緑と風と陽に抱かれて不意に涙ぐむ。巨木のゴツゴツした木肌は足掛かりになって登りやすい。子どものように木を伝う。そよそよと揺れる木々の葉。枝につかまり空をあおぐ。木に耳を寄せると風の振動なのか音を感じる。わずかな対話木に登るなんて何年ぶりだろう。緑と風と陽に抱かれていると何故か不意に涙ぐむ。ぽんと根本に飛び降りて語りかけた。また来るよ。