★【生きる LIVING】映画鑑賞備忘録 | 《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(244作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

★Kindle 本 小説(amazon)販売中!

★芸術表現としての映画は映像美がありセリフもあり音楽もあるという総合芸術だと思っていて、目で観て耳で聴いて感性を強く刺激してくれる素敵な表現ツールだと言えると思います。そこで自分が観た映画作品を順番に紹介していきたいと思います。

■映画『生きる LIVING』お気にりのシーン

※映画の冒頭で流れたロンドンの街並みの映像は恐らく映画のために撮影したものでなく当時のフィルムを採用していたように思われましたが、その後の本編で描き出されていた街並みと違和感が全く無く本当に丁寧に当時の風景が再現されていましたね。

ウィリアムズがマーガレットと楽しく過ごした時間を亡くなったウィリアムズを慕っていたピーターがマーガレットとゲーセンにあるクレーンで遊んだり又その時にウィリアムズと一緒にクレーンで手に入れた白いぬいぐるみをマーガレットが持っていて、お茶目でドライなマーガレットが亡くなったウィリアムズに見せた優しさを感じましたね。

※それにしても1950年代にロンドンの街には、ゲーセンのクレーンで懸賞品を吊り上げる遊具あったことに驚かされました

※この映画の中でウィリアムズが亡くなった後に同じ職場で働いていた後輩の同僚4人が通勤列車の中で語り合うシーンは、生前のウィリアムズを4人が各々の視点から見つめていたことが素直に表現されていてウィリアムズの人となりが良く分かる大切なシーンのように思われました。

※更にウィリアムズの貢献で完成した遊び場を訪れたピーターと、亡くなったウィリアムズが公園で雪降る深夜にブランコに乗っていたのを見かけた警察官が、心配で声を掛けようと思ったがウィリアムズがとても幸せそうな表情をしていたので声を掛けなかったと話したシーンも良かったですね。

※ウィリアムズが勤めていた市役所の建物にはエレベーターなどなく大勢の職員たちが階段を上下している姿が何度も出てくるのですが、このさりげない時代背景を見せる演出は気に入りました

映画全編のBGMとして流れている音楽は時にピアノ、時に弦楽器、時にコーラスと出しゃばることなく素敵な雰囲気を醸し出していて最高でした。

ウィリアムズが自分の余命について息子には言えなかった理由が息子には息子の悩みが多くあるからと言っていたところに、この時代の父親の威厳みたいな存在を感じましたね。それでも今の時代ではありえない判断でしょうね。更には妻からウィリアムズの異変を問いただすように言われていた息子が、最後まで父親に声を掛けれなかったことにも時代を感じますね。

この映画はウィリアムズが亡くなる前の心の動揺とそれに裏付けられた様々な行動と、亡くなった後に描き出されたウィリアムズが関わった人たちに残した大小のエピソードの双方が微妙な糸で結びつかれていてカズオ・イシグロ氏の脚本の素晴らしを物語っていましたね。


【解説等】余命宣告を受けた男が生きる意味を見いだそうとする姿を描いた黒澤明の『生きる』を、カズオ・イシグロの脚本によってリメイクしたヒューマンドラマ。第64回カンヌ国際映画祭でクィア・パルムを受賞した『Beauty』のオリヴァー・ハーマナスがメガホンをとり、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのビル・ナイが主演を務める。

【あらすじ】1953年、復興途上のロンドンで公務員として働くウィリアムズは仕事一筋で生きてきた。いわゆるお堅い英国紳士である彼は、仕事場では部下に煙たがられ、家では孤独を感じる日々を過ごしており、自分の人生を空虚で無意味なものだと感じていた。そんなある日、ウィリアムズは医者から自分ががんを患っていること、そして余命半年であることを告げられる。手遅れになる前に充実した人生を手に入れようと、彼は大きな一歩を踏み出す。

~出典:Movie Walker ~

image0 (84)



《2024年度:鑑賞済作品リスト》
■『僕らの世界が交わるまで』2024年1月31日
■『カラーパープル』2024年2月22日
■『アーガイル』2024年3月28日

《2023年度:鑑賞済作品リスト》
■『エンパイア・オブ・ライト』2023年3月2日
■『フェイブルマンズ』2023年3月30日
■『生きる LIVING』2023年4月20日
■『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』2023年5月18日
■『aftersun/アフターサン』2023年6月15日
■『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』2023年7月28日
■『コンサート・フォー・ジョージ』2023年8月18日
■『ロスト・キング 500年越しの運命』2023年9月22日
■『キリエのうた』2023年10月19日
■『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』2023年11月16日
■『ティル』2023年12月21日

《2022年度:鑑賞済作品リスト》
■『コーダ あいのうた』2022年3月29日
■『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』2022年5月12日
■『リコリス・ピザ』2022年7月5日
■『エルヴィス』2022年7月15日
■『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』2022年8月16日
■『ビリー・ジョエル:ライヴ・アット・ヤンキー・スタジアム』2022年10月6日
■『恋人はアンバー』2022年11月10日

《2021年:鑑賞済作品リスト》
■『スターダスト』2021年10月21日
■『リスペクト』2021年11月5日
■『tick, tick...BOOM! チック、チック…ブーン!』2021年11月19日
■『ディア・エヴァン・ハンセン』2021年12月2日
■『ラストナイト・イン・ソーホー』2021年12月16日

《2020年度:鑑賞済作品リスト》
■『フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて』2020年1月17日
■『ジョジョ・ラビット』2020年1月22日

《2019年度:鑑賞済作品リスト》
■『ボヘミアン・ラプソディ』2019年1月9日
■『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』2019年1月24日
■『天才作家の妻 40年目の真実』2019年2月7日
■『ノーザン・ソウル』2019年2月22日
■『グリーンブック』2019年3月6日
■『メリー・ポピンズ リターンズ』2019年3月19日
■『運び屋』2019年4月4日
■『ビューティフル・ボーイ』2019年4月17日
■『ドント・ウォーリー』2019年5月9日
■『山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』2019年5月23日
■『ベン・イズ・バック』2019年6月7日
■『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』2019年6月20日
■『アマンダと僕』2019年7月5日
■『さらば愛しきアウトロー』2019年7月18日
■『HOT SUMMER NIGHTS/ホット・サマー・ナイツ』2019年8月22日
■『ロケットマン』2019年8月29日
■『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』2019年9月12日
■『アルツハイマーと僕 グレン・キャンベル 音楽の奇跡』2019年9月27日
■『イエスタデイ』2019年10月17日
■『マイ・ビューティフル・デイズ』2019年11月7日
■『ラスト・クリスマス』2019年12月12日

《2018年度:鑑賞済作品リスト》
■『はじまりのボーイミーツガール』2018年1月11日
■『ベロニカとの記憶』2018年1月25日
■『ロング,ロングバケーション』2018年2月14日
■『パーティで女の子に話しかけるには』2018年2月22日
■『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』2018年3月8日
■『フェリーニに恋して』2018年3月29日
■『ワンダーストラック』2018年4月9日
■『さよなら、僕のマンハッタン』2018年4月23日
■『パティ・ケイク$』2018年5月10日
■『ミッドナイト・サン タイヨウのうた』2018年5月24日
■『男と女、モントーク岬で』2018年6月7日
■『レディ・バード』2018年6月28日
■『女と男の観覧車』2018年7月12日
■『悲しみに、こんにちは』2018年7月26日
■『タリーと私の秘密の時間』2018年8月23日
■『輝ける人生』2018年9月6日
■『500ページの夢の束』2018年9月21日
■『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』2018年10月4日
■『エンジェル、見えない恋人』2018年10月18日
■『マイ・プレシャス・リスト』2018年11月2日
■『モダンライフ・イズ・ラビッシュ ロンドンの泣き虫ギタリスト』2018年11月15日
■『souvenir the movie~MARIYA TAKEUCHI Theater Live~』2018年11月30日
■『おとなの恋は、まわり道』2018年12月14日
■『アリー/ スター誕生』2018年12月27日

《2017年度:鑑賞済作品リスト》
■『ミス・シェパードをお手本に』2017年1月12日
■『天使にショパンの歌声を』2017年1月26日
■『たかが世界の終わり』2017年2月16日
■『素晴らしきかな、人生 』2017年3月2日
■『わたしは、ダニエル・ブレイク』2017年3月23日
■『未来よ、こんにちは』2017年3月30日
■『はじまりへの旅』2017年4月13日
■『僕とカミンスキーの旅』2017年5月1日
■『マンチェスター・バイ・ザ・シー』2017年5月15日
■『カフェ・ソサエティ』2017年5月29日
■『20センチュリー・ウーマン』2017年6月12日
■『ラ・ラ・ランド』2017年6月26日
■『歓びのトスカーナ』2017年7月31日
■『エブリシング』2017年8月18日
■『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』2017年8月28日
■『あしたは最高のはじまり』2017年9月11日
■『プラネタリウム』2017年9月25日
■『ブルーム・オブ・イエスタディ』2017年10月11日
■『愛を綴る女』2017年10月23日
■『gifted/ギフテッド』2017年12月11日
■『彼女が目覚めるその日まで』2017年12月25日

《2016年度:鑑賞済作品リスト》
■『きみといた2日間』2016年1月25日
■『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』2016年2月8日
■『マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章』2016年3月10日
■『幸せをつかむ歌』2016年3月29日
■『マンチェスター・バイ・ザ・シー』2016年5月15日
■『グランドフィナーレ』2016年4月18日
■『最高の花婿』2016年5月2日
■『すれ違いのダイアリーズ』2016年5月16日
■『君がくれたグッドライフ』2016年5月30日
■『教授のおかしな妄想殺人』2016年6月17日
■『ブルックリン』2016年7月1日
■『シング・ストリート 未来へのうた』2016年7月15日
■『ヤング・アダルト・ニューヨーク』2016年7月28日
■『きみがくれた物語』2016年8月19日
■『ハートビート』2016年9月2日
■『アスファルト』2016年9月16日
■『ある天文学者の恋文』2016年9月30日
■『世界一キライなあなたに』2016年10月13日
■『アイ・ソー・ザ・ライト』2016年1027月日
■『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』2016年11月10日
■『誰のせいでもない』2016年11月25日
■『幸せなひとりぼっち』2016年12月26日

《2015年度:鑑賞済作品リスト》
■『ラブ&マーシー 終わらないメロディー 』2015年8月11日
■『ミッション インポッシブル』2015年8月21日
■『ヴィンセントが教えてくれたこと』2015年9月4日
■『Dearダニー 君へのうた』2015年9月18日
■『わたしに会うまでの1600キロ』2015年10月2日
■『パパが遺した物語』2015年10月16日
■『アクトレス~女たちの舞台~』2015年10月29日
■『サヨナラの代わりに』2015年11月13日
■『Re:LIFE~リライフ~』2015年12月3日
■『ディーン、君がいた瞬間(とき)』2015年12月28日