赤井寅三 セラピー -4ページ目
 新しいデッキシューズを履いて歩いたら、アキレス腱の下に靴ずれを起こしてしまった。
 
 「アンチソックス」でも書いたように私は基本的に裸足が好きだ。でも素足で靴を履くのは苦手なので、足の裏を包むだけのカバーソックスを履いた上でデッキシューズを履いていたのだが、靴下に覆われていない剥き出しの部分が擦れてしまったのだ。家から地下鉄の駅まで歩いて、降りた時にはもうヒリヒリしていた。その日は夕方にも予定があったため、午前の用事が済んだら映画にでも行こうかなと企んでいたのだが、予定を変更して一旦帰宅することにした。とりあえず、靴を取り替えたい!
 
 でも靴を脱いで帰る訳にはいかないので、いかに痛みが軽くすむ歩き方をするかを試してみた。いろいろやってみて、「かかとを付けずにつま先立ちで歩く」のがベストだと気づいた(=「気づき」があった)。
 慣れれば結構楽に歩けるので、駅から自宅までひょこひょことつま先で歩いていると、ハイヒールを履いている気持ちになった。「ああ、女の人はこんな感じなんだー」とまたも気づきがあった。ヒリヒリする痛みは感じずにいられた。わっはっは、どうだ。自分のアイディアの良さを体感できた快感。突如降り掛かった災難を緊急避難できた達成感も悪くなかった。駅から自宅までの10分の道のりをいつもの1.5倍ぐらいかけてひょこひょこつま先立ちで歩いていた。
 
 その時、やっと自分の手に気がついた。足がつま先立ちになっていることに連動しているのか、手のひらも指先がピーンと伸ばしたまま歩いていたのだった。ああ、惜しい!せっかく創意工夫して災難を回避していたのに、この滑稽さは何なのだ!つま先立ちで、しかも手のひらピーンでひょこひょこ歩く40男。…私は今日の自分を、初めて客観視できて唖然とした。アホか、おれは。せめてもの救いは、口がポッカーンとはなっていなかったことだと思う。いや、ちょっと待て、それも自信はない…。
 というわけで、新しい靴はしっかり履き慣れてから使いましょう。
 
 
 
 
 
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 一般的に、うつ病になったらその原因を取り除いてしまうのが一番いい治療法だと言われている。主治医の先生も、私にそれを試みようとした。でも無駄だった。私の発病の原因は、「これ」というものが特定できなかったからだ。
 
 うつ病と診断された2006年の秋、私は34歳だった。バリッバリの働き盛り。家族や親戚、そして親しい友達は皆「仕事が原因なのでは?」と思ったらしい。CM制作の仕事は確かにタフな毎日だったが、私は大好きだった。誇りを感じてもいたし、辛いことの総額よりも楽しいことの総額の方がはるかに大きい仕事だった。だから今でも広告関連の仕事をしているのだ。所属していた会社もしっかりした制作会社で、居心地は悪くなかった。 
 
 では家庭はどうだったかと言うと、これもまたそこそこうまくいっていた(と私は感じていた)。子供たちは慕ってくれているし、当時の妻とは時々喧嘩はするものの、重荷ではなかった(とその時は思っていた)。
 近所付き合いもまあまあ良好だし、借金はマンションのローン以外はなかったし、日本シリーズでは敗れたもののドラゴンズは優勝したし。
 …要するに、うつ病なんかになる原因が見当たらなかったのだ。
 
 主治医の先生は、こう私に告げた。「原因を探そうとすること自体が、ストレスになります。あきらめてください」。
「じゃあ、どうしてぼくはうつ病に罹ってしまったのですか?」と聞くと、先生は「おそらく」と前置きをして、「これまで長い間かかって少しずつ溜まってきたものが、爆発しちゃったのかも知れないですね」と説明してくれた。
 多分、火薬だ。ストレスを感じるごとに少量の火薬が心の中に生じる。それが長い年月の蓄積を経て、何かの拍子に出た、これまた小さな火花が引火して、一気にドーンといってしまったのだろう。ひょっとしたら、最初の火薬は高校受験の辺りから発生していたのかも知れない。
 
 病気を克服できた今は、いろんなことで無理な我慢をしなくなった。前よりもわがままになった分、前よりもずっと楽になった。
 火薬は、溜めない方がいい。もし火薬が生じたら、その都度水をかけてしまうか、いっそ小さく発火させて即座に燃やしてしまうかして、すぐに処理してしまうのが一番だと思う。
 悪いことは小さなうちに芽を摘んでおくべきだ。人生も、政治家の暴走も。
 
 
 
 
 
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 何だかこの頃、私の周りでやたらと「セミナー語」が飛び交っている。一番気になってしょうがないのが、「動詞の名詞化」なる言葉だ。
 
 「昨日はたくさんの気づきがありました!」(A)とか、
 「素晴らしい学びを得ることができました!」(B)とか。
 
 だいたい、なに???「気づき」?「学び」?
 それ単体だけなら別におかしい日本語ではないと思うが、どうにもこうにも私には納得できない言い回しだ。わざと、あえて、そういう言い方をしているとしか思えない。
 
 例えば(A)なら、
「昨日はたくさんのことに気づきました!」
と言えばいいのに。(B)なら、
「素晴らしいことを学べました!」
ならスムーズだ。どうしてわざわざ微妙な変化球を投げたがるのだろう?
 
 おそらくそれは、ある特定のグループやジャンルの中だけで使われる言い回しによる、帰属意識の快感を得ようとしているのではないだろうか。前回書いた「群集心理」にも通じるところがあるかもしれないが、その言葉を使うことによって自分がそのグループに属していることが確認でき安心できる、と感じられることが心地いいのだろう。言ってみれば特定のグループ内でしか用いられない言葉や言い回しを使うことで、自分と他グループとを分けて自己認識しようとしているのではないか。
 
 でも、何のためなんだろう?小さい小さい範囲でしか通用しない専門用語をどうして使いたがるんだろうか?どうして自分の頭で咀嚼した言葉を使わないんだろうか?自分の脳を使わずに何が進歩するんだろう?
 
 小さいと言えば、いちいちレポートされる「セミナーを受けた感想」も、薄っぺらく痛々しいものが多い気がする。
 たかだか「気づき」があって、「学び」があっただけで、涙も流さんばかりに歓喜と感謝の言葉がずらずらずらずらっと並べられるのは、異様な光景だ。セミナーに参加しただけで喜んでいるのはどういうことなんだろう?気づいて学んで、それが活かされた時に初めて喜ぶべきだろう。一体何を目的に「学び」を得ようとしているのか、迷路にはまり込んだ人を見るのは心が痛む。ギャラを手にしたセミナー講師だけが笑っている。
 
 本来、勉強とは自分ひとりですることが基本だと思う。もちろん、同じ志を持った人たちが集まって勉強会を開くのはいいことだと思うが、それは自分でまずある程度考えて壁にぶち当たって悩んで、ということを経験した上でのことであるべきだと思う。
 元々、「気づき」も「学び」もいいことのはずだ。セミナーを受講しようとする人たちは、少なくとも自分がもっと成長できるようにがんばっている人たちだ。向上心に満ちた素敵な人たちだと思う。だから、「気づき」や「学び」を得て喜んでいることだけに留まっているのは、とてももったいないのだ。
 
 
 と、最近妙に心に引っかかっていることを吐き出したら、何だか自分の頭が整理されてきた。
 やっぱり、言葉は大事。自分の頭できちんと考えて、自分の言葉で理解することが一番だ。はっ、これは「気づき」だ!
 
 これからも、最幸に輝く自分になるために、成幸のために、顔晴りますっ!
 なんつって。
 
 
 
 
 
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 テレビをつけたら、甲高い声の社長の会社の通販番組がやっていた。
 
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 今日ご紹介するのはこちら!
 群集心理に負けないメガネ『アイデンティティ』です!
 このメガネ、一見普通のメガネのようですが、かけてみると…、ほら!周囲の空気に流されず本来の自分を維持できるんです!
 
 さて皆さん、群集心理って聞いたことありますか?
 人は、集団の中にいると特殊な心理状態になってしまうんですねえ。自分の社会的地位なんかも忘れてやたらと気が大きくなってしまったり、妙に感情的になって興奮してしまったり、論理的に考えられなくなってしまったりするんです。
 皆さん、身に覚えがあるんじゃないですか?
 え?「私はそんなことにはならない」って?
 いえいえ、誰でもそうは言い切れないんですよ。
 
 例えば、野球場の外野スタンドで鳴りものに合わせて声を揃えて応援する時。あの中に入っている恍惚感ってやめられないんですよね!
 それから、自転車放置禁止の場所に数台自転車が停めてあると、その後そこに停められる自転車がどんどん増えていくことも見たことがないでしょうか?誰もがやっているから叱られないだろう、って思ってしまいますよね?まさに「赤信号みんなで渡れば怖くない」んです!
 
 こういったものは、群集心理が大きく働いて起きるものなんです。意外と身近なものなんですね。
 そこでこの、群集心理に負けないメガネ『アイデンティティ』をかけさせると…、
 …見てください!いつもはうるさい外野スタンドが静かになりました!放置自転車もかなり減りましたねえ!
 周囲の空気に流されない人たちって素敵です!簡単にコントロールできてしまうんですね!
 
 さて、この『アイデンティティ』ですが、ちょっと私、タイムマシンに乗って過去の世界に行って、歴史上の有名な事件の現場で人々に配ってみたんです。そうしたら…。
 ご覧ください!
 幕末にええじゃないかが流行りませんでした!
 学生運動が全国的には広まらず、一部のコアなファンだけの小さなデモで終わりました!連合赤軍事件も起こらなかったんです。
 さらに、米騒動も、ホロコーストも、オイルショックの時のトイレットペーパー買い占めも起こりませんでした!
 もちろん、サッカー日本代表が負けたのに渋谷の交差点で騒いでいたあの集団も現れませんでした!
 いやあ、みんな群集心理が大きく働いていた事件だったんですねえ!
 
 さあ、この群集心理に負けないメガネ『アイデンティティ』。通常価格は1本29,800円ですが、本日は特別に2本でお値段据え置き、2本で、2本で29,800円でご提供させていただきます!

 
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 日本中でこのテレビを見ていた人たちは、その群集心理のコントロールによって操作され、『アイデンティティ』をこぞって2本ずつ購入し、群集心理に負けない国民がわんさか増えてしまった。
 そして街には群集心理に負けないメガネをかけた集団が繰り出し、それぞれが自分の主張だけを繰り返すことになり、ラーメン屋からは行列が消え、SNSに書き込む人がいなくなった。スリや無銭飲食といった小さな犯罪が多数勃発する一方、大人数によるデモ行進などは激減した。国民全体が落ち着いたようにも見えたが、どことなく力のない、味気ない雰囲気が蔓延するようになった。
 
 そんな中、政治家だけは、誰一人このメガネを買わなかった。国会で、都議会で、なるべく大きな会派にいることが生きるよりどころとなっていた人間には、自分たちの群集心理はなくてはならないものだからだ。
 だから今日もどこかの議会では、地べたを這いつくばるような程度の低いヤジが飛び交っているのだ。議員バッヂが胸に着いている以上、周りのみんなが守ってくれる、という群集心理が働いているからだ。
 
 
 
 
 
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 サッカーワールドカップにちなんだテレビ番組がガンガンやっている。私のような4年に一度(オリンピックもあるから2年おきか)の周期的にわかファンもついつい見てしまう。フリーランスになってテレビを観る時間が増えたということもある。本当はテレビなんか観る暇がないぐらいに忙しくしたいのだが、幸か不幸か観る暇がある。まだまだ成長が足らないという事実を目の前に突きつけられたようでハッとする。コーヒーが苦くなる。
 そんな心境にもなってしまうものだから、ゲームだとか対戦国だとかの情報ではなく、選手のこれまでの苦労や人間臭いサブストーリーに反応してしまう自分がいる。「秘話」の類いや「感動路線」の物語などなど…。
 
 ところで、最近はプロ野球の中継の中でもやたらと、選手のプレイに込める想いだとか存在意義だとかを実況するアナウンサーが増えた。例えばこれから打席に入る選手について、

「“高校球児たちは暑い日差しの下で汗をかいている。ドーム球場でゲームができるぼくたちプロの選手は恵まれていると感じます。だからぼくは、全国の野球少年の希望とならなければいけないんです”。〇〇(選手名)は、こう語ります」

とこんな論調で青臭ーいストーリーを滔々と紹介するのだ。これが私は苦手で、実況の音声だけを消すボタンが欲しくなってしまう。コーヒーが不味くなる。
 
 私は、その実況に漂う青臭さが苦手なんだと思っていた。でも本当の所は、青臭さを確信犯的に過剰に演出して自分に酔っている実況アナウンサーの薄っぺらさが嫌いだったのだ。そう気付いたのが、サッカー関連の番組で聞いた、二つの「青臭い」言葉だった。こういう青臭さは好きだ。
 一つは、岡崎慎司選手のお母さんの「積み立てる時期と引き出す時期」との言葉。岡崎選手がサッカーで悩んでいた時期には「今は経験を積み立てる時期だ」と励まし、いい結果が出ると「これまで積み立ててきたものを引き出せたから、この結果が出た。これからももっと積み立てていけばもっと引き出せる」と背中を押した、とのこと。ああ、なるほどな。
 もう一つは、コートジボワール戦の中継の直前に、解説者の岡田武史さんが言っていた言葉。前回のワールドカップから4年経った選手たちの成長について問われ、「成長というものは斜め上に一直線に進むのではなく、横ばいの状態から垂直に上がって、階段のように伸びるもの」。おおお、なるほど。
 青臭い。両方とも青臭い。自己啓発の本を読んでいるようだ。でも私には響いてきた。
 おそらく自分の中でもがいている部分が反応したからだと思う。今の自分はまだ引き出せるものが少ないし、バリッバリに横ばい中だし。ありがとう、青臭い言葉よ!
 
 さて、青臭いの「青」は、サムライブルーに通じる。でも「サムライブルー臭い」というのも変なので、「サムライブルーの薫り」と呼ぶことに決めた。さあ、次は勝って頂戴。
 
 
 
 
 
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