★本日、小説短編集新作の出版販売を開始しました。 | 《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(260作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

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★本日、小説短編集 【87】別れの時はフランソアーズ・アルディ(原稿用紙30枚) の出版販売を開始しました。

8月24(土)と25日(日)の2日間、無料で読めるので、よかったら読んでみてください。

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※絵麻が大好きだった祖母の葬式が終わってから1週間が過ぎようとしていた。祖母が亡くなったのは6月11日だった。亡くなった祖母は3年前に祖父に先立たれていて、子供たちに迷惑を掛けたくないと自分から友人が入居している老人ホームに入居していた。
 
 両親がまだ現役だったこともあり大学生の絵麻は、毎週日曜日には祖母のいる老人ホームに駆けつけていた。この3年間季節ごとのホームで行われていた行事に、絵麻は祖母と一緒に参加していた。お花見、夏祭りと、絵麻は祖母と一緒に楽しい時間を過ごしてきた。
 
 そんな祖母は昨年末の転倒から大腿部を骨折して寝たきりになっていた。そして見る見る身体が弱って行き、最終的に誤嚥性肺炎であっけなく亡くなってしまった。それこそホームから病院に入院してから僅か10日間で、あの世に旅立ってしまった。
 
 この1年間祖母は軽度の痴ほう症の症状も見せていて、感情の起伏を露にすることなどほとんどなくなっていた。車いすで外出しても以前は目を輝かせていたのに、最近ではぼんやりと無反応で虚ろな眼差しを当てもなく周囲に放っているだけだった。
 
 そんな祖母のために、絵麻は唯一祖母が大好きな音楽を聴いている時に見せる笑顔を見るために、祖母の大好きな楽曲だけを録音したCDを作ってあげていた。そんなCDの中で祖母が一番繰り返して聴いていたのが、フランソアーズ・アルディの♪さよならを教えてだった。
 
 こんな悲しい曲を聴き続けている祖母の想い出の1シーンに、どんな景色が拡がっているのか何度か絵麻は祖母に確かめたことがあった。だが祖母は何時の時も、はぐらかすような返事しかしてくれなかった。そして祖母が亡くなってしまった今となっては、とにかく祖母が大好きな曲だったという事だけが残ったのだった。更に偶然にもフランソアーズ・アルディが祖母と同じ今年の6月11日に80歳で亡くなったことを、短い外電のニュースで知った・・・。


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