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《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(240作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

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小説短編集 【76】ミュージック・メモリーの奇跡(原稿用紙30枚)


※大学3年生の宏太は、祖母が亡くなると言う悲しい知らせの中で新年を迎えていた。宏太は昨年末高校生の時以来、久しぶりに岡崎市にある祖父母の家に立ち寄った。宏太が祖父母の家に来たのは、宏太が高校1年生の時以来だった。
 
 5年前宏太は高校生になって初めての夏休みを祖父母の家で過ごした。あの時はとても元気だった祖母が、昨年末急死した。脳溢血だった。正直5年前の元気な姿の祖母の事を思うと、宏太は祖母の死が現実の出来事のようには思われなかった。
 
 5年前東京で希望する高校へ進学していた宏太は、入学後1ヶ月経った頃には既に高校を休むようになっていた。今から思っても高校へ入学したばかりの宏太に、特別なことがあった訳ではなかった。ただ学校生活が面白くなかったのだ。
 
 少しは大人の仲間入りが出来るかと期待していた高校生活だったが、宏太に待っていたのは義務教育だった中学の延長といった風景だった。勿論積極的に部活など何もしようとしなかった宏太が悪かったと今では思うのだが、当時は全て受動的になっていた宏太がいたのだった。
 
 そのまま中途半端な不登校生活が夏休み前まで続いた宏太は、父親からの勧めで久しぶりに1週間くらい父親の実家のある岡崎市の祖父母家ので過ごしてみてはと声を掛けられた。確かに長い夏休み、ずっと家の中にいるのも退屈だった宏太は小学生以来久しぶりに祖父母家のを訪れたのだった。
 
 当初1週間ぐらいと思って祖父母の家に行った宏太だったが、結果から言うと夏休み中祖父母の家で過ごすこととなった。理由は宏太にとっては新しいが、祖父が半世紀以上も利用している古い音楽を楽しむツールに出会ったためだった・・・。


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小説短編集  【77】スティングが好きな君がいた(原稿用紙30枚)

※3月11日の土曜日、理久は夕方から家を出て有明アリーナに向かっていた。大学卒業後今の会社に入社してから初めてのコンサート鑑賞だった。スティングのコンサートだった。有明アリーナでのコンサート鑑賞は初めてだったので、理久は早めに家を出ることにした。
 
 《ゆりかもめ》に乗るのは大学時代毎年のように5月のゴールデンウイークに、お台場のオクトーバーフェストに来ていた時以来だった。有明テニスの森駅で降りた理久は、コンサート前に軽く食事でもしておこうと考えていたが、駅前には食事が出来そうな場所を見つけることが出来なかった。
 
 取り敢えずスマホでグーグルマップの案内通りに、有明アリーナに向かって歩くことにした。もっともマップを見るまでもなく多くの人たちの後ろについて歩いて行けば、コンサート会場に着けるだろうと、途中から理久はスマホをポケットに押し込んだ。
 
 アリーナに着いてから再びスマホでコンビニの場所を確認してから、理久はファミマまで移動した。サンドイッチと缶ビールを手にして、理久は東雲運河の見える所まで移動して運河沿いのブロックに寄りかかりながらビールとサンドウィッチを胃袋に放り込んだ。
 
 これから鑑賞するのは、スティングのコンサートだった。理久がスティングの音楽を聴き始めたのは大学に入学してからだった。スティングとの出会いは、よくあるストーリーで理久が好意を抱いていた大学のクラブの先輩がスティングが好きだったのが始まりだった。
 
 今から5年前大学へ入学した理久は、学生時代に何か楽器が弾けるようになりたいとの思いで軽音楽部へ入部した。ところがいざ入部してみると周囲の部員たちのほとんどは新入部員を含めて、全員がなにがしかの楽器を弾きこなしていた。そん中で理久は理久のようにふんわりとした入部希望の3人と出逢い、理久を含めて4人でバンドを組むこととなった。
 
 大好きなバンドのコピーをすることに決めた4人は、それぞれ自分の担当する楽器を決めることにした。それこそ話し合いで簡単に決まると理久は思っていたが、正直難航した。理由は、みんながギターの担当を希望したからだった・・・。



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