★【ジーンズのある風景】非公開小説のあらすじ | 《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(247作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

★Kindle 本 小説(amazon)販売中!

★書き上げた非公開小説のあらすじを紹介したいと思います。

《ジーンズのある風景~原稿用紙100枚》あらすじ


 1967年3月 義務教育期間が終わる中学卒業を前にして、洋太はこれから手に入れられる自由が拡がる風景に想いを寄せながら奇妙な高揚感に包まれていた。洋太15歳の春のことだった。

 1970年3月 大人社会の入り口に立ったはずの洋太だったが、実に中途半端な3年間と言う高校生活をおくってしまった。あれほど憧れていた自由な世界は、3年前購入した学生服が着られないままに洋服ダンスの奥に仕舞い込まれ、高校3年間制服着用と言う校則を無視してTシャツ、トレーナー、ジーンズ姿で通学したことぐらいの自由を味わったという原体験の中にしか見ることが出来なかった。

 1974年3月 相変わらず中途半端な気持ちのまま進学した大学生活も、気が付いたら4年が経ち卒業を迎える時期になっていた。4年間大学で過ごした時間より、ラジオ番組の制作アルバイト先で過ごした時間の方が圧倒的に多かった。卒業後の進路を決められないまま大学に1年残ったが、結果的には翌年放送局には縁がないまま普通に就職活動をしてサラリーマン生活に身を投じていた。定年までの40年間履きなれたジーンズは洋服ダンスの奥に仕舞い込まれ、スーツ姿に変身していた。

 2012年3月 約40年前に新入社員として一緒に入社した同期は、今でも結構会社に残っていよいよ定年と言う区切りの歳が見え始めていた。もっとも洋太たちが入社した当時は60歳定年だったのだが、今では制度代わり65歳定年でその後も嘱託職員として70歳まで働けるように変わっていた。
 
 そんな中で洋太は迷わず入社当時の定年であった60歳で会社を去った。周りの同期たちは早期退職と呼んだが、洋太には正真正銘の定年退職だった。60歳で会社を去る瞬間を前にして、洋太は15歳で義務教育である中学を卒業を前にして感じていたのと同様の奇妙な高揚感に包み込まれていた。45年ぶりに味わう感覚だが、何故かしら15歳当時の自分が思い起こされてならなかった。

 洋太は定年退職後会社近くに求めていたマンションを手放して、幼い頃に過ごした武蔵小金井の街に転居していた。両親は兄が面倒をみていて最終的に独り身のまま60歳を迎えていた洋太は、無限に近いくらいの自由な時間を手に入れていた。

 小金井公園近くの小さなマンションへ転居した洋太の部屋には、古い段ボール箱が幾つか運び込まれていた。段ボール箱の中には、最後まで捨てることが出来ないでいた大量の古いレコードが収められていた。そしてその段ボール箱の1つには、着古されたジーンズが何本か押し込められていた。

 武蔵小金井駅周辺にはお洒落なカフェがひしめきあっていたが、駅前から少しだけ奥に入り込んだ開発に取り残された一画に洋太が毎日のように通うこととなっていた喫茶店があった。マスターで80歳の芦沢さんはラジオ局のレコードライブラリーで働き続けて定年を迎えていた。そんな芦沢さんが定年後に始めたのが洋太の通う喫茶店《アソングフォーユー》だった。

 居心地の良い空間を手に入れていた洋太に、芦沢さんが、地元でミニコミ情報誌やコミュニティFMなどの活動を通して《サブカルチャー》を発信し続けている遠山さんと一緒に活動をしないかと声を掛けてきた。自由な時間ばかりの洋太は、自分に出来ることであればと遠山さんと同じ時間を共にするようになっていた。

 2021年9月 定年後の生活も10年以上が経ち洋太の生活スタイルも、すっかりそれなりのペースが定着しつつあった。身の回りには70代の洋太と遠山さん、80代の芦沢さんの中に、路上ライブで出逢った18歳の里奈さんがいた。
 
 高校3年生で登校拒否をしていた里奈さんは、亡くなったお祖父ちゃんが遺してくれた古いレコードばかりを聴いていた。そんなことが洋太、芦沢さん、遠山さんたちとの距離を縮めていたことは間違いなかった。加えて里奈さんは亡くなった大好きなお祖父ちゃんが履いていたジーンズを自分で修繕して履いていた。

 里奈さんの高校への復学と自費出版のレコード盤が出来上がった祝いのために集まった70代、80代、10代の4人は、4人それぞれが大好きなジーンズを履いていた。喫茶店《アソングフォーユー》の灯りを消して、店先で4人は解散した。洋太はそのままマンションのある小金井公園の方に向かって独りで歩き始めた。目の前の舗道には街路灯に洋太の影が、時に長く時に短く映し出されていた。 


3700000.jpeg

★【Kindle本 (電子書籍)】の出版状況について~《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ》間々田陽紀 小説の世界~

★中編集(原稿用紙90~100枚)~1作250円


1【作品№122】Tシャツとピンクの万年筆(101枚)
2【作品№123】リバプールの旅人(100枚)
3【作品№124】あなたがネクタイ外したから、私もヒールを脱ぐわ(100枚)
4【作品№125】僕のプレイリストはタイムカプセル(100枚)
5【作品№126】鳴らない風鈴(100枚)
6【作品№127】切り分けられた林檎(100枚)
7【作品№128】キャロルキングを聴きながら(100枚)
8【作品№129】真冬のストローハット(100枚)
9【作品№130】5年目のバレンタインデー(100枚)
10【作品№131】セイントバレンタインデーの奇跡(100枚)
11【作品№132】バレンタインデーはエアメールで!(100枚)
12【作品№133】街角のバレタインデー(100枚)
13【作品№134】瞳の中のバレンタインデー(100枚)
14【作品№135】バレンタインデー・ラプソディ(100枚)
15【作品№136】ラストチャンス・バレンタインデー(100枚)
16【作品№137】奇跡を呼んだナレーション(100枚)
17【作品№138】コーヒーチケット1冊分の恋(100枚)
18【作品№139】ハッピーエンドまでの君と僕とのセオリー(100枚)
19【作品№140】ブロークンハート・イヴ(100枚)
20【作品№141】グッドミュージックが生まれる街(100枚)
21【作品№142】聖マルタンの夏(100枚)
22【作品№143】ノン・アップデート・メモリーズ(100枚)
23【作品№144】グッドバイ色の街だから(100枚)
24【作品№145】雨の中のオレンジ(100枚)
25【作品№146】君がヒロインになる瞬間(とき)(100枚)
26【作品№147】シャッター音がくれた奇跡(100枚)
27【作品№148】眠れない夜はニルソンを聴きながら(100枚)
28【作品№149】リメンバーミー(100枚)
29【作品№150】フォーマイセルフ&フォーユアセルフ(100枚)
30【作品№151】ジョナサンがいた風景(100枚)
31【作品№152】ファイナル・コンサート(100枚)
32【作品№153】気分はアウトオブデート(100枚)
33【作品№154】それぞれのダイアリー(100枚)
34【作品№155】あの頃君は駆け抜けて逝った(100枚)
35【作品№156】ミュージシャンたちの恋物語(100枚)
36【作品№157】サマークリスマス(100枚)
37【作品№158】ジーンズのある風景(100枚)

★短編集(原稿用紙~50枚)~1作100円


【1】夜空と波間の彼方に
【2】深大寺ラヴストーリー
【3】ダブルレインボーの彼方に
【4】真冬のウインド・チャイム
【5】ギターケースの中のラヴレター
【6】横浜ロックンローラー
【7】遅れて来たフラワーチルドレン
【8】阿波人形浄瑠璃ラブソディ
【9】真っ赤なマニュキアの指先を見つめた夏
【10】君がいた街角
【11】聴かせてよ、あのリフを!
【12】ワイパーの向こうで消えた女性(ひと)
【13】さよなら、ミュージシャン
【14】ボーカルインストラクターの夢追い人
【15】写譜屋の恋物語
【16】スポットライト・グラフィティ
【17】リペアマン・ブルース
【18】歌えないラヴソング
【19】夢捨て人のハーモニー
【20】君の名前が消えたエンドロール
【21】ユア・シックスティーン
【22】ピアノのある喫茶店
【23】旅人からのリクエスト
【24】君への恋心をアップデート
【25】トラックドライバーの独り言
【26】サリンジャーを手にした君へ
【27】ハイタッチなんて似合わない
【28】君の知らないイエスタデイ
【29】君へ送るハートビート
【30】エルトンからの贈物
【31】君に聴かせたいメロディ
【32】31文字のラヴレター
【33】48時間のランナウェイ
【34】君が遺した風景だから
【35】恋のロングバケーション
【36】私の彼はトラベラー
【37】ミュージシャンからの恋文
【38】さよならグッドメモリーズ
【39】恋のスターティンググリッド
【40】横浜バイザシー
【41】冷たい雨が好きだから
【42】街角ピアノ物語
【43】キネマのある街
【44】本日限りが好きだから
【45】この曲にはフルートが必要だから
【46】テイク・ミー・アロング
【47】3年越しのデスティニー
【48】あの日の君の肖像画
【49】奇跡のハーモニー
【50】ポートレイトの君は誰なの?
【51】雪降る街でサヨナラを
【52】永遠のチャイルドフッド・フレンド
【53】ミルキーウェイって何色?
【54】フラガールのいた夏
【55】消えないグラフィティ
【56】ドルフィンに連れてって
【57】校内放送なんて聴かないよ
【58】ジュークボックスのある風景
【59】君と僕とのタイムカプセル
【60】ギターケースの中の青春
【61】フォークソングが流れていた季節
【62】サマー・オブ・ラブを知ってる?
【63】グッドバイブレーション
【64】レオンラッセルで聴きたいから
【65】何故君はキャロルキングが好きなの
【66】メッセージボードのある駅
【67】僕が反逆児だって?
【68】街角グラフィティ
【69】すれ違いのダイアリー
【70】永遠の噓だったなんて
【71】ジュークボックスが鳴り続けてる


71000000.jpeg