オリジナル小説 【君に捧げるララバイ】(第3回) | 《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(260作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

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『素敵な画の根底に流れているものは、後にも先にも片桐さんの言うように感動する気持ちです。今のお話を聞いたら、余計にこれからどんな画が出来上がるか楽しみになって来ましたよ!ここに在る作品もそうですが、他の作品も順番にすべて一度画廊の方でゆっくりと見せてもらえませんでしょうか?

それと私はこの神楽坂の街で長年商売をしているのでお話ししておきますが、この通りの横断歩道は狭いので路上販売等については結構締め付けが厳しいですよ。すぐに近所の方から苦情が舞い込むかもしれません。それじゃ私の方は何時でも結構ですので、作品の方を画廊でお待ちしています。この坂をずっと下って行った所にある郵便ポストのある角を入った突き当りが画廊ですので宜しく!』
そう言い終わると時任さんが早稲田通りを飯田橋方面に消えて行った。

時任さんからの注意が気になった圭樹は、周囲から路上販売を止めるようにとの声がかかる前に店頭販売を切り上げた。真っ直ぐにそのまま下宿に戻る気にはなれなかった圭樹は、近くにある神社で時間を潰そうと考えた。

神社の入口近くにある大きな木の下に設置されていたベンチに圭樹は腰掛けた。昼下がりの神社の境内は静まりかえっていた。大学に入ってからの4年間一生懸命に画を描くスキルを身に付けるために画を描き続けて来た時には、圭樹の作品を真剣に評価しようとしてくれたことなど一度たりとも無かった。

それが大学を卒業して暫くは本当に描きたいものに出会えるまで、筆を置こうと考えた矢先に時任さんから声が掛かった。勿論ただ作品を観たいと言われただけで、時任さんが圭樹の作品をどう評価しているかは定かではなかった。圭樹には大学を卒業してから眺める同じ風景が、大学生時代のそれと何処となく違って見えるようになっていた。

やはり圭樹が歩み始めた道筋がそれまで歩んで来たものと大きく異なっていることが、物の見方まで変えていたのだろう。大学生生活の4年間は親元を遠く離れて独り暮らしを続けていたが、それでも経済的には仕送りも受けおり本当の意味での自立とは言い難かった。

それが大学卒業後100%自分の力だけで生活をして行くようになり、精神的にだけでなく経済的にも正真正銘の自立をすることとなった。この何処にでもある様な日常生活の変化は、圭樹をそれなりに緊張させていた。大学卒業後は、アルバイトをしながら本当に描きたいと思える画だけを描いて行こうと圭樹は決めた。

それは大学生活4年間の中で、圭樹が時間を掛けて出した結論だった。そしてその結論通りの第一歩を踏み出してみたが、これほどごく普通の変化が個人の世界では大きな変化をもたらすとは思ってもみなかったことだった。

そして当たり前のことだったが最低限の日常生活を維持して行くためには、しっかりと安定した収入を確保することが重要となる事に圭樹は初めて気づかされていた。今まで周囲から自分の作品が評価されたことが無かった事もあり、圭樹の作品が第三者に求めてもらえることに積極的になることはなかった。

だが何となく通りがかりの人にでも自分の作品を求めてもらうことが出来たらという思いで、圭樹は路上に自分が描いた作品を並べた。ひょっとして今まで自分が描いてきた作品が売れるようなことにでもなれば、圭樹が考えていた環境で画を描き始めることができるかもしれないと考えた。そんな想いで動き始めた途端に、圭樹は時任さんと言う圭樹の住む街にある画廊の店主と出会った。

勿論時任さんが圭樹の作品を気に入ってくれるかはっきりしていなかったが、それでも少なくとも画廊の店主として圭樹の作品を観てくれると言うことは圭樹にとって小さな期待が芽生えるような出来事だった。大学の担当教授は最後の最後まで、圭樹に取り敢えず大学卒業後何処かの会社に就職することを強く勧めた。

そんな際に教授はこんな話を参考として圭樹に話してくれた。画を描く時間が欲しいために中途半端な働き方をしていると、結局は画を描くと言う本来的な目的を手放すことになるケースが多いと教授は話した。正社員として仕事に就いたからと言って、画家にはなれないと決めつけるのは間違いだとも言った。

寧ろ正社員にならなかった方が、画を描く時間がどんどん減って来て最終的に画を描くことそのものが出来なくなる事が多いと説明してくれた。そして最後は画家を目指すのであれば、もっと積極的に自分の描いた画を売ると言った事にもアプローチすべきだと忠告してくれた。

確かに教授が話してくれた内容は、一般論として教授以外の同級生たちからもよく聞いた話だった。でも教授や同級生たちがどれほど説得力のある話をしてくれても、圭樹は大学卒業後の進路については自分で最初から最後まで考えて結論を出そうと決めていた。


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■レーベル《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ》間々田陽紀 小説の世界~シリーズ 間々田 陽紀 中編集(原稿用紙90~100枚)1作250円


【1】Tシャツとピンクの万年筆
【2】リバプールの旅人
【3】あなたがネクタイ外したから、私もヒールを脱ぐわ
【4】僕のプレイリストはタイムカプセル
【5】鳴らない風鈴
【6】切り分けられた林檎
【7】キャロルキングを聴きながら
【8】真冬のストローハット
【9】5年目のバレンタインデー
【10】セイントバレンタインデーの奇跡
【12】街角のバレンタインデー
【13】瞳の中のバレンタインデー
【14】バレンタインデー・ラプソディ
【15】ラストチャンス・バレンタインデー
【16】奇跡を呼んだナレーション
【17】コーヒーチケット1冊分の恋
【18】ハッピーエンドまでの君と僕とのセオリー
【19】ブロークンハート・イヴ
【20】グッドミュージックが生まれる街
【21】聖マルタンの夏
【22】ノン・アップデート・メモリーズ
【23】グッドバイ色の街だから
【24】雨の中のオレンジ
【25】君がヒロインになる瞬間(とき)
【26】シャッター音がくれた奇跡
【27】眠れない夜はニルソンを聴きながら
【28】リベンバーミー
【29】フォーマイセルフ&フォーユアセルフ
【30】ジョナサンがいた風景
【31】ファイナル・コンサート
【32】気分はアウトオブデート
【33】それぞれのダイアリー  
【34】あの頃君は駆け抜けて逝った  
【35】ミュージシャンたちの恋物語
【36】サマークリスマス
【37】ジーンズのある風景
【38】ゲバ字の消えた夏
【39】高校3年生のネアンデルタール人
【40】アルバート・ドッグを吹く風
【41】ワーズワースそして教授と私の旅
【42】天窓から眺めるロンドンの街
【43】チェスターの空の下
【44】ウクレレの音が流れる夏
【45】私は夢見るシャンソン人形
【46】いつか観たジョンレノン
【47】あの日聴いた夢のカリフォルニア
【48】懐かしいね、ガントレ!
【49】神楽坂で聴くサウンドオブサイレンス
【50】キャロルキングをお寺で
【51】サウンドトラックはユーミンで
【52】ルート66へに誘われて
【53】俺たちのジュークボックス
【54】キックオフは、これから!
【55】タイムカプセルからビートルズ
【56】2人のランナウェイ
【57】もうラヴソングは唄えない
【58】遅れて来たラヴレター
【59】君にとどけボーントゥーラン
【60】母はクラプトンが大好き
【61】タイムアフタータイムなんて
【62】シャーリーンの唄ですよね
【63】気分はハロー・グッドバイ
【64】クロスロードとオヤジたち
【65】サザンカンフォートを抱えた娘
【66】あなたがトミーで私がジーナ
【67】ロールプレイング・ラヴをあなたと
【68】パンタロンじゃなくベルボトムさ!
【69】俺は根っからのランブリング・マン
【70】タイムタイムタイム~冬の散歩道
【71】俺のロード・ソングは、ウィリン
【72】アメリカ《名前のない馬》から始まった
【73】ツェッペリンに包まれて
【74】ロイ・ブキャナンの流れる家
【75】フォークソングが消えた日
【76】終わらないメロディ
【77】俺もお前もストレンジャー
【78】ジョニ・ミッチェルで聴きたいね
【79】今さら、ハートに火をつけて
【80】アフリカを聴きながら
【81】プロコル・ハルムが唄っている
【82】ゼーガーとエバンズが教えてくれた
【83】ビタースウィート・サンバを取り戻せ
【84】ティアーズ・イン・ヘヴンなんて
【85】俺たちはフール・オン・ザ・ヒル
【86】このリフに魅せられて
【87】さらば黄昏のレンガ路よ
【88】心にハングリー・ハートを
【89】いつもジャーニーが流れていた
【90】ジャニスと踊ろう
【91】俺は今でも25or6to4
【92】君に捧げるララバイ
【93】ジャニスが語りかけた夜
【94】キリング・ミー・ソフトリーをあなたに
【95】恋をするならシェイクスピアで
【96】ゲーテが教えてくれた愛のシーズン
【97】僕と君だけのファーザー・クリスマス
【98】恋する気分は、ヴェルレーヌから
【99】愛を語るならヴェッキオ橋で
【100】ショーシャンクの空が・・・
【101】ビーハイブ・ヘアの女(ひと)
【102】カセットから流れ出たメロディ
【103】オヤジたちのスタンドバイミー
【104】届かない、君へのラブソング
【105】マージー・ビートに魅せられて
【106】父のギターが残してくれたもの
【107】夜のパリ、それはラヴレターの香り
【108】閉ざされたままのギターケース
【109】雨の日には、グラント・グリーンでも
【110】ボースサイドナウが流れる喫茶店で
【111】恋のリフレイン
【112】ベイビーが流れていた季節
【113】フォロー・ミーに誘われて
【114】それでも、あなたにラヴソングを
【115】想い出のコンサート・チケット
【116】スターダストをあなたと
【117】ナローボートで素敵な恋を!
【118】ライトハウスで出逢った、あなたへ
【119】レモンの木の下で
【120】2度目のチャイルドフッドフレンド
【121】ミニシアターより愛を込めて
【122】あの時YESと言えていたなら
【123】ソリチュードに包まれて
【124】窓辺のロミオ&ジュリエット
【125】フラに恋する君に恋した僕
【126】ミルキーウェイで、さよならを
【127】コイントスで決めた恋
【128】二人の恋はメリーゴーランド
【129】スラッキー・ギターに魅せられて
【130】ソー・ファー・アウェイが流れる街
【131】メッセージノートのある喫茶店
【132】恋のワン・ウェイ・チケット
【133】ベルベッド色の恋
【134】神楽坂ラヴ・ストーリー
【135】すれ違いのスウィート・ハート
【136】リッスン・ツー・ザ・レイディオ
【137】夏のレムナント
【138】ダウンタウンボーイ
【139】中央フリーウェイ
【140】AVALON
【141】フォーカス
【142】Midnight Scarecrow
【143】セシルの週末
【144】街角のペシミスト
【145】ジャコビニ彗星の日
【146】ツバメのように
【147】ダイヤモンドダストが消えぬまに
【148】イチゴ白書をもう一度
【149】ベルベッドイースター


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■レーベル《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ》間々田陽紀 小説の世界~シリーズ 間々田 陽紀 長編集(原稿用紙300枚~450枚)1作500円

【1】校内放送でビートルズ
【2】府立第14中~青春グラフィティ!
【3】そうだドルフィンへ行こう
【4】夜のグラフィティ
【5】もう一度聴いてみようかホテルカリフォルニア 
【6】今何故、500マイルも離れて
【7】坊っちゃん、フォーエバー
【8】ブローイングインザウィンドでも聴いてごらん
【9】木登り~タイムワープ


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■レーベル《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ》間々田陽紀 小説の世界~シリーズ 間々田 陽紀 短編集(原稿用紙~50枚)1作100円

【1】夜空と波間の彼方に
【2】深大寺ラヴストーリー 
【3】ダブルレインボーの彼方に
【4】真冬のウインド・チャイム 
【5】ギターケースの中のラヴレター 
【6】横浜ロックンローラー 
【7】遅れて来たフラワーチルドレン 
【8】阿波人形浄瑠璃ラブソディ
【9】真っ赤なマニュキアの指先を見つめた夏
【10】君がいた街角
【11】聴かせてよ、あのリフを!
【12】ワイパーの向こうで消えた女性(ひと)
【13】さよなら、ミュージシャン
【14】ボーカルインストラクターの夢追い人
【15】写譜屋の恋物語
【16】スポットライト・グラフィティ
【17】リペアマン・ブルース
【18】歌えないラヴソング
【19】夢捨て人のハーモニー
【20】君の名前が消えたエンドロール
【21】ユア・シックスティーン
【22】ピアノのある喫茶店
【23】旅人からのリクエスト
【24】君への恋心をアップデート
【25】トラックドライバーの独り言
【26】サリンジャーを手にした君へ
【27】ハイタッチなんて似合わない
【28】君の知らないイエスタデイ
【29】君へ送るハートビート
【30】エルトンからの贈物
【31】君に聴かせたいメロディ
【32】31文字のラヴレター
【33】48時間のランナウェイ
【34】君が遺した風景だから
【35】恋のロングバケーション
【36】私の彼はトラベラー
【37】ミュージシャンからの恋文
【38】さよならグッドメモリー
【39】恋のスターティンググリッド
【40】横浜バイザシー
【41】冷たい雨が好きだから
【42】街角ピアノ物語
【43】キネマのある街
【44】本日限りが好きだから
【45】この曲にはフルートが必要だから
【46】テイク・ミー・アロング
【47】3年越しのデスティニー
【48】あの日の君の肖像画
【49】奇跡のハーモニー
【50】ポートレイトの君は誰なの?
【51】雪降る街でサヨナラを
【52】永遠のチャイルドフッド・フレンド
【53】ミルキーウェイって何色?
【54】フラガールのいた夏
【55】消えないグラフィティ
【56】ドルフィンに連れてって
【57】校内放送なんて聴かないよ
【58】ジュークボックスのある風景
【59】君と僕とのタイムカプセル
【60】ギターケースの中の青春
【61】フォークソングが流れていた季節


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