年)昭和57年4月1日、最高裁判所第一小法廷、損害賠償」
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54225
(ア)裁判要旨
「一 国又は公共団体に属する一人又は数人の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに故意又は過失による違法行為があつたのでなければ右の被害が生ずることはなかつたであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよ、これによる被害につき専ら国又は当該公共団体が国家賠償法上又は民法上賠償責任を負うべき関係が存在するときは、国又は当該公共団体は、加害行為の不特定の故をもつて右損害賠償責任を免れることはできない。」
「二 (略)国の嘱託に基づいて(略)医師が国家公務員の定期健康診断(略)を行つた場合において、右医師の行つた(略)過誤があつたため受診者が損害を受けても、国は、国家賠償法一条一項又は民法七一五条一項の規定による損害賠償責任を負わない。」
(イ)全文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/225/054225_hanrei.pdf
(2)事案の内容
(ア)原審:広島高等裁判所 岡山支部
~大蔵省R税務署に勤務する職員が定期健康診断を受けたときに「初期の肺結核を示す陰影」があったが指摘されず、翌年の定期健康診断で判明して、その間に病状が悪化した。
~同職員は、「国税庁訓令」に基づく健康診断で、「職員の健康保持上必要な措置」に不備があったと、税務署長(国)に賠償を求めた模様。
~原審は、健診実施から署内報告までの「いずれの者の過失か」確定せず「医師の帰属」に係わらず、国賠法1条1項の損害賠償責任を負うとした。
(イ)この国賠法解釈等を、「法令の解釈適用誤り」「審理不尽・理由不備」だと、第一小法廷判決が、一部破棄・差し戻した
~この判決の中で、「加害公務員」「加害行為」を特定できないときに、国賠法1条1項の損害賠償責任の有無の判断基準を示した。
(3)第一小法廷判決の「本文」(理由2)による国賠法解釈
~前段「国又は公共団体の公務員による一連の職務上の行為の過程において他人に被害を生ぜしめた場合において、それが具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても、右の一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があつたのでなければ右の被害が生ずることはなかつたであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、加害行為不特定の故をもつて国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができないと解するのが相当であり、原審の見解は、右と趣旨を同じくする限りにおいて不当とはいえない。
 しかしながら、この法理が肯定されるのは、それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが国又は同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合に限られ、一部にこれに該当しない行為が含まれている場合には、もとより右の法理は妥当しないのである。」
~後段「(略)レントゲン写真による検診(略)は、医師が専らその専門的技術及び知識経験を用いて行う行為であつて、医師の一般的診断行為と異なるところはないから、特段の事由のない限り、それ自体としては公権力の行使たる性質を有するものではない(略)、
 職員である医師によつて行われたものであれば、(略)民法715条(注:「使用者等の責任」)の損害賠償責任を問疑すべき余地があり(もつとも、多数者に対して集団的に行われるレントゲン検診における若干の過誤をもつて直ちに対象者に対する担当医師の不法行為の成立を認めるべきかどうかには問題があるが、この点は暫く措く。)、(略)一般的法理に基づいて(略)賠償責任を肯定しうる可能性もないではないが、
 仮に(略)保健所への嘱託に基づき訴外岡山県の職員である同保健所勤務の医師によつて行われたものであるとすれば、(略)医師の検診等の行為に不法行為を成立せしめるような違法があつても、そのために上告人(注:税務署長(国))が民法の前記法条による損害賠償責任を負わなければならない理由はないのである。」
~(引用者補足)肺結核は治療薬が普及して急減したため、「初期の肺結核を示す陰影」を見つけるのは結核予防会等の専門医師でないと難しいことがあり、症例に接する機会が少ない一般医師が見逃しても、「業務上過失」とならない。
(注:民法709条、不法行為による損害賠償、故意又は過失・・損害を賠償する責任を負う)
(4)「裁判要旨」「判決本文」の補足
~「国家賠償法又は民法上の損害賠償責任」は、「一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があつたのでなければ、被害が生ずることはなかつたであろうと認められる」こと(因果関係)、「被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在する」こと(帰属関係等)、が要件になる。
~「この法理が肯定されるのは、それらの一連の行為を組成する各行為のいずれもが国又は同一の公共団体の公務員の職務上の行為にあたる場合に限られる」、「一部にこれに該当しない行為が含まれている場合には、もとより右の法理は妥当しない」
上記を満たせば、「具体的にどの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても」「国又は公共団体は、加害行為不特定の故をもつて国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができない」
(5)前記【1】最高裁第三小法廷判決の「補足意見」で本件最高裁判決を引用している
~(6頁前段)「どの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても」「一連の行為のうちのいずれかに行為者の故意又は過失による違法行為があったのでなければ右の被害が生ずることはなかったであろうと認められ、かつ、それがどの行為であるにせよこれによる被害につき行為者の属する国又は公共団体が法律上賠償の責任を負うべき関係が存在するときは、国又は公共団体は、加害行為不特定の故をもって国家賠償法又は民法上の損害賠償責任を免れることができないと解するのが相当であると判示している。」

【3】国賠法1条1項の「公権力の行使」「公務員の職務上の違法行為」を「個々の公務員の過失」でなく「組織的過失」と捉えて判示した高等裁判所判決
~この判決も、国賠法1条1項(国等の賠償責任)に関する判断・考え方であり、1条2項(求償権)の事例ではない。
~予防接種による被害に関して、「加害公務員」「加害行為」を特定しないで、厚生大臣(国の組織の代表)に賠償責任を認めた事案
(1)高等裁判所判例集
昭和59(ネ)1517、(注:1992年)平成4年12月18日、東京高等裁判所 第10民事部、損害賠償請求、同附帯控訴事件」
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail3?id=20241
(ア)裁判要旨
「一 予防接種による死亡又は健康被害に対しては憲法29条3項を根拠とする損失補償請求権は生じない。」(注:29条財産権、3項「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」)
「二 国が予防接種を強制ないし勧奨するに当たり、厚生大臣は接種率を上げることに施策の重点を置き、副反応の問題にそれほど注意を払わず、禁忌に該当する者を識別除外するため適切な予診を行うにはほど遠い体制で予防接種を実施することを許容し、また接種を担当する医師や接種を受ける国民に対し予防接種の副反応や禁忌について周知を図らなかった等判示の事実関係の下においては、厚生大臣には予防接種の禁忌者に予防接種を実施させないための充分な措置をとることを怠った過失がある。」
(イ)全文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/241/020241_hanrei.pdf
(2)事案の内容
(ア)原審:東京地方裁判所
~予防接種による死亡又は健康被害に損害賠償を請求した
~争点
「ポリオ生ワクチン接種とその副反応としての脳炎・脳症との因果関係
「国家賠償請求と、憲法29条3項に基づく損失補償請求を併せて訴訟提起したことの当否
(注:国家賠償法は民事訴訟法、損失補償請求は行政事件訴訟法の当事者訴訟による )
(イ)判決は、前記裁判要旨のように、厚生大臣の過失を認めて、国賠法1条1項に基づく賠償を命じた
~判決理由
(注:民事)訴訟上の因果関係とは一点の疑義も許さない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであると解される(最高裁昭和48年(オ)第517号、同50年10月24日第二小法廷判決)」
「この観点に照らすと、原判決の定立した、因果関係を認めるための4要件は、充分合理性がある。」(引用者注:空間的密接性、時間的密接性、「ワクチン接種のほかに原因となるべきものの考えられないこと」、「副反応の程度が他の原因不明のものよりも質量的に非常に強い」で良いか?)(134頁ー135頁)
「損失補償請求に、関連請求に係る訴えである国家賠償請求を併合して提起したものと認められる。したがって、右併合提起は、行政事件訴訟法16条の要件を具備しており、適法」(補足注記:当初の単純併合を、選択的併合に変更と解される〔すなわち並列的に審判を求めるものから、どちらかの請求が認容されれば、他の請求については審判を求めないというものに変更〕)(137頁ー138頁)
「厚生大臣は、以上のような、禁忌を識別するための充分な措置をとらなかったことの結果として、現場の接種担当者が禁忌識別を誤り禁忌該当者であるのにこれに接種して、本件各事故のような重大な副反応事故が発生することを予見することができたものというべきである。また、前記のとおり、本件被害児らはすべて禁忌該当者と推定されるものであるから、厚生大臣が禁忌を識別するための充分な措置をとり、その結果、接種担当者が禁忌識別を誤らず、禁忌該当者をすべて接種対象者から除外していたとすれば、本件副反応事故の発生を回避することができたものというべきであり、したがって、本件副反応事故という結果の回避可能性もあったものということができる。
 以上のとおりであって、厚生大臣には、禁忌該当者に予防接種を実施させないための充分な措置をとることを怠った過失があるものといわざるを得ず、国は、A5(五六)を除くその余の被害児らに重篤な副反応事故が生じたことに対して、国家賠償法上責任を免れないものというべきである。」(164頁上段)
(3)前記【1】最高裁第三小法廷判決の「補足意見」で本件高裁判決を引用している
~(6頁後段)「公務員の過失を組織的過失と捉える裁判例が支配的となって」「個々の公務員の有責性を問題にする必要はない」「代位責任説,自己責任説は,解釈論上の道具概念としての意義をほとんど失っている」
~(引用者補足)本件高裁判決では、「厚生大臣に過失がある」として、前記【2】最高裁第一小法廷判決の「どの公務員のどのような違法行為によるものであるかを特定することができなくても」のように、国賠法1条1項の「公権力の行使」「公務員の職務上の違法行為」について「加害公務員」「加害行為」を特定していない。


【参考】
裁判例検索
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1
国会会議録検索システム
https://kokkai.ndl.go.jp/#/
日本法令索引(国家賠償法:被改正法令、審議経過)
https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?lawId=0000039326&searchDiv=1&current=1

【関連リンク】
ニュース等各種:「1955年、最高裁判所判例」の「さまよえる亡霊」を呼び戻す国等の答弁
「財務省文書改ざん 佐川氏の賠償責任認めず請求棄却 大阪地裁」(2022.11.25 NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20221125/2000068526.html
「松丸弁護士「これからの焦点は佐川氏個人の責任が生ずるのかどうか、それに尽きてくる」〜2.9 「赤木雅子氏による財務省元理財局長・佐川宣寿氏に対する損害賠償請求訴訟」 口頭弁論後の弁護士による記者会見 2022.2.9」(2022.2.11 IWJ)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501985
「立民 国家公務員に賠償金の負担義務づける法案 国会提出」(2022.6.7 NHK政治マガジン)
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/83862.html
「質問本文情報:国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問主意書」(2022 令和4.5.23 衆議院)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a208069.htm
「衆議院議員階猛君提出国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問に対する答弁書」(2022 令和4.6.3 衆議院へ内閣総理大臣)
「質問主意書:森友問題に関する財務省の公文書改ざん及び国家賠償請求訴訟の終結に関する質問主意書」(2021 令和3.12.21 参議院)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/207/syuh/s207052.htm
「公文書改ざんの遺族賠償、佐川氏に負担求めず 財務相が答弁」(2022.1.25 朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASQ1T7KKXQ1TUTFK00X.html
「赤木さん妻への賠償金、佐川氏は負担なし 「故意ではない」?」(2022.1.25 毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20220125/k00/00m/010/091000c
「森友裁判「認諾」の1億円は誰が負担すべきか 立憲民主党が代表質問で「求償権」迫る」(2022.1.23 日刊ゲンダイ)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/300303

入管でスリランカ人女性死亡、遺族の国賠訴訟初弁論…国は請求棄却を求める」(2022.6.8 読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220608-OYT1T50178/
「入管で死亡のスリランカ人女性裁判 国側が反論し争う考え示す」(2022.7.20 NHK NEWS WEB)
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20220720/3000023776.html
「【独自】入管で死亡したスリランカ人女性ウィシュマさんの裁判 国側は全面的に争う構え 来日した妹「裁判でビデオを全面開示して」」(2022.5.28 TBS NEWS DIG)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/56703?display=1
「ウィシュマさん裁判報告・交流集会レポート」(2022.12.30 CALL4)
https://www.call4.jp/column/?p=1862

【関連ブログ】
【国賠法1】森友裁判「認諾」の1億円は求償権を行使すべきだ
~「1955年、最高裁判所判例」は誤り
https://ameblo.jp/t1997/entry-12724188044.html
【国賠法2】「1955年、最高裁判所判例」は、「公務員の違法な職務行為に護符・錦の御旗を与える恥ずべき判例」であり、見直さなければならない。
https://ameblo.jp/t1997/entry-12782840058.html
【国賠法3】国の財政法・会計法等に「国民監査請求」を作る。
https://ameblo.jp/t1997/entry-12783443521.html
【国賠法4】「1955年、最高裁判所判例」は「さまよえる亡霊」、否定する最高裁小法廷判決等が複数ある
https:// (本稿)
【国賠法5】(注:【国賠法2】の上告等事案の証拠「国会会議録」は、別途【国賠法5】で示す)
https:// (作成中)

【関連ブログ】
「マサカリ投法」羽田空港での逮捕の適否を人権擁護委員会で検証すべきだ 2022.11.13
https://ameblo.jp/t1997/entry-12774651342.html

入管施設内での死亡は「保護責任者遺棄致死罪」に当たる
https://ameblo.jp/t1997/entry-12750580411.html