竹谷とし子です。

 

北方領土ビザなし交流の目的は、領土問題解決と平和条約締結のため、相互理解を深めることです。

 

(択捉島の体育館で竿灯づくり)

 

7/20-24の交流団の中心は、秋田県の皆さんでした。なまはげパフォーマンスが圧巻で、子どもから大人まで、大人気でした。

 

日本は、武力により占拠され今も実効支配されている領土問題の解決を、武力によらず外交によって行うという、世界史的にも稀な、前代未聞ともいえる挑戦をしています。

 

実現には、政府間の外交交渉はもちろんですが、それと同じくらいに、国民が相互に理解し、交流し、徹底的に仲良くなることが重要だと思います。

 

その手段として、ビザなし交流がありますが、相互理解に、生きた伝統文化の紹介が、非常に有効であるということを今回は目の当たりにしました。

 

(可能なら私も何か身につけなければと思います。)

 

(大人気だったなまはげ)

 

 

 

秋田県から参加の、なまはげパフォーマンスをしてくださった菅原昇さん、関一彦さん、畠山富勝さん、牧野料介さん、そして、国後出身の語り部伊藤光作さん。

ありがとうございました。

 

 

プーチン大統領から秋田県知事に贈られた、猫のミール君の画像も紹介されました。

 

(猫のミール君)

 

 

秋田県の伝統、竿灯(かんとう)の紹介画像の後、ミニチュア版をみんなで製作しました。これが結構難しかったです。しかし、共同作業をすると、言語が通じなくても、急速に相互理解がすすんで、仲良くなれると感じました。

 

 

(択捉島の体育館で竿灯づくり)

 

 

交流団58人のうち国会議員は、私の他には、衆議院沖北特別委員会の鈴木克昌委員長と、近藤昭一理事(民進党)が参加されました。また、北方領土返還運動都道府県民会議の京都府代表として、村井ひろし府議会議員(公明党)他地方議員数名も県民会議枠から参加されていました。北方領土問題は超党派で、そして、政治家だけでなく、国民の皆さんにも参加していただき、解決に挑むテーマです。

 

今回の交流団58人の幹事は秋田県民会議がつとめ、斎藤和彦団長、佐藤惣良副団長が中心となり、文化交流をまとめてくださいました。ロシア住民の方々に真心と友情がしっかり届いていたと感じました。ありがとうございました。

 

(国後島の地区行政府訪問)

 

最後は、ロシア人の方々と夕食を共にしながら、ロシアの「カチューシャ」や、日本の「100万本のバラ」を一緒に歌いました。交流を終えて、択捉島を後にする際、相互交流に尽力しているロシア人の方々が、大きく手を振り見送って下さいました。

 

(択捉島で見送ってくれたロシア人の方々)

 

根室港では、根室市長や議長他、北方領土出身者や二世の方々中心に支援してくさっている皆さまなどが、見送りと出迎えをしてくださいました。

 

(北海道根室港で真心の見送り・出迎え)

 

 

このビザなし交流は、1991年にゴルバチョフ元大統領が来日して提案されたもので、92年から今年で25年になります。その際、ゴルバチョフ元大統領は、歴代ソ連首脳が認めてこなかった、色丹、歯舞だけでなく、国後、択捉にも解決すべき領土問題が存在すると初めて認めたことが記録に残されています。その後、ソ連のクーデターで大統領の立場ではなくなりましたが、日露の平和条約締結と領土問題解決のために必要な、相互理解を深めるビザなし交流という重要な枠組みを残されたと感じました。

 

この事業に長くかかわってきたロシア人の方が言っていました。

 

「ビザなし交流を25年間やってきてわかったことは、日本人とロシア人はうまくやっていけるということです」と。私も、今回の経験を通じて、この言葉に共感しました。

 

(片言の日本語とロシア語で交流した子どもたち)

 

 

政府を代表する立場同士での関係は、大変難しい面が出てくるかもしれませんが、人間対人間という関係においては、今回お目にかかった北方領土に住むロシア人の方々は、とても良い人たちでした。

 

いつになるか今はまだ全く見通しがたちませんが、様々な前提をクリアして平和条約が締結された後に色丹、択捉の二島は返還されることは合意されており、国後、択捉を含む四島に解決すべき領土問題があることは、両国政府で認識されています。

(※これまでの交渉経緯にご関心ある方は外務省のホームページをご参照ください)

 

(写真に収まりきらない雄大な国後島)

 

とはいえ、簡単ではありません。これまで、ビザなし交流を続けてきたこと以外には、次の一歩を進めることができず年月が流れました。

 

それを打開すべく、昨年12月に日露首脳会談で共同経済活動を行うと合意した事は、大きな意味があったと思います。

 

このビザなし交流は枠があり国会議員だから無条件に通るわけではなく、やっと参加させていただくことができたのですが、これまでこの交流で得られた実績をモデルに、さらに多くの日本人とロシア人が相互理解を深められるように、そして、共同作業で価値を生み出していけるように、経済のみならず、文化芸術、自然環境、医療協力など多面的な交流に取り組む必要性を理解することができました。

 

また、今後いよいよ具体的に前に進めるために、腰をすえて外交に取り組める環境が重要であると認識を深めてまいりました。

 

(※このビザなし交流の枠組みにご関心ある方は外務省のホームページをご参照ください)

 

あいにくの天気で夏にもかかわらず、気温が低くて風が強く、雨にも見舞われ、天候が乱れ一日は船を下りることができないというハプニングもあり、島での行動範囲も厳しい制約がありましたが、大いに学びを得た交流でした。

 

 

この場を借りて、長年にわたり事業に尽力している北方領土問題対策協会、北方領土返還要求運動都道府県民会議、北方領土出身者による千島歯舞居住者連盟、専門家や通訳の方々、そして、今回の交流団の幹事県である秋田県民会議の皆さまはじめ、ご一緒した皆さまに感謝申し上げます。

 

北方領土交流報告は、時間を見つけて、続けさせていただきます。