オリジナル小説 【君に捧げるララバイ】(第9回) | 《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(245作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

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矢作との久し振りの再会だった。圭樹はある意味矢作も圭樹も同類のように思えた。お互いが大学生時代から拘っていたことを、その後も変わらずに続けていたと言うことだった。ただ2人は同類ではあったが、拘り方が異なっていた。

単純に言えば圭樹は最初から最後まで、画を描く姿勢に拘った。圭樹は自分が描きたいと思えるものと出会いに拘った。勿論自分が描き上げた作品の評価が全く気にならないと言えば、それは嘘になる。ただそのために圭樹が何かをするかと言えば、具体的な事は何一つしなかった。公募展への作品出展などにも積極的ではなかった。

自分が納得できる作品が描けてこそ初めて、その作品の評価を求めてみたいとずっと考えていた。そして大学時代から今に至るまで、残念ながら圭樹はそんな作品を描きあげることは出来ないままでいた。一方矢作はと言えば、大学時代から周囲からの評価を気にしていた。

単に気にすると言うことではなく、どうしたら周囲から高い評価を得ることが出来るかを矢作は常に考えていた。この違いは圭樹にはいい悪いとか言った問題の様には思えなかった。ただ矢作と圭樹との間にある違いと言えば、優先順位と言うことになるのだろうと圭樹は考えていた。

圭樹は自分に対する評価は常に結果論であり後からついて来る問題だと考えていた。それに対して矢作は評価がまず先にありきで、高い評価を得るために今があると考えていた。いずれにしても矢作も圭樹も自分の拘りの中で、先に進んでいる事だけは間違いなかった。

圭樹はあれやこれやと同時進行的に色々な事を手掛けて行くのが苦手だった。できるだけ生活パターンをシンプルしたいと常に考えていた。それは画を描くと言う行為においても同じだった。どちらかと言えば圭樹はやらなければならないことが出来たら、それなりに真面目に向き合う傾向が強かった。

要領よく適当にやり過ごす事が出来なかった。文句は頭を過ぎるが、だからと言って手を抜くことが出来ない。ある意味不器用で生きづらい性格だと、圭樹は自分自身のことを分析していた。だから背負い込む事柄は少なければ少ないほどいいと言うことになり、圭樹の日常生活の前には描きたいと思う画を描いて行くと言う想いだけが拡がっていた。

圭樹にとって大切なものは、今現在の自分自身の在り方だけだった。勿論圭樹もこれから先のことについて全く考えない訳では無かったが、結局将来のために今現在をどうこうすると言う考えが思い浮かばないのであればそれほど夢中になる必要はないと考えていた。

何時の時もどんな時もその中心に、自分自身だけが存在していると圭樹は考えていた。だから周囲からの影響と言うものをほとんど受けることが無かった。そんな圭樹が時任さんに出会ってから変わろうとしていた。何故だから分からないが時任さんの話す内容について、圭樹はすんなりと腑に落ちることが多かった。

だからと言って無条件に迎え入れると言う事もなかった。それでも圭樹が自分の作品を神楽坂の街で路上販売していた時に時任さんに出会ってからずっと、圭樹は時任さんの傍から離れる事など一度たりとも考えた事はなった。寧ろ時任さんが話してくれる話を、素直に聞き耳を立てることが出来ていた。

時任さんは圭樹の画の中には、圭樹が描きたいと想う気持ちが込められていると言ってくれた。そしてそれは画家として何より大切なものだとも話してくれた。自分が本当に描きたいと思うものに真摯な気持ちで向き合い、その中から画家として伝えたい想いを表現することで、きっと他の人を感動させることが出来る作品が描けると時任さんは常に圭樹に話してくれた。

評価などはそうすることを積み重ねていれば、おのずと後からついて来るとも話してくれていた。そんな時任さんの話を圭樹は素直に聞き入れることが出来ていた。ただ現実的な話も画廊主の立場から圭樹に話すことも忘れなかった。アルバイトでも何でもいいが、副業を持たないで画を描き続けることは出来ないとはっきりと言われていた。

ただ気を付けなければならないことは、副業が本業になるケースが非常に多いと言うことも時任さんは付け足してくれた。特に画を描くスキルのレベルの高い人ほど、気が付くと副業である美術関連の学校や教室の講師、デザイナーなどの仕事が中心になってしまう事が多いと言う。なまじ高度なスキルを持っているだけに、重宝がられて副業である仕事がズルズルと続いてしまい結果として本業になってしまう。


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■レーベル《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ》間々田陽紀 小説の世界~シリーズ 間々田 陽紀 中編集(原稿用紙90~100枚)1作250円


【1】Tシャツとピンクの万年筆
【2】リバプールの旅人
【3】あなたがネクタイ外したから、私もヒールを脱ぐわ
【4】僕のプレイリストはタイムカプセル
【5】鳴らない風鈴
【6】切り分けられた林檎
【7】キャロルキングを聴きながら
【8】真冬のストローハット
【9】5年目のバレンタインデー
【10】セイントバレンタインデーの奇跡
【12】街角のバレンタインデー
【13】瞳の中のバレンタインデー
【14】バレンタインデー・ラプソディ
【15】ラストチャンス・バレンタインデー
【16】奇跡を呼んだナレーション
【17】コーヒーチケット1冊分の恋
【18】ハッピーエンドまでの君と僕とのセオリー
【19】ブロークンハート・イヴ
【20】グッドミュージックが生まれる街
【21】聖マルタンの夏
【22】ノン・アップデート・メモリーズ
【23】グッドバイ色の街だから
【24】雨の中のオレンジ
【25】君がヒロインになる瞬間(とき)
【26】シャッター音がくれた奇跡
【27】眠れない夜はニルソンを聴きながら
【28】リベンバーミー
【29】フォーマイセルフ&フォーユアセルフ
【30】ジョナサンがいた風景
【31】ファイナル・コンサート
【32】気分はアウトオブデート
【33】それぞれのダイアリー  
【34】あの頃君は駆け抜けて逝った  
【35】ミュージシャンたちの恋物語
【36】サマークリスマス
【37】ジーンズのある風景
【38】ゲバ字の消えた夏
【39】高校3年生のネアンデルタール人
【40】アルバート・ドッグを吹く風
【41】ワーズワースそして教授と私の旅
【42】天窓から眺めるロンドンの街
【43】チェスターの空の下
【44】ウクレレの音が流れる夏
【45】私は夢見るシャンソン人形
【46】いつか観たジョンレノン
【47】あの日聴いた夢のカリフォルニア
【48】懐かしいね、ガントレ!
【49】神楽坂で聴くサウンドオブサイレンス
【50】キャロルキングをお寺で
【51】サウンドトラックはユーミンで
【52】ルート66へに誘われて
【53】俺たちのジュークボックス
【54】キックオフは、これから!
【55】タイムカプセルからビートルズ
【56】2人のランナウェイ
【57】もうラヴソングは唄えない
【58】遅れて来たラヴレター
【59】君にとどけボーントゥーラン
【60】母はクラプトンが大好き
【61】タイムアフタータイムなんて
【62】シャーリーンの唄ですよね
【63】気分はハロー・グッドバイ
【64】クロスロードとオヤジたち
【65】サザンカンフォートを抱えた娘
【66】あなたがトミーで私がジーナ
【67】ロールプレイング・ラヴをあなたと
【68】パンタロンじゃなくベルボトムさ!
【69】俺は根っからのランブリング・マン
【70】タイムタイムタイム~冬の散歩道
【71】俺のロード・ソングは、ウィリン
【72】アメリカ《名前のない馬》から始まった
【73】ツェッペリンに包まれて
【74】ロイ・ブキャナンの流れる家
【75】フォークソングが消えた日
【76】終わらないメロディ
【77】俺もお前もストレンジャー
【78】ジョニ・ミッチェルで聴きたいね
【79】今さら、ハートに火をつけて
【80】アフリカを聴きながら
【81】プロコル・ハルムが唄っている
【82】ゼーガーとエバンズが教えてくれた
【83】ビタースウィート・サンバを取り戻せ
【84】ティアーズ・イン・ヘヴンなんて
【85】俺たちはフール・オン・ザ・ヒル
【86】このリフに魅せられて
【87】さらば黄昏のレンガ路よ
【88】心にハングリー・ハートを
【89】いつもジャーニーが流れていた
【90】ジャニスと踊ろう
【91】俺は今でも25or6to4
【92】君に捧げるララバイ
【93】ジャニスが語りかけた夜
【94】キリング・ミー・ソフトリーをあなたに
【95】恋をするならシェイクスピアで
【96】ゲーテが教えてくれた愛のシーズン
【97】僕と君だけのファーザー・クリスマス
【98】恋する気分は、ヴェルレーヌから
【99】愛を語るならヴェッキオ橋で
【100】ショーシャンクの空が・・・
【101】ビーハイブ・ヘアの女(ひと)
【102】カセットから流れ出たメロディ
【103】オヤジたちのスタンドバイミー
【104】届かない、君へのラブソング
【105】マージー・ビートに魅せられて
【106】父のギターが残してくれたもの
【107】夜のパリ、それはラヴレターの香り
【108】閉ざされたままのギターケース
【109】雨の日には、グラント・グリーンでも
【110】ボースサイドナウが流れる喫茶店で
【111】恋のリフレイン
【112】ベイビーが流れていた季節
【113】フォロー・ミーに誘われて
【114】それでも、あなたにラヴソングを
【115】想い出のコンサート・チケット
【116】スターダストをあなたと
【117】ナローボートで素敵な恋を!
【118】ライトハウスで出逢った、あなたへ
【119】レモンの木の下で
【120】2度目のチャイルドフッドフレンド
【121】ミニシアターより愛を込めて
【122】あの時YESと言えていたなら
【123】ソリチュードに包まれて
【124】窓辺のロミオ&ジュリエット
【125】フラに恋する君に恋した僕
【126】ミルキーウェイで、さよならを
【127】コイントスで決めた恋
【128】二人の恋はメリーゴーランド
【129】スラッキー・ギターに魅せられて
【130】ソー・ファー・アウェイが流れる街
【131】メッセージノートのある喫茶店
【132】恋のワン・ウェイ・チケット
【133】ベルベッド色の恋
【134】神楽坂ラヴ・ストーリー
【135】すれ違いのスウィート・ハート
【136】リッスン・ツー・ザ・レイディオ
【137】夏のレムナント
【138】ダウンタウンボーイ
【139】中央フリーウェイ
【140】AVALON
【141】フォーカス
【142】Midnight Scarecrow
【143】セシルの週末
【144】街角のペシミスト
【145】ジャコビニ彗星の日
【146】ツバメのように
【147】ダイヤモンドダストが消えぬまに
【148】イチゴ白書をもう一度
【149】ベルベッドイースター


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■レーベル《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ》間々田陽紀 小説の世界~シリーズ 間々田 陽紀 長編集(原稿用紙300枚~450枚)1作500円

【1】校内放送でビートルズ
【2】府立第14中~青春グラフィティ!
【3】そうだドルフィンへ行こう
【4】夜のグラフィティ
【5】もう一度聴いてみようかホテルカリフォルニア 
【6】今何故、500マイルも離れて
【7】坊っちゃん、フォーエバー
【8】ブローイングインザウィンドでも聴いてごらん
【9】木登り~タイムワープ


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■レーベル《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ》間々田陽紀 小説の世界~シリーズ 間々田 陽紀 短編集(原稿用紙~50枚)1作100円

【1】夜空と波間の彼方に
【2】深大寺ラヴストーリー 
【3】ダブルレインボーの彼方に
【4】真冬のウインド・チャイム 
【5】ギターケースの中のラヴレター 
【6】横浜ロックンローラー 
【7】遅れて来たフラワーチルドレン 
【8】阿波人形浄瑠璃ラブソディ
【9】真っ赤なマニュキアの指先を見つめた夏
【10】君がいた街角
【11】聴かせてよ、あのリフを!
【12】ワイパーの向こうで消えた女性(ひと)
【13】さよなら、ミュージシャン
【14】ボーカルインストラクターの夢追い人
【15】写譜屋の恋物語
【16】スポットライト・グラフィティ
【17】リペアマン・ブルース
【18】歌えないラヴソング
【19】夢捨て人のハーモニー
【20】君の名前が消えたエンドロール
【21】ユア・シックスティーン
【22】ピアノのある喫茶店
【23】旅人からのリクエスト
【24】君への恋心をアップデート
【25】トラックドライバーの独り言
【26】サリンジャーを手にした君へ
【27】ハイタッチなんて似合わない
【28】君の知らないイエスタデイ
【29】君へ送るハートビート
【30】エルトンからの贈物
【31】君に聴かせたいメロディ
【32】31文字のラヴレター
【33】48時間のランナウェイ
【34】君が遺した風景だから
【35】恋のロングバケーション
【36】私の彼はトラベラー
【37】ミュージシャンからの恋文
【38】さよならグッドメモリー
【39】恋のスターティンググリッド
【40】横浜バイザシー
【41】冷たい雨が好きだから
【42】街角ピアノ物語
【43】キネマのある街
【44】本日限りが好きだから
【45】この曲にはフルートが必要だから
【46】テイク・ミー・アロング
【47】3年越しのデスティニー
【48】あの日の君の肖像画
【49】奇跡のハーモニー
【50】ポートレイトの君は誰なの?
【51】雪降る街でサヨナラを
【52】永遠のチャイルドフッド・フレンド
【53】ミルキーウェイって何色?
【54】フラガールのいた夏
【55】消えないグラフィティ
【56】ドルフィンに連れてって
【57】校内放送なんて聴かないよ
【58】ジュークボックスのある風景
【59】君と僕とのタイムカプセル
【60】ギターケースの中の青春
【61】フォークソングが流れていた季節
【62】サマー・オブ・ラブを知ってる?


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