竹谷とし子です。7/20-24の北方領土ビザなし交流。前回のブログでは、日本人墓地の墓参についてご報告しました。

 

「食べ物の写真が見たい」というご意見をいただいていましたので、今回は国後島で頂いた、昼食と夕食について、ご紹介します。パンと塩で歓迎するのがロシア流だそうですが、民族衣装を着た女性が迎えて下さいました。

 

 

食事をしたのは、日本の予算で建設した「日本人とロシア人の友好の家」です。国後島の人口は約7000人ですが、島内にはいわゆるレストランやカフェといったものはありません。家で食事をするのが普通で、外で食べるのは、家に招待された時と聞きました。

 

 

この建物は、建設時の契約問題がとりあげられて、そのことで有名になりましたが、建設事業そのものに着目すると、1999年頃に、ソ連との平和条約が今と同じく締結されていない状況で、一方で領土問題を抱えながら、ソ連に実効支配されている国後島に日本が建物をつくるということは、様々な制約がある中での作業だったと推察します。この建物ができるまでは、日本人は島内で宿泊することができなかったため、長期間にわたり船に泊まりながら工事したと聞きました。(確認していない推測ですが、北方領土に入域するのにソ連のビザを取得すると管轄権を認めたことになるため取得は自粛し、この工事のためにソ連側から許可された行動範囲には制約があり、宿泊できなかった、ということではないかと思います。今でも領土問題が解決していないため、日本政府は、日本人がビザを取得するなどロシア側の出入国手続きに従って北方領土に入ることを自粛するよう呼びかけています。詳しくはこちらをご覧下さい⇒外務省「北方領土への渡航自粛要請」

 

ちなみに、今回私が参加させていただいたビザなし交流や、元島民の墓参はロシアとの間でこれらの事業に制限して特別に作られた枠組みで、島内を自由に行動できるわけではありません。宿泊もこの施設か、船内です。今回の宿泊は、全て船の中でした。

 

昨年12月に日露首脳会談で合意された、北方領土で共同経済活動を今後行っていく際にも、同様の問題が出てくることになりますので、それを乗り越えるために、両国間で特別な法的枠組みをつくっていく必要があると認識されています。

 

話がそれましたが、食べ物の話に戻ります。

 

国後島で、お昼にいただいた物です。飲み物は、クランベリーを砂糖漬けにし、水で薄めたものということでした。

 

 

ボルシチと黒パン。気温が20度くらいの肌寒い日でしたので、スープを頂いたおかげで体が温まりました。サワークリームが添えられていました。

 

 

ペリメニというのは、ボルシチと共に、典型的なロシア料理だそうですね。水餃子に似ていますが、皮があつく、日本の水団のような食感でした。

 

 

 

次は、夕食交流会で頂いたごちそうです。

 

じゃがいもがとても美味しいのは北海道と同じで、おなかがいっぱいになりました。にんにくを入れて調理した肉は、ウクライナ料理の定番だそうです。ウクライナ出身の方も結構いらっしゃるようです。いい味つけでした。

 

 

大きいサイズの鮮度の良い北海シマエビが出されました。新鮮なうちに塩ゆでする食べ方は、日本人が伝えたのでしょうか、北海道では、国後島の対岸にある別海町(べつかい)で初夏と秋の時期だけとれます。旨みがあり、大変美味しいエビです。一緒にテーブルを囲んだロシアの方は、「エビもいいけれどカニのほうが好きだ」ということでした。確かに、国後島では、すごいタラバガニがとれることでしょう。北海シマエビの流通価格は、1kg2500円位ということでした。だいたい、北海道産の半額位かそれより安い位でしょうか。

 

北海シマエビを召し上がってみたい方は、ぜひ、本場の別海町へおこしください。

別海町観光協会Facebook

 

 

オヒョウのフライは、脂が乗っており、見た目以上に美味しかったです。

 

 

オヒョウはこんな魚です。巨大なカレイです。(写真はクリル地方を紹介したカレンダー)

 

 

新鮮な帆立は、マヨネーズベースの塩味が濃い料理でした。

 

 

これらの海産物は、北海道の隣接地域でとれるものと同じです。北方領土周辺は特に素晴らしい魚場で、戦前は日本人が豊かな漁業を営んでいました。

 

北方領土を実効支配されていることによって、隣接する根室、別海、標津、羅臼の漁業は、漁獲高も、操業の安全面でも、今も大きな影響を受けており、元島民に限らず北海道隣接地域の方々も、地域と生活を守るためにこの海域での漁業が円滑にできるよう、領土問題解決を強く願っています。真心の料理を美味しくいただきつつも、日本の漁師さんや水産加工場の方々のことが頭から離れません。

 

一方、ロシア側の漁業者も生活がかかっていることですので、権利を主張されます。日本の漁業者からの抗議を、これまでも政府を通じて行ってきてはいるのですが、互いに情報交換したり対話ができる状況にさえなっていません。領土問題が横たわっているためです。

解決の糸口として、まず日露で共同資源調査をしたい、というお声が日本の漁業関係者の方から出ています。今まで何も動きませんでしたが、日露首脳が合意した共同経済活動を前に進める中で、この事が実現に向かうよう、私も努力していきたいと思います。

 

 

 

国後島内には食堂はありませんが、10軒ほどの商店街がありました。択捉島には、レストランやホテルが数軒ありました。

 

(国後島の商店)

 

(国後島の商店)

 

外から見ると、お店なのかどうかがわかりにくいのですが、入ってみると、加工品から、肉・野菜・果物などの生鮮食品まで予想以上の品数の商品が整然と並んでいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2017年7月の1ルーブルは、1.87円位です。

 

45ルーブルのキャットフードは84円位

 

480ルーブルの大サイズの日本製からしやわさびは輸入品のため高く、890円位

 

島の物価は、輸送料がかかるので、総じて大陸よりも高いとの事でした。

 

同じような食品を売っている、同じようなお店が、数軒並んでいました。また、全て見る時間はなかったのですが、外から見る限り、他に靴屋さんなどもあるようでした。

 

写真は、料理をつくって下さった方々。カメラを向けると、お茶目な表情をする方は少なくないです。

 

 

国後島でいただいた料理は珍しく、味も美味しかったのですが、対岸の北海道隣接地域は、さらに沢山の種類の美味しい食べ物があります。

 

ロシア人が日本に来るビザなし交流への参加や、漁業などの仕事で、北海道に来たことがあるロシア人の方は多くいらっしゃるようで、以前船乗りだった方は、船の修繕のため根室市に滞在していたこともあり、お寿司が好きで、奥様が家で巻きずしを作ることもあるということでした。

 

「日本製品が島で買えるお店がほしい」と言っている人もいました。

 

領土問題が解決して、相互交流しやすくなれば、北方領土側から北海道を訪れる人も、多くなることでしょう。

 

次回は、博物館で紹介されていた北方領土の自然や歴史文化をご報告します。