竹谷とし子です。私が委員長を拝命している公明党公会計委員会のメンバー、若松かねしげ参議院議員、杉ひさたけ参議院議員と共に、参議院別館の最上階にある「裁判官弾劾裁判所」を視察しました。詳しく明快にご説明下さった職員の方々に敬意を表します。

 

裁判官弾劾裁判所は、裁判官の身分にふさわしくない行為等をした裁判官を辞めさせることができる機関で、憲法64条に定められた重要な機能です。しかし、直近で弾劾が行われたのは平成25年で、5年以上にわたり見学以外には、実はこの場所はほとんど使われていません。

 

長らく使われないということは、それだけ裁判官の不祥事がないということで、良いことです。しかし、その反面、地下鉄永田町駅を出るとすぐの場所にある好立地に、ごくたまにしか使わない公共施設があるというのは、国民目線から「勿体ない」と言われるのではないでしょうか。

 

この場所に弾劾裁判所の法廷ができたのは昭和51年で、旧最高裁判所の大法廷を参考にして完成したと公表資料に書かれています。それ以前は、昭和51年まで旧参議院会館内(写真が残っていないそうです)、昭和23年から45年までは今の迎賓館赤坂離宮内にありました。法廷の場所や中の様子については、法律で定められたものはありません。

 

昨今は、社会情勢が変化して、施設のあり方も変わってきています。少子化で廃校になった学校施設を他の目的に転用したり、一方で、保育や介護のニーズが高まり施設が不足しているといった状況があります。地方自治体の公共施設については、老朽化や利用需要の変化に応じて最適化をはかるように総務省が主導して推進しています。民間企業では、シェアオフィスや貸し会議室の利用、社員の席に予約制を取り入れたりするなど、「専用」ではなくてもいいものは、「共用」が当たり前になってきています。

 

民間や地方自治体がこのような動きになっている中、国及び国会関連施設についても、聖域をつくらず、前例にとらわれず、国民理解が得られるように、そのあり方とよりよい活用方法について、関係者の理解を得ながら方向性を検討していく必要があると思います。地震や台風などの災害が多発する中で、住民や帰宅困難な方の安全な避難場所も学校以外にも広げる必要性も増しています。

 

その際、表面だけ見て、ムダだ、いや必要だ、という二元論や感情的な話で不毛な議論になってはいけません。冷静に最適な判断をするためには、コストや利用率、設備の状況、活用の選択肢と実現可能性など客観的な情報が必要です。そのためにも、私たち公明党が取り組んでいる「財政の見える化」が重要になってくると思います。

 

見える化の取り組みとして、財務省主計局と各省が協力し、行政サービスのフルコスト情報を毎年算出しています。フルコストというのは、外部経費だけでなく、人件費や建物の減価償却費などを含むコストで、民間企業の会計で当たり前となっている方法で算出したコストです。算出の手間がかかるためまだ試行的ですが、昨年は60事業が開示されました。たとえば、弾劾裁判所の機能を保持するためにかかっているコストは年間約1億円、尚、衆参の国会のフルコストは約1070億円です。(国会にはこれだけのお金をかけているのですから、国民の役に立つ、実りのある議論をしっかりしていかなければならないと思います)

 

(ご参考)財務省ホームページ フルコスト情報へのリンク↓

https://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2015/link.html