こんにちは。竹谷とし子です。

 

公認会計士協会手塚正彦会長と公明党公認会計士懇話会会長の石井啓一衆議院議員の間で意見交換が行われ、同席させていただきました。

 

議員にならせていただく前の私の仕事は、企業経営や会計に関することでした。

 

なぜ、その分野に進んだのかといえば、

企業活動は、モノやサービスを生産・提供して人の生活を向上させたり、雇用を生み出して報酬を支払い、経済を回し、日本や世界の発展に寄与する一方で、利益追求に走りすぎて、環境破壊や労働搾取などの問題を引き起こすこともあり、善悪両面で、人間社会と地球環境に大きな影響を与える企業活動というものを、現場でしっかり勉強し、そして、企業が人類に対して、良い影響を与える存在になる方向へ向かうように、何らかの役に立っていきたい、という思いがあったからでした。

 

もちろん、勉強だけしてお金をいただくわけにいきません。お金をいただく以上に、企業に貢献しなければ、と。その手段として、学生時代に、会計や監査という専門分野を選んで勉強しました。勉強は、どちらかというと苦痛な方でしたので、アルバイトとも両立しながら大変苦労しましたが、先輩方の指導や励ましをいただいて何とか会計士試験に合格し、それから必死になって17年半働いて、良き先輩・同僚とお客様に恵まれて、仕事を通じて多くのことを学び、経験させてもらいました。

 

議員にならせていただいた今、その時の経験も生かして、さらに勉強を重ねて、国や地方行政の財政の見える化にとりくみ、国債整理基金の利払い費削減など税金をより有効に使う具体的な政策を進め、10年間で実績を積み重ねてまいりました。この取り組みは、現在も進行中です。

 

また、会計に関する政策は、行政分野だけでなく、民間企業の財務諸表をはじめとした情報開示も大きな分野です。会計に携わる方々にとっては、むしろ、こちらの方への関心がより高く、国民経済、ひいては、国民生活への影響も大きいと思います。ですので、この分野も、非常に重要なこととして取り組んでおりますので、少しご紹介させていただきます。

 

会計や開示制度というと、伝統的な財務数値として、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフローなどが主役ですが、不正・粉飾なく、それらを適正に開示することに加えて、最近は、企業の経営方針やリスク、また、社会的責任遂行などを示すような、財務数値以外の開示の充実も求められています。

 

新型コロナ禍における今年3月期の決算では、多くの企業がコロナによるリスクを非財務情報の一部として開示されていたと聞きました。

 

また、ESG(環境、社会、ガバナンス)などの観点から企業経営の方針を示す情報は、負のリスク面だけではなく、ビジネスチャンスの側面もあり、投資家からは、企業が将来生み出す価値を推し量るための重要な判断材料になってきています。

 

投資家や消費者が、利益や価格だけでなく、持続可能な社会に向けて、企業の貢献に高い関心をもち、それにより、投資行動、消費行動を変えていくなら、企業側も、投資家や消費者に評価されるように企業行動も変え、その過程を見える化しようとするでしょう。そうした好循環が生まれれば、企業による環境破壊や労働搾取は減ってくるでしょう。それらの社会的コストを発生させる原因が減れば、政府が税金で負担しているコストが減ったり、これ以上増えるのを抑えることにもなります。というように、開示制度は、どても大切なことで、多方面で影響力があります。

 

そこで、財務数値の開示に国際的な基準があるように、いわゆる、非財務数値についても、基準をつくろう、という動きになってきています。

 

現在、国際的枠組み例としては、TCFD提言(TCFD)2017年公表、SASBスタンダード(米の民間非営利組織)2018年公表、GRI(オランダのNGO団体)2000年公表、IIRC(英の民間非営利組織)2013年公表があるということですが、今後、国際基準がどうなっていくかにより、様々な分野に影響がもたらされることが予想されます。

 

良い開示制度は、企業と投資家、さらには、企業と消費者が、対等で良好な関係をつくるための基盤であり、国連のSDGs(持続可能な開発目標)達成においても、企業がより関与できる可能性をもっていると思います。

 

一方で、基準づくりをある意味で”悪用”して、自国や一部企業が有利となるような基準ができてしまうと、まじめに活動をしている企業が割を食ってしまう場合もあります。日本の企業が不当に割をくうことがないように、政府は基準づくりにしっかり取り組み、後手にまわらないようにしなければなりません。

 

地味かも知れませんが、とても大切なことです。

 

日本でこの課題に取り組んでいる公認会計士協会や金融庁、経済団体、投資家団体などの現場や専門家のご意見、そして、国際的動向を踏まえながら、しっかり、取り組んでいきたいと思います。

 

少しややこしい話になりましたが、最後までお読み下さりありがとうございます。