★本日、小説短編集新作の出版販売を開始しました。 | 《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

《遠い昔、深夜放送が好きだった人たちへ贈る小説》間々田陽紀の世界

■好きな音楽、好きな映画、好きなサッカー、好きなモータースポーツなどをちりばめながら、気ままに小説(245作品)・作詞(506作品)を創作しています。ブログも創作も《Evergreen》な風景を描ければと思っています。

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★本日、小説短編集 【56】ドルフィンに連れてって(原稿用紙30枚) の出版販売を開始しました。

1月20(土)と21日(日)の2日間、無料で読めるので、よかったら読んでみてください。

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※咲奈が中学時代の友人である朋美の家に立ち寄るのは6年ぶりのことだった。地下鉄神楽坂駅を降りて牛込中央通りから一本裏通りにある神楽坂能楽堂沿いの道を、周囲の街の様子を伺いながら咲奈はゆっくりと歩いていた。たった6年或いはもう6年か分からないが、街の様子は少しだけ変わっていた。
 
 緩い上り坂を上がった先にあった古いアパートは眩しいほどの新しいマンションに変わっていた。この坂を何度も行き来したのは、咲奈が中学1年生から3年生までの3年間だった。当時千代田区にあるお嬢様学校として有名だった中学校で咲奈は朋美と出逢った。
 
 咲奈は中学の時から入学してきていたが、その学校では幼稚園から進級してきていた生徒たちが圧倒的に多かった。そんな中で欠員補充のための中学受験で入学した咲奈は、最初から何となく馴染めない時間ばかりが続いていた。
 
 そんな中でたまたま席が隣同士になった朋美だけが、何の抵抗もなく咲奈に接してくれたのだった。もっとも当初朋美も咲奈には関わりたくないと思っていたかも知れなかったが、少なくとも当時の咲奈にとって朋美は唯一心を許せることができる存在であったことは間違いなかった。
 
 それだけでなく咲奈と朋美とは音楽が大好きという共通項があった。しかも好きなアーチストまで一緒だった。2人が好きだったのは《あいみょん》だった。2人は《あいみょん》が紡ぎ出している歌詞が大好きで、勿論つい口ずさみたくなるメロディも大好きだった。
 
 2人は《あいみょん》がアコギを持って歌っている姿に憧れて、2人でギターを手に入れてコピーをしたいと考えるようになった。ギターなど手にしたこともない2人が頼りにしたのが、朋美のお兄さんの一樹だった。朋美より6歳年上の一樹は、当時大学生でしかもシンガーソングライターとして活躍していたのだった・・・。


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